2012年03月19日(月) |
猫と魚の雨宿り(仮) |
「お待たせしました。海王海老の姿焼きです」 目の前に出されたのは文字通りの巨大海老、アイビースの姿焼き。オレに言わせれば同胞の姿焼きとも呼べる。 「食べませんの?」 「……オレはこっちを食べるからいいです」 同時期に頼んだサンドイッチを手に相手に返す。 君は同胞を口にするんだね。ちなみに彼の名前は知らないけれど、簡単にお皿の上に乗ってしまったんだ。そこら辺の雑魚なんだろう。 「美味しいかい?」 「ええ。とても」 さらば。お前の体は吾らが宿敵の血となり肉となってしまうんだ。弱肉強食。これも世の定め。悪く思わないでくれ。 「でもなぜかしら。この魚料理よりもあなたの方が美味しそうに思えるなんて」 「……さあ。なんでだろうね」
そろそろ現実逃避をやめたほうがいいのかな。 おかしい。 どうしてオレはこの子とこんなところにいるんだろう。一対一でこうしてここにいること自体、自殺行為じゃないか。 外は雨が降っていた。 そう。この雨がいけないんだ。こめかみを押さえつつ、一時間前のことを思い返していた。
過去日記
2006年03月19日(日) 結婚式 2004年03月19日(金) 「EVER GREEN」5−7UP
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