手塚との試合。 初めは俺の想像通りだった。 今まで幾度となく手塚と試合をしてきたが、これ程の手応えうぃ感じたことはなかった。
”もしかしたら勝てるかも”
そんなことが脳裏に横切る。 手塚のドロップショットもクリアできた。 今までのように予想出来ていたのに反応できないなんてことはない。 瞬発力も何もかも一から鍛え直したんだ。
「少しは出来るようになったんだな」 「当たり前だろ?今回は勝つ気できたんだからね」 「どうかな?」
そのまま、俺が優位に立って試合が運ばれる。 負け無しの手塚が、とうとう敗れるのか?と部員達が噂しているのが聞こえる。 そんなに簡単な奴ではない。 いつ、何をしでかすかわからない。 相手はあの、手塚なんだ。 一瞬でも気を抜くとやられる!!
「今回は俺が勝つよ」 「無理だな」
はったり……。 とは思えない。 そんなことを言う奴ではないことは、俺が一番よく知っている。 まだ何か隠しているのか!?
ラリーが続く。 その時………………。 思いもしてなかったボールが返ってきた。
「乾。まだ試合は終わってないぞ?」
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