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書くほどのこともない日常
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2006年07月03日(月) オペラ座の怪人

大分前から、旧友に奨められていたのだが……
大好きなイラストサイトで掲載されていたファントムが余りにもかっこよすぎたために、テレビの予告で「悲しい物語」と言われていた悲恋を見るに忍びなかったのである。

もっと早く観ればよかった。
と、いうか、劇場で観たかった。

内容は、
筋金入りのストーカーと、どこまでも状況に流される女と、へたれだが形振り構わない男の三角関係の話。

通常、こういう陰気になりそうな話は好きじゃない。
が、音楽が素晴らしい。
殊に、ファントムの声にはやられてしまった。
実に良い声で、ヒロインのクリスティーヌに言い寄る男を罵倒するのである。
後は、ひたすら、テレビの前に釘づけになっていた。
怪人ファントムと、お貴族様ラウルを比べると、仮面の下の顔を差っ引いても、と、いうか、それも込みで、ファントムの方が好みなので、どうしてもファントムに肩入れしてしまう。
昔から、わたしは、暗い過去があって、才能があって、どこか狂気を孕んでいる男が大好きなのだ。
おまけに、男前でスカーフェイスとくれば、完璧すぎてどうしたらいいかわからなくなってしまう。

結局、ファントムの恋は実らないのだが、クリスティーヌは、若く、非の打ち所のない男を愛し、また愛されながら、ファントムに惹かれつづける。
クリスティーヌは、幸せな恋をしながらも、常に、ファントムのことを考えている。
ファントムはものごっつ派手に、かっこよく、クリスティーヌを攫い、恋敵ラウルはファントムを追うが、却って彼女を窮地に陥らせてしまう。役立たず。

クリスティーヌは、崇拝が憎悪に変わった、と、言いつつ、死にかけの恋人でなく、ファントムを見つめる。
最後は結局、クリスティーヌはファントムの許を去り、幸せな結婚をした、ということが示唆されるのだが、最後の最後まで、ファントムは筋金入りのストーカーであったことが、ラストシーンで解る。

ファントムに肩入れする余り、彼がクリスティーヌと結ばれるとしたら――と、考えてみた。
地下の隠れ家に連れてった後、帰したのが間違いだな。
最初、一晩だけかと思ったら、『歌姫失踪』と言われるほど長いこと、地下の棲家で一緒に暮らしてたのに、音楽の天使だの、私の音楽に仕えろだのとしか言ってなかったのが悪い。
色々とコンプレックスがあって、そうも行かなかったのは解るけど、最後の言葉をもっと早く言ってりゃ、あんなへたれに持ってかれなかっただろうに。
高揚すると、その場の勢いで愛を語ってしまうような夢見がちで惚れっぽい女は、モノにしたいなら、絶対傍から離しちゃいかんだろう。
結局、恋したら、形振り構わない奴が勝つというのをラウルが示してるな。

クリスティーヌが結婚した後も、ファントムが、つきまといつづけたか、或いは彼女がそれを知っていたかまでは解らない。
が、恐らく、彼女は、ファントムへの崇拝、恐怖、憐憫、憎悪を忘れることはできなかったのではないかと思う。
やっぱり、これは、ファントムとクリスティーヌの物語だ。


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