今年の誕生日はひとりだった、というのは既に書いた。 ま、それはいい、それは。 当日の昼間に、携帯に着信履歴。 実家からである。 自宅はともかく、携帯にかけてくることは余りない。 誕生祝いなら、さほど緊急性はない。 もしや、何かあったのか、と昼休みに電話かけてみたら……
「餃子って、どうやって作るの?」
母よ…… それは、仕事が終わる五時過ぎでは遅いのか、と言ったら、いや、その時間でも構わないと言ったので、じゃあ、その頃電話するので、それまでに材料を揃えておくように、と言ったら、既に、餃子の皮も野菜も挽肉も買ってあるという。 そこまで出来ていて、なんのためにわざわざ電話してきたんだ。 蒸し焼きにするときの水にちょっとだけ小麦粉を入れる、というパリパリにする技だけ教えて切った。 午後五時に再度電話したら、既に出来ている、と言った。 しかも、料理本をめくったら、ちゃんとレシピがあったので、それを見たから大丈夫、と……
誕生日おめでとうの言葉は、未だにない。
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