|
|
2007年04月16日(月) ■ |
|
妄想族の戯言08。 |
|
「…なんだ?怒ったつぎは泣くのかよ。」 「な!泣いてねぇ。」 トシにからかわれてショウは喧しさと勢いをを取り戻した。 ここぞとばかりにケイに詰め寄る。
「ケイ!どこで何してたんだよ!!」 「…それは俺が聞きたいな。」 いつの間にか床にしゃがみこんで、空箱に物を放り込んでいたケイが、もの凄い笑顔でショウを見上げてきた。 「うっ…な、何だよ。」 ケイの笑顔まぶしさに、太陽が苦手なヴァンパイアさながらの様相で、ショウが両腕で顔を庇う。 その様子になぜかトシまで一緒になって後ずさりを始めた。 しゃがんでいたケイが大きく踏み出しながら立ち上がると、ショウも大きく後ずさる。
「ショウ?」 笑顔のケイがまた近づくと、ショウはとうとう壁に背中がついて止まってしまった。 「だ、だからなんだよ?」 片目は閉じたまま、反対の目をうっすら開けて見てみると… そこには青筋を立てた天使の笑顔で仁王立ちするケイがいた。
「この部屋、誰が散らかしたんだ?ん?」 首をかしげてキラキラビームを出すケイ。 ショウの背中をひと筋の冷たい汗が流れ落ちていった。 迫力に負けてとうとう床にしゃがみ込み、ガックリ項垂れているショウ。 「…ご、ごめんなさい。」
「バツとして、何でも言うこと聞くか?」 「おい、ケイいくらなんでもショウ怪我人だぜ?」 それまで小さくなっていたトシが、自分に危害がなさそうだと見て流石に間に入るが… 「うっせ、お前片付けしてろ。」 鶴の一声ならぬケイの一声で、そそくさとショウに手を振って片付けに入る。 「じゃ、じゃあオレも片付けに…」 チャンスとばかりにショウもその場を離れようと立ち上がるも、あっけなく失敗。 またあの怖い笑顔で呼び止められてしまった。
「お前のバツは、そうだなぁ〜」 ケイは鼻歌でも歌うような軽い調子でバツ、バツとつぶやいている。 刑を待つ囚人の気分で、ごくりとつばを飲んだ瞬間。 「決定。今日お前は一日ベッドから出るの禁止だ。」 「…へ?」 片付けをしていたトシと、ケイの肩越しに目が合った。 あっちもパチクリと瞬きしている。
「早くしろ!」 ボーっとしているとケイには珍しい大声で怒られる。 「え、でもオレもう大丈夫だし。」 「大丈夫なもんか、お前自分の顔見たのか?俺より青白い、死人みたいな顔色しやがって。」 「ケイ…っっっ!!!」 尚も食い下がろうとしたら、思い切りボディに強烈な拳を見舞われた。 痛みに悶絶しているうちに荷物のように担がれて、ベッドに放り投げられる。 「もしベッドから出てきたら、トシに下の世話までさせてやっからな。」 「ご、ごめんなさい…。」
もの凄い睨みをきかせて、足取りも荒くケイは片付けに戻ってしまった。
|
|