秋尾沙戸子著「ワシントンハイツ」。
一月ほど前に読了。良書であると思う。
ワシントンハイツとは、戦後の進駐軍の、
主に将校クラス用に整備された住宅のことである。
それがあった場所は、少なくとも都民であれば誰でも知っている。
それは、明治神宮の隣、代々木公園にあったのだ。
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タイトルが示す「ワシントンハイツ」は本書の象徴的なものであり、 内容はそれを上回るものである。
即ち、東京大空襲はどのような人物によっていかにして計画され、実行されたのか、
戦後のGHQの占領政策がどのようなものであったのか、
代々木公園−ワシントンハイツ−が日本に返還された背景に住民運動があったこと、など
ほんの数世代前のことであるのに、歴史からかき消されてしまった記憶が克明に記されている。
ついでに言うと、クリスマスが何故、宗教と関係ないところで日本に定着したのかも、−日本人はそうしたテキトウなお祭り好きだからと思いこんでいたが−、 「そうだったのか!」という驚きとともに知ることができる。
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私達は、縄文時代よりもはるかに、昭和のことを知らない。
縄文時代よりもはるかに、知る必要があるにもかかわらず、である。
そしてまた、知らない、というよりは知らされていないのである。
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