力には力を。 報復には報復を。 そして流れ出ては消えない涙は 繰り返される、かの地で。 祈りの言葉が届く事はあるのだろうか。 誰の祈りなら届くのだろうか。 そもそもその祈りは誰に届けば 繰り返されるであろう歴史に鍵をかける 事が出来るのだろうか。 祈るのは人間なのに、なぜ同じ人間に 必死に請わなくてはならないんだろうか。 そしていくら必死に求めても願いが叶う事が ないのは、なぜなんだろうか。 怒りを屈辱と捕らえ、戦いを挑む愚かな姿。 己の存在を誇張する為だけに放つ狂気。 地に血を流し痛み分けをして、 その尊厳を守る為の犠牲はまだ足りないの だろうか。気付いているのだろうか。 あの日犠牲になってしまった人の命は、 決してこんな事を望んでいない事を。 そして今現在既にあの日の命よりも多くの命が その理不尽な戦いの為に奪われている事を。 守るべき人の命を無残に散らせ、他に何を守るのか。 今年も人々の涙が川を越え、海を渡り私の元までも 届いても、戦いをやめない人には届かない。 そうして涙がまた一つ涙を作っていく。
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