すれ違うその姿に何を思うだろう。 まだあどけなさの残る横顔。 真夏の太陽にキラキラ輝く艶やかな黒髪。 憧れるように目を細める。 まだ年月を味方につけれない私は、少しだけ 急くような気持ちになる。 あの頃は、思い出す記憶は遠いのに 気持ちはまだ離れられなくて。 だけどそんな私とすれ違うあの人は、 一瞬だけ目が合う時に何を思っただろう。 腰を伸ばし空を仰ぎ、一つため息をつき また緩やかに歩を進める。 チラリと目に入った若い姿をどう思うのだろう。 人はいつの日か命を終える。 老いに気持ちが追いついた時、それもまた 若かりし頃の甘い痛みと知るのだろうか。 長くも短くもある人生。激しく懸命に生き、 いつしか切なさだけを残す夢のような道。 私はまだ、夢の途中。
|