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2003年04月21日(月) ツクババリバリ伝説 9

『ツクバライフ』


自転車でこんなに走り回ったのは学生のとき以来。


旅館で貸してくれた自転車は、本当にひどいものだった。

最初に貸してくれたのは、カギを開けることが出来なくてすぐに替えてもらった。
次にあてがわれたのは、チェーンが だるだるで少しの段差を越えただけでよく外れた。
けっきょく最後までそいつにお世話になったけど、職場の行き帰りに油で手が真っ黒になったことは数知れず(苦笑)。
ちょっと調整してやりゃあ済む話なんだけど、
なんだかんだで最後までそのままだった。

手のかかる子ほどかわいい、の心理である(めんどくさがり?)。

―――

この街は、だだっ広い敷地を持つ研究施設があちこちにある。
『学園都市』なんて言うけど、僕の行動範囲でけっきょく学校はひとつも見なかった。
おおきな通りに沿って走ると、500mおきくらいに『ナントカ研究所』の看板。

とにかく、広い。

でもそれがなんだか嬉しくて、『愛車』に跨りめちゃくちゃに走り回った。

学生時代を過ごした環境にちょっと似ていたからかも知れない。

―――

北海道、千歳市。

…の、中心部から離れること10数km。
そこは工業団地とは名ばかりで。
学校の周りにはバブルのあおりを受けてか、建つ見通しのない『建設予定地』の看板。

学校まで、100m。
一番近いコンビニまで、3km。
冬にはなかなか除雪が入らず、陸の孤島になるのもよくあることだった。
歩いてコンビニ行ったヤツが吹雪に遭って遭難しかけたこともあった(笑)。
その時期、寮生の朝は学校までの除雪から始まった…なんて話はまた別の機会に。


とにかくそんな所、クルマがなけりゃやってられない。
けど、カネもない。

唯一の移動手段が、21段変則の折畳み自転車だった。

近所はもちろん、
泣きたくなるくらい離れた駅までとか
さらに離れた街までとか。

電車賃をケチって札幌まで行ったこともあった。
さすがに1回で懲りたけど(苦笑)。


でも僕は、自転車からみる街が大好きだった。

―――

ここツクバに来て、ひさしぶりにそんなことを思い出した。

ついついクルマに頼りがちなこの頃だけど、たまには自転車もいいなー。


でもそんなツクバの生活も明日で終わり。
当初23日までの予定だった出張が、仕事が早く済んでしまったため1日短くなった。

嬉しいんだけど、ちょっと残念。

―――

大きい割に、街灯の極端に少ない道。

街路樹の根が張り出して、でこぼこだらけの歩道。

桜の花びらで埋まった側溝。


低めのサドルから見るそんな風景ひとつひとつが好きだった。


春の風は、まだちょっと冷たいけど。


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