月と散歩 )
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そういや、しばらく仕事の話をしてなかったや。
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いつか書いたように、いまはロケットの仕事を離れて 戦闘機の整備をしている。
ロケットも、仕事がないわけじゃないんだけど ひとをたくさん置いておくことができなくて、他所の職場に『応援』しているわけです。 ウチの会社ではよくある話で。
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なかでも僕は『応援』に出されることが多い。
他所の職場が長いと、ロケットの仕事を覚える機会が少なくなる。 他所へ行っている間は、自分の課の評判を下げないように と一生懸命になる。 自然と、応援先で僕個人の評価が上がる。へへん。 でもそうすると、自分の職場であまりいい顔をされなくなる。ぬう。 応援から戻っても、後輩に仕事を教えてもらう始末。
「あいつは『使えない』」
そう言われないように、がんばって遅れた分 取り戻す。 …その暇もなく、仕事の谷間がくる。 …と、他所からお声が掛かる。
「あいつは『使える』から」
…悪循環…。
すんません。愚痴ですね。贅沢な。
評価されたいところで認めてもらえず、 思いがけないところで評価される。
いくら、ヨソのお宅で 「あの子はいい子ねー」 と言われても、 自分の家で 「おまえはダメな子だ」 と言われてしまっては、悲しくなる。空しくなる。 …やるせない。
他人から見れば、きっと贅沢な悩みだ。 でも、結局は当人の価値観。
となりの芝は青いのです。いつだって。
…愚痴ですね。ウツですね。こりゃ。
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そんなわけで(?)、僕はいまだに戦闘機の整備をやっている。
当初の予定では9月いっぱいで、ロケットのほうに戻れる話だった。
…そして予想通り、応援期間は延ばされた。 理由はいろいろある。 9月に打ち上げが予定されていたロケットが、様々なトラブルで11月末に延長になった。 あらゆる面で 不安定な職場だ。
でも、どうやら僕の応援延長は初めから予定されたモノだったらしい。
少なくとも今年度いっぱい(3月末まで)、ロケットには戻れない。
驚きはなかったけど、落胆は大きかった。
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応援に出て、早 半年が過ぎようとしている。
作業もだいぶ覚えた。 僕が来てからエンジンを積んだ機体ももう10機を越える。
いまはエンジンを積んだ後の、スロットルの調整が主な僕の担当だ。 もちろん、すべてを任されている訳じゃないけど。
スロットルというのは、車で言うところの『アクセル』にあたる。 これでエンジンの出力を調整する。 飛行機は車と違って三次元の動きをする。 つまり『高さ』があるわけで。 車は、もしエンストしてもその場で停まるだけだけど 飛行機は エンスト=墜落 だ。
そうならないように、試験と調整をするんだけど 責任は重大。
やりがいもある。 …応援者の僕がやってていいのか?って疑問もあるけど(苦笑)。
けど。
なにか、満たされない。
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『子供』は、ほかでなにを言われても ちょっとでいいから『親』が頭を撫でてくれれば それでいいのです。
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