月と散歩   )   
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2006年02月24日(金) バク



「夢や理想じゃ、食べられないもんね」


―――


最近、昔のことをよく思い出す。

…良くない傾向だ。


―――


あの時、僕はなんて答えたろう?

…どう答えるのが、正解だったのだろう?


―――


最後のドライブだった。
そんなことは、そうなることなんて思いもせずに。


とてもくだらない話をした。

初めての遠出だった。
とにかく、人のいないところへ行きたかった。

ふたりは、まるで何かから逃げるように
とにかく北を目指した。

よく、ドラマなんかで犯罪者が南国じゃあなく北へ逃げるのは
そのときの僕らと同じ気持ちからかもしれない。…なんて。

『そこ』に行ければ、なにかが救われる気がした。
たとえ、ハッピーエンドじゃなくても。



最後のドライブは、笑っちゃうくらい『僕』の縮図だった。

よく道に迷った。 しかも、進んで迷いにいった。
よくしゃべった。
よく笑った。
とても はしゃいだ。



…たぶん、わかっていた。 認めたくはないけど。


―――


「夢はなに?」


―――


なんて答えたっけ。

まだ、その頃の僕は、現実に気付きながら夢に逃げていた。

たぶん、あてのない絵空事を並べたんじゃないかな。


僕がそれまで追っかけていた『夢』のひとつは
追いついてみたら ただの『現実』の集まりだった。


そんな僕の口から語られた『夢』は、とても薄っぺらに聞こえたろう。


…だから、もうひとつの夢は去っていってしまった。


―――


あれからもう何年経ったろう。

あの頃の僕らに、見せてやりたい。 今の僕を。


―――


モノをつくる。

それを欲しいといってくれる人がいて、
引き換えにお金を貰う。

そのお金でご飯を食べて、また、モノをつくる。


とても、シンプル。


誰に媚びるでもなく、自分たちの作りたいものを作る。
『責任』は、よくも悪くも 自分に帰ってくる。

必要なものがないなら作ればいい。
できないなら、出来る人に頼ればいい。
かわりに、その人が出来ないことを してあげればいい。


それが出来る、僕が今いるここは、まさに理想だ。


それは、
「もうここでいい」
なんていう諦めに似た理想では決してなく、
常に
「いまよりもっといいところへ」
と思える。

そういう意味でも。


―――


『夢』は、いま、僕がみているものだ。


『理想』は、次の瞬間に訪れるだろう瞬間だ。


それが、良くなるのも悪くなるのも
今の自分次第だ。

この瞬間を良く生きれば、次の瞬間はもっとすばらしいものになる。


どうだ、このやろう。
夢で食えてるじゃないか。


…なんとか(苦笑)。


―――


だけど、もっとすごいことに 気付いてしまった。

ここには、「ひとり分しかない」ってことに…!


―――


…だから、よかったね。


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