「またこの国の記憶を見てたの?」 まるでこちらの思考を読んだかのように、笑みを含んでルウファが問う。「別に……見ようと思って見てるわけじゃない」 反発するように少年の声は不機嫌なものになった。「そう?」 窓枠に腰掛け直しながら、彼女は小首を傾げる。高く結った紅い髪がさらりと揺れる。