「硝子の月」
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2006年12月31日(日) <輝石> 瀬生曲

 彼はそのまま視線をルウファに向けた。
「例えば、あの時の魔法使いによく似た紅玉ルビーのお嬢さんがここにいるのは偶然だろう」
 何かを懐かしむような穏やかな眼差しを真っ向から受け止めて、「運命を知る」という少女は笑みを浮かべる。
「運命よ。ただし、あたしのね」
 『影王』は一瞬驚いた表情をし、「そうか」と微笑して頷いた。
「そうだな。君達は新しい輝石になればいい」
 新しい輝石は、新しい軌跡を描くことだろう。そしてきっと新しい奇跡を起こす。一人の青年が仲間と共にこの国を興したように、それとは違った物語を。それは歴史を動かすかもしれないし、ひっそりと忘れられることになるかもしれない。
 そしてそれは、それでいい。


紗月 護 |MAILHomePage

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