「硝子の月」
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2009年03月31日(火) <夕刻> 瀬生曲

 一同が振り返ると、当然のような微笑を浮かべるシオンが立っていた。
「お前いつの間に……」
「愛する子猫ちゃんのもとにいつでも僕は現れるのだよ。そう、愛故にね!」
「「「ああはいはい」」」
 いつもの調子で力説する青年の台詞を、ティオ、ルウファ、グレンの三人は軽く受け流す。
「照れているんだねルウファ。可愛い人」
「寝言は寝てる時に言いなさい」
「しかし君達にまでそんな風にあしらわれるのは不愉快だな」
 少女の辛辣な返しに耳を貸さないのもいつもの調子であるが、青年は珍しく残る二人に視線を向けた。底冷えのするような薄水色のそれは、いつもの彼のイメージからは遠く思わずたじろいでしまう。瞳孔が黒以外に見えるのは錯覚だろうか。


紗月 護 |MAILHomePage

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