「硝子の月」
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一同が振り返ると、当然のような微笑を浮かべるシオンが立っていた。 「お前いつの間に……」 「愛する子猫ちゃんのもとにいつでも僕は現れるのだよ。そう、愛故にね!」 「「「ああはいはい」」」 いつもの調子で力説する青年の台詞を、ティオ、ルウファ、グレンの三人は軽く受け流す。 「照れているんだねルウファ。可愛い人」 「寝言は寝てる時に言いなさい」 「しかし君達にまでそんな風にあしらわれるのは不愉快だな」 少女の辛辣な返しに耳を貸さないのもいつもの調子であるが、青年は珍しく残る二人に視線を向けた。底冷えのするような薄水色のそれは、いつもの彼のイメージからは遠く思わずたじろいでしまう。瞳孔が黒以外に見えるのは錯覚だろうか。
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