日記でもなく、手紙でもなく
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2003年05月02日(金) |
アイザック・スターンの遺品 |
2年前に亡くなった名ヴァイオリニスト、アイザック・スターンの遺品がインターネット上で競売にかけられるという(ロイター:ネットニュース)。 スターンといえば、その演奏活動だけに止まらず(この人の残した演奏を一番にあげる人も今なお多い)、晩年は精力的に教育活動にも力を入れていた人。
今回競売にかけられるスターンの遺品の中でも、特に注目されるのは、19世紀半ばに製作されたジャン・バティスト・ヴィヨーム製ヴァイオリン。ネット上なので、落札下限価格が提示され(47.5千ドル≒560万円)、それがどこまで高くなるか、というところにやはり注目が集まりそうだ。
ただ、今回のネット競売上では、ストラディバリウスが1687年に製作したバイオリンも出品され、その下限価格は70万ドル(≒83百万円)ということで、さすがに驚異的な価格になりそうな気配もある。 ヴァイオリニストなら、やはりぜひそれで演奏してみたい、という人がかなり多いが、ここまでの金額になるとおいそれとはなかなかいきそうもない。
もちろん、どこかの財団が購入して、それを今後伸びていきそうな若手演奏家に貸し出すということも十分考えられる。
誰が落札するか、ということだけではなく、それを誰が使うかということまで楽しみなのが、このヴァイオリンでもある。 しかし、300年以上前の楽器が現在でもピカイチであるということの不思議。
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さて、このオークション、ネット上で行われているのなら、恐らく見ることができるのではないかと思って、検索エンジンで探してみたところ、さほど時間がかからず発見できた。<Tarisio>というサイト。
http://www.tarisio.com/auction/index.php
この中のメニューにある《Auction》へ入り、最初からブラウズするもよし、特定のものを拾い出すもよし、いずれにしても出品アイテムそれぞれについて、内容・来歴などが説明されている。
この中の、カタログNo.363がストラディバリウス。現在19時過ぎだが、まだこれへの入札はない。推定で90〜120万ドルという表示も見える。 しかし、スターンの遺品の中の、注目されていたジャン・バティスト・ヴィヨーム製ヴァイオリンは、下限の47.5千ドルに入札され、現在50千ドルの入札も入っている状況であることがわかる。こちらのほうは、推定で70〜100千ドルである。 上記2点はそれぞれ、米東部時間の5月8日午後に入札終了となる。
2003年04月28日(月) |
日曜と祝日の間の月曜 |
今年のGWは全くつまらない祝日の入り方をしている。 カレンダー通りに今日は出勤。電車の混み方はいつもとさほど変わらなかったが、会社へ出てみると同じ部署のメンバーは3分の1ほど休みを取っていた。やはり今日か、あるいは5月2日とかに休みを取って4連休にする、というのが正解かもしれない。
午前中から温度が上がりかなり暑くなる。
2003年04月19日(土) |
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール<聖トマス> |
昨日同様暖かい日。カーディガンをバッグの中に入れて出かけたものの、結局それを取り出して着ることはなく、長袖のシャツを少し腕まくりしたままで一日過ごしてしまう。
上野・西洋美術館の生垣に植えられたツツジの花がかなり開き始めている。白・薄紅・紅の三色が入り乱れ、春も半ばから後半に入り始めたような感じもある。
科学博物館の<マヤ文明展>を見た後、西洋美術館で開かれている<織りだされた絵画〜17〜18世紀タピスリー〜>の小企画展を見る。この企画展、かなり大きい作品が多く、しかもそれぞれ立派な工芸作品であるだけに、6点ほどの展示なのだが、本当に見ごたえのあるものになっていた。 見終わって閉館まで少し時間があり、2Fの常設展へ足を向けることにした。
実は、昨年9月にウィンスロップ展を見に来た時、本当に久しぶりに常設展も覗いておこうと思い、そこで一通りは見て、その昔ここへ来た時よりも、本館2Fに展示されているオールド・マスターのコレクションの充実に感激した覚えがある。 しかし、その時気がつかなかったか、あるいはその時点では展示されていなかったか、どちらかはよくわからないが、ふとその絵の前に立ってタイトル・プレートを見ると、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの<聖トマス>と書かれている。
またまた仰天してしまうことになった。 ラ・トゥールの作品というのは、フェルメール同様20世紀になって再発見・再評価が進んだ人であると同時に、フェルメールほどではないにしても、その真筆とされる作品数はかなり限られているからだ。 日本には、東京富士美術館には1点だけこの人の作品を所蔵していることを知っていたが、2回ここへ足を運んだものの、貸し出されていたり展示されていなかったりして、まだ出会えないままになっている。
日本では、やはりなかなかジョルジュ・ド・ラ・トゥールにお目にかかれることはないか.....と思っていた。恐らく企画展でどこかの美術館からやってくることもほとんど考えにくいし。 それが、ふと足を止めたところ、自分の目の前30cmのところにあった。
プレートに付された数字からは、2001というのが読み取れ、おそらく昨年には、この位置に展示されていた可能性は大きい。 ただ、もしも昨年9月に見落としていた、とするならば、恐らくこの画家らしいと思われる部分が、比較的希薄なことが影響していたのかもしれない。画集などで比較的よく知っているような後年のド・ラ・トゥール作品と比べると、やや筆致が粗い感じがしなくもない。
後で西洋美術館のHPを覗いて、常設コレクションのリストを見ると、この作品は<寄託>というクレジットが付されていた。ということは、2000年以前には、ある個人またはある団体・組織が保有していた、ということだろう。よくぞ持っていたことだ、とも思う。
他にも、1700-10年頃の彫刻である、コルネイユ・ヴァン・クレーヴの<ヴィーナスとキューピッド>、<プシュケとキューピッド>という一対の極めて精度の高い宝玉のような作品(それぞれ高さ30cmほどの小さいものだが)も、この2Fに展示されているのも、今回やっと気がつくことになる。
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