ことばのかけら
桜子



 ジムノペディ

点々ところがる音符の上を
片足飛びで渡ってゆくよ

ジムノペディの
自由

四角四面
がんじがらめの風に吹かれて
生き辛くなったら
思い出そう

点々ところがる音符の上は
時々足元がくずれるけれど

ジムノペディの
水面

うつくしい波紋が広がっている

2006年01月18日(水)



 Shining in my heart

薄く雲のかかる
けだるい味のする毎日
あなたは急に照らしてしまった
ジリジリ
心を責めるように

少しの間忘れていた暖かさに
すっかり参っている
毛布のようにくるまれた雲の
居心地のよさを忘れ

けれどどうか
まっすぐな光で居て欲しい
そのためにはどうしたらいい・・・
このまま微笑んでいるしかない?

少しの間忘れていた輝きは
しっかりと影をつくった
「もう昔には戻れないかな・・・」
寂しそうに雲が言った

けれどどうか
優しい雲で居て欲しい
そのためにはどうしたらいい・・・
この想いを仕舞うしかない?

2005年08月25日(木)



 

夕陽が傾いて
お芝居のライトが照らしたように
薄紅色の花が輝いた さらにさらに

見上げる桜
いちねんに一度咲く
生きてる時が限られているなら
あと何度
咲いた散ったと騒げるだろう

明日は暖かいという
あぁ勿体無い まだ咲かないで
週末は雨だという
あぁ憎らしい まだ散らさないで

まだ、あともう少しだけ
この樹の下で見とれていたいの・・・

さぁっと風が吹く
雨のような花びらで
体ごとさらって欲しい

2005年04月07日(木)



 Party!

ほっぺのつけねの筋肉が
ひきつるんじゃないかって そのくらい
笑った 笑った 大声出した

失敗もしたけれど
夜の闇に優しく熔けていくように映る家の灯が
人々の笑顔が 温度が 体温が 言葉が 声が
きっと許してしまう

人が 逢う 集うということ
その時間は その時かぎりの貴重なものなのだということ

あったかい暴走のひと時。


2005年02月12日(土)



 落ち葉と犬

一日など
過ぎるのが早い・・・
曇り空の今日だけど
そろそろ、部屋の方が明るみを増してくる時間

いったい何のために生きるだろう・・・
風呂につかってじっと考えたゆうべ
つかる湯を蹴ってみた

答えは永遠に出ない

愛犬が
落ちた枯葉の上を選んで歩く
カラカラ乾いた音が、楽しいのだそうだ


2004年11月11日(木)



 永遠に心の中で・・・

ごめんなさい
ゴメンナサイ
ごめんなさい・・・

なんべん
なんじゅっぺん
謝っても謝っても

それはもう過ぎてしまった時の中のこと

だけどどうしても
謝りたくなることがある
しょっちゅう、ある
時の経った今だからこそ
解ったことが 沢山あるんだよ・・・

風がただ、私を吹き抜け
月はただ、そこで輝いてる

2004年11月04日(木)



 向かい席

少しだけ
いえ かなり
怯えうつむき 眠る前のミルクコーヒー片手に
テーブルにつく
今の私

その
向かいの席に
明日の私が座っているなら
どんな顔をしているの
どんな顔でそこにいるの・・・

『救い』は
おそらく
私自身のこの手
他の誰でもなく

勇気の欲しい右手に
いま 握るものは
長針ひとまわりぶんの間
飲み干せなかったミルクコーヒーのカップ

2004年10月14日(木)



 やすらぎへと・・・

ダンスの稽古用に
普段着に
作業着に
今はパジャマに

着古されたTシャツ
少しずつ、格下げ

古びた
くたびれた
そうして、老いていったものたち
いつかの日々とは違って
気張った輝きは、すこし、失われたけれど
今は、くつろぎを与えるものへと変わった

オモイデ
ニガイモノ
ワスレルベキモノ

…そうでもないよ
薔薇があまりにも美しすぎて
チクリと刺さったトゲのようなものだよ

全ての時は流れていく

2004年07月27日(火)



 振り

知ってたよ
遠くの方から小走りにやってきたのも
ちょっと、見てた

すこし時間に遅れ気味の待ちあわせ
怒りたい気持ちは少しもない
ただ


「あ、きたぁ」

たった今、気付いたような振りをする
ずっとずっと待ち焦がれていた気持ちが
大きすぎて恥ずかしいから



2004年06月06日(日)



 君の言いたかった言葉・・・・・・

あの時 君は
何かを伝えようとしていたんだね

同じ言葉
何度も
何度も
繰り返し描いて

言うに言えない思いを
どこかにぶつけようとしていたんだ……

2004年04月14日(水)
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