解放区

2014年03月04日(火) R-1グランプリ2014

お笑いが大好き。昔はテレビでもよく見ていたが、最近はさすがにそれほど見なくなった。下らない内輪ノリのものではなく、それなりの「芸」が好き。

東京に行ったら、時間があれば演芸場に足を運ぶ。東京の笑いは嫌いではないが、独特の芸がありこれもまたおもしろいし、何より演芸場の観客の笑い方がすごいと感じる。もう、徹底的に笑いに来ている。「よーし今日は徹底的に笑うぞ!」みたいなノリで、何が面白いのか全然わからないネタでももう爆笑。てめえはむしろその観客の「笑い方」が好き。

学生の時も、学園祭では毎年欠かさず「落研」の発表を見に行っていた。レベルは高くもなんともないが、一生懸命な感じがとても好きだった。毎年見に行っていると、各個人がどれくらい成長したかがわかるのが面白い。ただし、学園祭以外の発表にまで足を運ぶまでコアではなかった。そういうスタンス。



そんなわけで、今年のR1の感想。

Aグループ:全般的に全然だめ。RGが勝ち残ったのは正直意味がわからん。


レイザーラモンRG:ジョブスの真似は、初めは面白いと思ったが、後半のあるあるネタが全然意味わからんかった。
ヒューマン中村:これまた全く笑えない。
TAIGA:この人、たぶんこの瞬間が人生最高の瞬間なのだと思う。
スギちゃん:Aグループの中では一番面白かったけど…。「ピークは九時」に爆笑したが、観客席は静まってしまった。やっぱり下ネタは受けないのだろうね。しかしこの人、勢いだけじゃなくて芸としては完成しつつあると思う。

Bグループ:全般的に「芸」を楽しめてとても満足。このグループが最もレベル高かったのでは。

小森園ひろし:リアリティはないけどネタとしてはとても面白かった。あんなラーメン屋まずないしね。でもネタとしてはありそう、というのが秀逸。〆だけが残念。
ミヤシタガク:こういうシュールネタは嫌いじゃないけど、暗さが強かったのと、何と言っても同じグループの他の方々が良すぎた。何気に「ギリヤーク尼ケ崎」さんに似ていると思ったのはてめえだけだろうか。そんなわけで今後ぜひ頑張ってほしいと思う。
やまもとまさみ:今回のネタの中では一番良かった。正直神レベル。「あれ、ほらあれ!」っていう、言葉が出てこないことって誰にも思い当たりがあり誰もが思いつきそうだけど、今まで見たことない。そこに目をつけたというのが秀逸だと思った。
中山女子短期大学:これも神レベル。シューベルトの「魔王」の替え歌だが、このネタで勝負しようと思ったことに感動した。元ネタが全く分からない人はたくさんいるだろう。

Cグループ:ここのグループも「芸」として素晴らしい。BKB以外は誰が上ってもおかしくないね。っていうか、Aグループの惨状は何?

バイク川崎バイク:この人も、この瞬間が人生最高の瞬間かと思ったけど、ネタ以外の部分で今後生き残るかもしれない。
馬と魚:上手い! とひたすら感心。今まで見たギター芸の中では最も秀逸と思った。
おぐ:ニコ動を思わせる演出が面白かったし、ハゲ芸の中では秀逸だった。本人のセリフが一つだけって、去年のアンドー君に次ぐ記録じゃないか。自分的にはこのグループの中で一番面白く見た。
じゅんいちダビッドソン:「ホンダ芸」面白いのか? という先入観とは裏腹に、とても面白かった。

ファイナルはさらに大惨事で、RGは相変わらずでやまもとまさみも前半の破壊力はなく、馬と魚に至っては痛くて見てられないレベル。

この時点で、おいおいRGを選ぶ出来レースかよ(吉本所属)となんだか腹が立ってテレビを消してしまった。結局やまもとまさみがグランプリをゲットしたと聞いて驚いた。初めての非吉本グランプリだはず。ファイナルネタがどれも評価できず、一本目の内容で選んだのであればとても理解できますぜ。





台湾旅行は娘が不参加。経緯を聞いた弟は「なにそれ! 意味わからんわ!」と「激おこぷんぷん丸」になっていたが、てめえはしばらく立ち直れなさそうだ。

まあここはひとつ気持ちを入れ替えて弟と「激旨ぷんぷん丸」的なグルメツアーしてやるぜぇ。ワイルドだろ?



2014年03月03日(月) その1

恩納村から国道58号線を北に進み、沖縄自動車道との合流点を過ぎ、かつては交通の難所として知られた名護の七曲を抜けると、こじんまりとした名護の市街地が出現する。

左手に広がる青い海と、右手に聳える崖の合間を縫うように走る58号線の向こう側に見える名護市街は、始めてみたときはまるで蜃気楼のようだった。

その蜃気楼に向かって、買ったばかりの原付を走らせた。南風原を発ってから約3時間の旅に、この中古の原付バイクはよく耐えた。割れたボディをガムテープで無理やり補強した、頼りのない見た目とは違って、このホンダのバイクのエンジンはすこぶる快調だった。一度も不調を訴えなかったこのエンジンに、おい、目的地はもう少しだからな、と私は心の中で呟いた。


目的とした民宿は、名護市役所のすぐそばにあった。前衛的な建築物である名護市庁舎は遠目にもすぐわかったので、民宿まではほとんど迷うことがなかった。

目的とする民宿の前で、原付のエンジンを止めた。民宿自体は道路から少し入りこんだ路地の奥にあったので、バイクを押して歩いていく。焼けるような沖縄の太陽が身に刺さり、海からの潮風が体を包む。バイクを押した距離はほんの10m程だったが、暑さと湿気でたちまち体中から汗が噴き出した。

民宿の前にバイクを止めようとすると、中から出てきた男と目が合った。おそらく宿の主人だろうと私は思った。

「すみません、今晩の宿を予約していたものですが…」

「あい、電話くれた人ね。兄さんごめんね、申し訳ないけど、予約の人がたくさんいてね。なので相部屋になるけどいいかな。その代わりと言ってはなんだけど、料金は半額でいいさぁ」

と、奥の方からのっそりと出てきた宿の主人は全く申し訳なさそうな素振りを見せずに言った。



2014年03月02日(日) 後輩と飲みに行くということ。弾丸福岡。

てめえが研修医を誘って飲みに行くことがほとんどないのは、自分が研修医だったときに飲みに誘われるのがとても嫌だったからだ。

研修医の朝は早い。完全に覚めていない瞼を擦り、まだ夜が明けて間もない時間に病棟に向かう。深夜帯の看護婦さんが予め病室ごとに準備してくれた採血用のスピッツを持って病室に向かう。この時間だとまだ寝ている患者さんもいるので、そういう場合はそっと起こして許可を得て、採血を行う。

朝7時半からはカンファレンスが始まるので、それまでに採血を終わらせなければならない。うまく仕事が進んで採血が早く終わると、短い朝食にありつける。カンファレンスに遅れると「おお、ええ身分になったな」と怒られるので急いで採血を済ませなければならない。


カンファレンスは貴重な勉強の場でもあるのだが、これがまた眠くて仕方がない。

カンファレンスが終わると、一日の仕事が始まる。上級医は外来に向かったり胃カメラなどの検査に向かう。研修医はひたすら病棟を走り回る。


夕方になれば、回診が始まる。上級医の外来が終わらないと回診は始まらないので、だいたい開始時間は午後7時ごろである。上級医の前で、担当している患者の状態を一人ずつプレゼンテーションする。そして今後の方針を議論し、検査や治療方針を決めていく。


プレゼンテーションが終われば患者さんのもとに回診。それがすべて終わるのが、だいたい9時くらい。それから決まった方針をカルテに記入する。

これらがすべて終わるのが、11時から遅い日は12時を超えることもある。

そこから飲みに行くのは苦痛以外の何物でもなかった。次の日はまた早くから採血がある。こっちは一刻も早く帰って寝たい。ていうか、仕事から解放されたい。けど、断ることはできない。そんなわけで、連日オリオンビールと泡盛を呷りながら、てめえが指導医になったら研修医を連れまわすことだけはやめようと心に決めた。








今日は朝から弾丸福岡出張。5時半に家を出て、京都駅から新幹線に乗る。早朝の京都市内は車も殆ど走っておらず、予定より早く京都駅に着いたので、思わずふらふらとたかばしに向かい、気がつくと第一旭の「肉なしネギ多め」を頂いていた。笑 6時過ぎだというのに行列ができていたのには驚いたが、店を出た時には行列がさらに長くなっていたのにはもっと驚いた。

そして福岡でせっせと仕事。仕事が終わった後に、自分へのご褒美として長浜ラーメンを頂いた。本当は、同行した研修医から博多での夕食を誘われていたのだが、丁重に断った。

決してラーメンを食べたかったからではなく、何となく憚られるのですよ。気を使う人は外して、仲間同士で楽しく食事してくださいね。彼らがてめえに気を使うのは目に見えている。また京都で、いつか仕事も早く終わったら飲みに行こうや。

爆臭豚骨を覚悟して向かったのだが、まったく獣臭なかったのには驚いた。本場は獣臭ないのだったら、あのくっさい店はどないやねんと心の中で突っ込みを入れる。獣臭がないとわかっただけでも今日は大きな収穫だった。


帰りの新幹線では、仕事終わりの晩酌をしたら終点の名古屋まで爆睡するのは目に見えていたので笑、コーヒーで我慢。その分たくさん本を読んだ。

新幹線の車内ニュースで、三重県の事件で高校生が逮捕されたことと、クリミア半島がロシアに占拠されたニュースを見る。どちらもとてもやりきれない気持ちになった。パラリンピックが控えているのに、開催国ロシアが決断したのは、なんだかとてもとんでもないことが待っているような気がしてならない。五輪の開催国が軍事侵攻(まあ少し違うような気もするが)するなんて前代未聞だが、人的被害がほとんど出ていないことがまた不気味だ。

そして今。疲れ過ぎて逆に眠れないので、アルコールを入れながらこんな駄文を書いている。



2014年02月28日(金) どうなる台湾旅行。いかれたパソコン。そして読んだ本とか。

娘から「台湾旅行の初日と、高校のオリエンテーションが重なってしまった」との連絡が来た。ええっ、そんなことありですか。こっちは前から仕事も調整し親のショートステイも取り、ようやっとチケットも確保したというのに。

「学校を優先したい」ということで、それはまあ当然の思いですが…。何とかならんかな。娘が不参加だったら、弟と二人旅という当初の趣旨から外れまくったとても不毛な旅になってしまうのだが。



今日仕事から帰って、パソコンを立ち上げようとしたらなんとログインできなかった。パスワードを変えてもいないし、これは困った。というわけで、いろいろ調べてセーフモードから何とかログインに成功したが、なぜか一部のデータが消えていた。涙。

まあ、大事なデータは全てクラウドに入れているので実害はあまりないのだが、なんとも消化し切らない気持ちだけが残った。消えたデータを復旧する気にもならず、てめえはこんな駄文を書いている。もうウィンドウズ嫌いじゃ。




そんなわけで、さっさとやけ酒でも飲んだろかと思ったが、思い直して昨日届いた医学書を読み始めたら、すっかりはまってしまった。久しぶりに勉強する楽しさを感じたが、同時にやっぱり自分は臨床が好きなんだということを実感した。問題なのは環境のみだね。


それとは矛盾するようだが、昨日読んだ「研修医山田(じゃまだ)君・トリロジー」も衝撃だった。

研修医や今の医師の置かれている立場がいかに悲惨かということを描いているのだが、これが猛毒。あまりに黒い内容に、初めに連載していた医学雑誌で連載が中止されたくらい。しかし現場を知っている人は、正直涙なしでは読めないレベル。ほんまに現場は悲惨なのです。






目取真俊の「風音」読了。一部わかりにくい点があると思うが、この人の構成力と表現力は面白いと思う。いろいろ思うところはあるが、なんだか今日は娘のこととパソコンのことで疲れてしまったのでこの辺で。ビットコインとかウクライナ情勢とかてめえの花粉症が再燃してきたこととかいろいろあるけどね。



2014年02月26日(水) ある研修病院の一頁 其の弐

て「で、結果は? 陰性やったやろ」

A「はい、陰性でした…。」

て「よし、もうインフルエンザのことは忘れよう。2回も検査しているので、まず否定できるわな。じゃあもう一度、考えられる疾患と、今後のプランについて議論しようか」

A「考えられる疾患としては、咽頭炎ですね。細菌性とウィルス性があって、後者の場合は伝染性単核球症の可能性もあります」

て「そうやね。細菌性やとまずは溶連菌やね。昔はジフテリアもあったらしいけど、今やほとんど見ないし頭の片隅にとどめておくくらいでいいと思う。溶連菌やったら、繰り返している人も多いし、過去に溶連菌感染がなかったかどうか確認した方がいいね。あまりに感染を繰り返すようなら扁桃摘出術の適応にもなるしね。ちなみに手術適応はどうなっている?」

A「ええと、年に1回は罹る場合でしたっけ?」

て「それやとかなり対象者が多くなるね。Bさんは?」

B「年に3-4回だったと思います」

て「そうやね。それくらいになるともう日常生活に支障を来すレベルやし、手術した方がメリットがあるよね。さて話を戻して、ウィルス性の場合は伝染性単核球症もあるけど、多いのはアデノウィルスやね。他に忘れたらあかんのがヘルペス。ヘルペスは他のウィルスと違って治療薬があるので、忘れたらあかん。他は?」

A「ええと、真菌もありますかね」

て「免疫不全状態とか、免疫抑制剤を飲んでいる場合などは考えた方がいいやろね。この方の場合はどうやろ」

A「若いし既往歴もなく、免疫抑制剤も飲んでいないとのことであまり考えなくていいと思います。」

て「せやね。まあ可能性としてはだいぶ下の方やな。他は?」

C「癌の転移とかはありますか?」

て「ないことはないやろうけど、それこそ可能性としてはだいぶ下の方やな。そもそも転移やったら原発の症状があるやろうし、25才で癌はかなり考えにくいんちゃうかな。転移考えるんやったら、むしろ原発性の咽頭癌などをまず考えた方がいいと思うけど、これまた年齢的に考えにくいね。他は?」

B「稀な病気でもいいですか? 菊池病とかも考えられるかと思います」

て「おっ、いい意見が出たね。菊池病は知られていないだけで、意外と稀じゃない。若い人にも多いので、頭の片隅に入れておいた方がいいね。よく知ってたね。今は学校で習うの?」

B「いえ、以前にリンパ節の腫れた患者さんの鑑別に上がっていたことがあったので、その時に勉強しました。」

て「ぜひ覚えておいてね。知らんとそもそも診断できないからね。まあとりあえずはこんなものかな。で、プランは?」

A「溶連菌かどうかですね。」

て「その通り。溶連菌だったら、溶連菌の治療を行う。溶連菌検査が陰性だったら、他の原因を探しに行かないといけないね。で、溶連菌の検査はどうだった?」

A「それが検査しなかったんです…」

て「あきさみよー! 2回目の来院時も検査しなかったのね。で、どうしたの」

A「採血をとりました。」

て「なるほど、まあいいけど、今度からは溶連菌の検査してね。喉こするだけや市、結果は10分くらいで出るし。で、結果は?」

A「炎症反応は余り上がっておらず、白血球も軽度上昇くらいで左方移動は認めませんでした。異型リンパ球は認めませんでした。肝機能障害がありました。その他大きな異常を認めませんでした。」

て「どう解釈しようか」

A「ちょっと判断に困りました。典型的には細菌性ではないし、伝染性単核球症も否定できないし…」

B「炎症反応はタイムラグがあるときがありますよね。だから細菌性ではないとは考えないです。でも、肝機能障害があるのなら、まずは伝染性単核球症から考えたいですね」

C「私は普通にウィルス性で良いと思います。伝染性単核球症だと典型的には異型リンパ球出ますよね。肝障害はまた別で調べて行った方が良いのではないかと思います」

て「ふむ。いろんな意見が出たね。さて、この採血が2回目の来院時ということを考えると、タイムラグは考えなくていいと思うよ。症状が出てすぐだったらまだしもね。しつこいけど、溶連菌の検査をしていればはっきりするんだけど、していないのだからしょうがないよね。しかしこの結果からは細菌性の香りがしないね。なので、ウィルス性を考えたいね。伝染性単核球症の場合、異型リンパ球が出ることが多いけど、後から出てくることもあるので否定はできないね。ちょっと時間はかかるけど、ウィルスの抗体検査をするとはっきりするので検査は出しておいた方がいいな。で、どうしたの?」

A「咽頭痛と嚥下痛がつよく、食事もとれないと言うことで入院としました。追加でウィルス抗体も提出しました。」

て「そうだね。ウィルス性だと治療もないけど、咽頭痛が強かったら水も飲めないし入院して補液する必要があるよね。」

A「で、細菌性も否定できないと考えて、ペニシリン系の抗生剤も念のために投与を開始しました」

て「な、な、なんだってー! あきさみよー!」


 < 過去  INDEX  未来 >


い・よんひー [MAIL]

My追加