夕暮塔...夕暮

 

 

君よ鳥よ - 2001年10月09日(火)

君よ鳥よ 羽を一枚 残し去れ 飛べはせずとも 空を思える


………




君の見る景色は、胸の痛みさえ知らない幼子の描く憧憬そのままの形でそこにあるだろう。そして無限を知り、これまでに偽りを説いたすべてを棄却して羽ばたくだろう。
けれど私は一緒には行けない。
だからその羽を一枚抜き取る刹那の痛みだけ、私に許してはくれまいか。


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いつかに似ている - 2001年10月08日(月)

夕暮れを 待って月夜の 明日を知る 今日は何だか いつかに似ている


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見たかった映画が恐ろしく混んでいて、雨だしとデパートなどに入ってしまった所、色々と衝動買い……… ああ、久々にやらかしてしまった。

嘆息。
…でも幸せなんだ、それは事実だ。しょうがない。




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地平まで花 - 2001年10月06日(土)

ありがとう
ありがとう

世界を満たすこのあまやかな
喜びの数を並べたならば
やわらかな色の花たちが
地平まで果てもなく広がるだろう
生まれてきたその幸運を
夜空はまたたいて歌うだろう

ありがとう
ありがとう
ありがとう


…………


世を満たす このあまやかな 歓びを さあ並べよう 地平まで花





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胸焦がすほどに - 2001年10月05日(金)

ささやかで 当たり前の事も 今ならば 胸焦がすほどに いとおしい日々


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ADSLに切り替える為にLANボードを付けたら、どうにもちゃんと認識してくれない…。
うーん。
しょうがない、もう一度ハード開けるか…。面倒だなあ。


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夢の話のつづき - 2001年10月04日(木)

壊れた船から投げ出されて海中に沈んだ人々が、やがて必死に浮かび上がって来て、私の掴まっている(しがみついていると表現した方が適切かもしれないが)船の残骸に縋ったり、その破片を見つけて浮き具の代わりにしている。
海に投げ出されたのは、十数人。そのほとんどの人が、何とか海上に顔を出しているようだった。
けれども、どう見渡してもそこに弟の姿はない。
私はもうほとんど恐慌状態だ。必死で何度も弟の名を叫ぶ。応答はない。
海の色は深く、どこに何が沈んでいるのか全く見えない。
また一つ、海から顔が浮かび出る。祈るような気持ちでその人を見たが、全く知らない顔だった。凄まじい失墜感。

私は一瞬、ここにいる人などすべて無くてもいい、見たいのは弟の顔だと思う。
そこで夢は終わる。

なんという残虐さだろう。
私が私を、人間を恐ろしいと思うのは、まさにこういうことなのだ。
狂おしいほどに愛しいと思う人の為になら、他を切り捨てる事など厭わない、その傲慢さ。
世が平静であるときのうつくしい倫理など、そこではものの見事に砕けてしまう。


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夢の話。 - 2001年09月30日(日)

弟を失う夢を見た。
長く眠り過ぎた最後には、いつもそんな風に、後味が悪くて辛い夢を見て目が覚める。あるいは、発熱中だったせいかもしれないが。
夢の中で船から投げ出された弟は、今より大分幼い頃のようだった。





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影が怖くて - 2001年09月29日(土)

目を固く 閉じて震える 子供だった 自分の中の 影が怖くて


………


その頃のことは、よく覚えている。
一過性の熱病のようだった。熱いのか寒いのかもよくわからないみたいに、ただ夢中で憎悪して、この嵐が早く過ぎ去ればいいと頭を抱えて震えていた。
今なら、確かに愛しいと言えるのに。
心から。



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舵を取る - 2001年09月28日(金)

舵を取る 闇の深さを 測りかね ひとりたゆとう 白河夜船


愛してる ひとしか傷付けたくないと 君は泣くんだね なんて傲慢


………


今日の短歌は、大学生の時作ったのを少し直してみたもの。
風邪をひいてしまったので、お茶の誘いを断って帰宅。もう一度寝よう。






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糖蜜の - 2001年09月27日(木)

今は会えぬ 君の髪へと 光降れ 金のつきかげ 糖蜜の夢


………


糖蜜のように胸を甘くする、そんな幻想ほど重たいものはない。
抱えたままでは現実と離反し、けれど手放したら指針を失う。このままどこまで落ちて行くんだろう。
閉じた瞼の裏で声もなく笑うあの人に、叶うことなら触れたいと、そう望みながら懺悔する。


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花と輝け - 2001年09月26日(水)

濃密な 雲の渚を 迷い出て 花と輝け ひとときの嘘


………


母方の墓石に連なる埋葬者の名前のひとつに、「ガダルカナル島にて死す」という意図の言葉が刻まれている事に気付いたのは、数年前のことでした。
おそらく遺骨は帰ってきておらず、あの中には無いのでしょう。その為の記述であろうと思います。
ガダルカナル。
「野火」という小説の舞台にもなった、太平洋戦争の激戦地の名です。
私は戦争を知りませんが、自分に血の繋がった人がそこで死んでいるという事実は、少なからず衝撃をもたらしたようです。その名を聞けば、妙な親密感を伴って、感傷的になってしまうような。

本当は昨日添えるべき文章だったのですが、少しためらいもあったので、1日遅れで。


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