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快楽の庭 - 2001年12月12日(水) 快楽の庭に言葉は無かりきと 説く清冽な横顔いとし ************** ***** *** * アユーラから発売されたオードパルファム、買おうかどうか迷っている。はじめて見た時からずっと。 瓶は恐ろしいくらい好みなんだけど、香りが物凄く飛びやすいそうで、それはちょっと寂しい気がして。どうしようかな。 とりあえず明日もう一度カウンターに行ってみよう。 ここ暫く電車の中で読んでいた文庫本を読了。奥泉光『葦と百合』。後半は胸を高鳴らせながら読んだ。まだ未消化な部分がある気がするので、少ししたら再読しよう。この方の小説、私はやっぱり『石の来歴』が一番好きなんだろうな。全部読んだわけではないからこんな風に言ったら本当はいけないのだけど。これから読む予定の作品が面白い事は確信していて、でもその上できっとあれがトップから動かないだろうと思っている。きれいにツボを突かれたものだ。 - 宵の星 - 2001年12月11日(火) 熱帯びた 街は輝き 浮かれても 初冬の宵の星すがすがし **************** ******* ***** * * クリスマス前特有の空気が日常の風景に満ちるようになった。勿論ネットだって例外ではない。財布の紐のゆるみを突いて消費を促す為に明るく暖かなイメージで飾り立てられたデパートや商店、それでさえも視覚を楽しませるように出来ている。 きらきらと光る街、あたりに満ちる幸福そうなムード。いつものように夜を見上げると、きりりと澄み渡った夜気に小さな星があって、その清冽さにはっとさせられた。地上でどれだけ浮かれていようとも、天体には関係ない。ごく当たり前の事だけど。 - 雪を待ちたい - 2001年12月10日(月) 今どこで 誰と笑っているんだろ あなたと歩いて 雪を待ちたい ………… - 凍土踏みしめ - 2001年12月09日(日) 誰彼と 寄りかかりたき心地せず 凍土踏みしめ 冬向かいうつ 結局は 人の心はひとりよと ちらつかせるよに 微笑んでみる この壁を 破れはせでも ああ道よ 我は再びを 必ず望もう 冬の星 お前は何を導くか 過去の姿しか 見せないひかりよ ………… - 潔く - 2001年12月08日(土) きれいとか 優しいだとか きみのこと 思うから好きなわけじゃないのに 潔く つないだ指を払いのけ 木枯らしに独り 胸を張る冬 ………… 夕方池袋へ。久しぶりに東口の喧噪の中を歩く。本当に歩きにくい所だ。お出かけプログラムでここへ来ると言っていた患者さん達のことが、少し心配になる。人混みを歩くのは疲れるだろう。でも平日ならもう少し人が少ないし、平気かしら。 本屋で用事を済ませた後、大きなドラッグストアに寄る。相変わらずお兄さんが大きな声で呼び込みをしている。寒い中大変そうだなと思っていたら、本人はちょっと笑っている。「何笑ってるんだよ」と親しそうな同年輩の店員さんがからかうと、「だって面白いんだよ」と。そうか。面白いのか。 ずっと探していた日焼け止めが売っていて、物凄く嬉しい。あちこちで探しては玉砕していたのだ。夏の間にまとめ買いしておくのだったかと後悔していた。良かった。 あと数日でボーナスを手にする妹に、焼き肉を奢って頂いた。一連の騒ぎで焼き肉屋さんから遠のいていたけど、ほんとはずっと行きたかったし、皆で行こうと計画を立てたりしたのだけど、「焼き肉なら今日は帰る…」と腰がひけてしまう子がいたりして、普通の居酒屋さんになるという事が何度かあったのだ。でも気持ちはわかるな、確かに怖い病気だとは思うから。 外で待ち合わせたのに、偶然に着ていたニットが色違いで(彼女が私の服を無断借用したのだ)、それが微妙に恥ずかしい。同じ顔で、似たような髪型で、お揃いの服、向かい合わせで食事。絵に描いたようでなんだか可笑しい。 - 騙しうち - 2001年12月07日(金) 騙しうち 抱きついてきた別れ前 行くなと言えない 君のいたずら 抱き取りし 幼くやわきその背中 離しがたくて 時よ止まれと ……… 行かないでと言える程素直な子供でなく、行ってしまえと口にする程には屈折していなかったのだろう。騙しうちで抱きつかれた瞬間の息を飲むような驚き、その後の甘い切なさ、子供のからだの暖かさを、どうして忘れられるだろうか。ごめんね、ごめん、ありがとう。喜びと懺悔と共にあり、常に私をあたためるもののひとつ。 - 触れあわぬ - 2001年12月05日(水) 行き交わす 人と目線は触れあわぬ 誰に伝える 言葉もないまま 歌をよむ こころは静かに流れてく 他人(ひと)の嵐は他人の嵐と ………… 時に私はわたしの残酷さを自覚する。明らかに大きな嵐を抱えているひとは、周りに何人もいる。何もできないとは思わない、できない事はないけれどそうしない時もあるということ。真冬に向かってぼんやりと活動性が落ちていく、その下降ラインが見えるように。 目には見えぬひとの嵐。渦中で苦しむ友人。そろそろ連絡を取ろうか。 そういえば、いつから私は「嵐」と呼ぶようになったのだったか。 - 罪と誓いを抱き合わせ - 2001年12月04日(火) くいしばり 罪と誓いを抱き合わせ 凡人なりとも ひと許さんとす ******************** ************ *** * 夕方、コーヒー豆を買いに出た。道路を挟んで向かい側のコーヒー豆専門店。先日帰り際に訪れた時には営業していなくて悲しい思いをしてしまった。ベランダから確認すると明かりがついていて、硝子ケースの並んだ店内の様子が見える。よかった。極めてラフな服装で出かける。こんな時にあの失くしたサボを履きたいのに、未だに見つからないままだ。本当にどこへやったんだろう。時々思い出しては悔しい思いをする。 さてコーヒー、今まで割と適当にモカかブレンドを選んでしまっていたので、暫く色々冒険してみようかと思う。この間コーヒーミルを買ってから、ちょっと熱がついているのだ。実はミルククリーマーも欲しいけど、ちょっと我慢している。お店の人に尋ねながら、今日はグァテマラを100g。沢山買ってしまって口に合わないと怖いなあと思って。ガテマラ、と発音されたのが何だか新鮮。そういうものなのかな。 帰宅後、友人と長電話。業界でも有名な危険な人と繋がりを持とうとしている後輩に、危険を伝えるべきかという話。経緯を色々と聞いた後で肯定すると、やっぱりそうかしらね、と笑う。ああ本当におかしな人は多いけれど、振り回されないようにするのもこちらのスキルの内だね。そしてそれは私達にとって本当に大切な能力。あなたのことは猛獣使いと呼ぼうか、そう言うと笑っている。珍獣使いの方が適切かもしれない。 えひめ丸に乗っていた実習生、未だ発見されない高校生の所持物だったデジタルカメラから、画像が復元されたそうだ。公開されたものを目にして涙が出た。船の丸い窓から見える白い波頭と海。ただこれだけだったら、何ということのない明るい写真なのに。 - 吹雪にいるのに - 2001年12月03日(月) 君を恋い どうして正気でいられよう 天地も分からぬ 吹雪にいるのに ………… 茶道文化の世界では、吹雪を雪吹と書くのだと習いました。見渡す限りの雪の白で、どこが天なのか地なのかすらわからないという所から、字の上下をひっくり返したのだそうです。人を好きだとか憎らしいと思う事は、どうして常識や分別やその他多くのものを人間から奪い、あるいは見えなくしてしまうのでしょう。 - 剣を突きつけて - 2001年12月02日(日) その胸に 剣突きつけてくちづけよ 熱の名残が消えぬようにと この胸に 剣突きつけてくちづけた 誓いの儀式と夜に囁き *************** *********** **** ** * 朝帰りならぬ昼帰り。地下鉄がJRに乗り入れるあたりから、ぼんやり眠りから醒め始める。気が付けば光に満ちた車内はがらがらで、何だかぼんやりと満足する。こういう状況はとても好きだ。足下が午後の陽ざしで暖かく、ひと駅ごとのドアの開閉でまどろみが浅くなる。穏やかで気持ちいい、もう12月なのに。降車して、随分長い時間を車内で過ごしたような錯覚。 駅前に友人の住む駅まで行くバスが停まっている。そういえば引っ越し以来まだ一度も訪れていない。年内には行く事ができるだろうか。 夜、高校の時のクラスメイトから電話。年末のクラス会の参加について。日程が微妙で、無理をすれば参加出来ないこともないけれどどうしようかと迷っているのだ。私も同じく。とりあえず可否は新幹線の空席状況に委ねようかという結論。どうにも消極的な感じだ。 -
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