夕暮塔...夕暮

 

 

地平は茜に - 2001年12月27日(木)

枯れ野原 地平は茜に燃え立ちて 炎のひとみの猛き青年




枯れ野原 茜に燃え立つ地平負う君よひとみの炎は真か





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深海灯さえ - 2001年12月25日(火)

ああ夜よ 深海灯さえ届かない 嘆きの底へと我らみちびけ



夜が招く 君と我との奈落には 深海灯さえ届かぬと知れ




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クリーニングに預けていた着物を受け取りに行ってきた。
鮮やかな水色に淡い桜模様。包みを解いてそっと生地を撫でてみると、つやのある織りの感触が心地よくてしばし陶然としてしまう。
ああ、美しい。お着物の生地は本当に好き。
前々から考えていた洋装の時に持てるような着物生地のバッグ、やはりひとつ欲しいと思う。
でもあれは、なかなか好みのものが見つからなくて難しい。デザインがあまりに和風では釣り合わないし、生地が安っぽいと満足できない。生地の良し悪しがはっきりしすぎていて、デザインが良くても生地が駄目だと一気にその気がなくなってしまう。勿論その逆も。
時間がかかってもいい、妥協無しで欲しいと思うものに巡り会いたい。自分で作れたら一番いいのだけど、少々…いやかなり困難………、かな…。


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無闇に満ち足る - 2001年12月23日(日)

冬の色し 霞む夕陽は硝子越し 無闇に満ち足る今日もまた過去





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午後、散歩兼買い物に出掛ける。こんな天気のいい日に外に出ないのは勿体ない。
初めて寄った住宅街の中のコーヒー豆屋さんで、注文して待っている間にデミタスカップにコーヒーを出して下さる。こういう事はとても嬉しい。1人で店を切り盛りしているおじいさんは、ご健啖でかつぜつよく話す。色んな話を聞く。朝6時半からの公園での体操の事、今も続けている山登りの事(富士山では毎年ゴミ拾いのボランティアをなさっているとか)、昔は銚子の漁師さんでニシンが良く獲れていた事、それを干しかにして米所で肥料にしていた事。
どうも総合すると、山にゴミなど捨ててはいけない、肥料は化学肥料を使ってはいけない、というあたりに集約される感じ。
それにしても、本当にお元気な方で嬉しくなる。90歳だなんて信じられない。私の茶道の師範と同い年。先生も恐ろしくお元気な方と思っていたけれど、この人には完全に負けるだろう。

今日は父の誕生日。駅までの道を歩きながら、久しぶりに父の携帯のメモリを呼び出す。もしかして仕事かもしれないと思いながら。
「お父さん、誕生日おめでとう」
「ああ、ありがとう」
「今日はお仕事?」
「いや、休み」
他愛もない会話。今日は母の実家にいるらしい。叔母が胃を悪くして入院したとの事、様子を尋ねると「元気だった」と笑う。いつ帰省するのか尋ねられ、今年は少し遅めなのでちょっと言い難いと思いながら伝えると、父はふうんと返す。遅いから寂しいだなんて言う人ではないのだ。
早く帰省して、あのがちがちの肩をほぐしてあげたい。

考えてみれば父には似ていない所だらけだ。何人子供がいても、誰も父を超えられそうにない。無理に私の方が勝っている所を探してみると、私は学歴だけなら父を上回ったと気付く。ああそんなもの、本当につまらない。なんて取るに足らない物差しなんだろう。却って虚しくなってしまった。
もうやめよう、そう思った所で、身長も追い越した事に思い当たった。これは父親としてはかなり嬉しくないだろうな。

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ああ、胸に、くすぐったい懸念がある。困惑しながら不幸ではない、これをどうしたらいいだろうか。


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一生の熱を奪えたら - 2001年12月22日(土)

あなたから一生の熱を奪えたら 二度と誰にも恋しないでしょう




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昨日の初雪から一転して快晴で、暖かい日だった。
といっても雪が降るところを見てはいないのだけど。
例によって朝帰りに限りなく近い深夜に帰宅して、午後までぐったりしていた。ワインを飲み過ぎたらしく、気分が悪い。久しぶりに少し反省。
今日の飲み会はパスしてしまった。



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距離をはかれば - 2001年12月19日(水)

いざふたり 距離をはかれば切なくて 真意はいずこと 迷いこむ冬




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5時間40分、友人と徹底的に話す。こんな事はちょっと久しぶり。人間関係のこと、かなり心配な共通の友人のこと、組織の現行システムを改変すること、恋愛のこと。
人と深く関わること、真摯に向き合うことを望む彼女の姿勢が、私にはとても好ましく映る。言葉にするのには照れてしまう人だって多いし、悪い事だとは全く思わないけど、真っ直ぐにぶつかる事だって時には必要で、その潔さが心地いいと思う。


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君の悲傷を愛そうと - 2001年12月18日(火)

愚かしい君の悲傷を愛そうと 救われぬ予感 無視して抱き取る




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恋に彼岸などあるわけもない。腹立たしそうに吐き捨てるそのひとの傷に、できれば触れないようにしたかった。深く胸の奥を探り、言葉にするほどに傷は深くなっていくように見えた。けれど彼は触れて欲しいと望んでいた。傷はもはや化膿して毒を孕み、その毒を吹き出す相手として選ばれたのがわたしなのだった。癒して欲しいという無言のメッセージは、深く傷つけて欲しいと望む自虐性に、酷く似ている事がある。


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水晶の船 - 2001年12月17日(月)

未来を浮かべた水晶の船 
共に漕ぎ出す星月夜 
またたく瑠璃の過去紋が
なぞる指先で昇華する






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帰省の時期が近付いている。
からりと乾いた東京で、マンションから出る瞬間に雪の香りを感じるのは、帰郷を心待ちにする私の錯覚なのだろうか。





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見つめて黙するこの不誠実 - 2001年12月16日(日)

もどかしく 言い出せずにいる君の目を 見つめて黙する この不誠実



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殻を破り - 2001年12月15日(土)

殻を破り ほだされてしまうその前に お願い誰かに 早く恋して



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星を背にして - 2001年12月14日(金)

向こうみずと 罵られても 振り向かぬ しんと満ちわたる星を背にして



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