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西明かり - 2002年04月20日(土) 西明かり 共に眺める窓の外 息をひそめて君は何を待つ 暮れてゆく春を思えば囚われる 息をひそめるようにして孤独 ****************** ****** *** * 「その話、ここではもうしないでね」 ああ、今の質問は失言だった、と瞬時に理解した。内容や言い方もそうだけれど、タイミングが悪すぎた。極度の疲労状態で突然降ってきた新しい仕事に、彼女が激しく苛ついている事を考慮していなかったのだ。それでなくても、上司の高圧的な態度に対する嫌悪について先程まで語っていたばかりだというのに。 1人になったセクションで反省しながら、私は彼女の閉じたドアを見つめて、じわりと全身を滲ませる脱力感を味わっている。手足は鉛を付けたように重くなるのに、身体の内側が自己嫌悪の渦でざわめくような感覚。総じて不穏と言うべきか。心と体が連動するその様相を、感覚を研ぎ澄ませて吟味する。 - 一生の春 - 2002年04月19日(金) どんな人に その名を受けたか淡き花 可憐なあなたは「一生の春」 一生の春と呼ばれる君に名を 贈りしはいかなるロマンチストか ………… 「一生の春」はサツキツツジの一種。白と淡紅紫の花弁に、霧吹きで入れたように濃紫の紋様が入っている。ツツジは映山紅とも呼ばれる。 - 満天星の - 2002年04月18日(木) 満天星(どうだん)の 花は暮れてゆく春の夜の 道をほのかに照らすしるべか ………… - 降りては戻れぬ - 2002年04月17日(水) 心には 地下帝国があるという 降りては戻れぬ昏い階(きざはし) ………… - 恋と生を - 2002年04月16日(火) 恋と生をはかりにかけし君はいま いずこにて誰を思い泣くのか 恋の為に 死ねるとはやはり思えない あなたは今ならなんて言うだろう *********** ******* *** ** * 緑濃くなりゆく外界を感じれば、思い出すひとが1人。まだ若すぎるほど若かった彼女は、恋の為にすべてを捨ててしまった。学校も友人も、家族も、未来も。持ちうるものを何もかも手放して、あのきれいな女の子は何を得たんだろう。私は未だに彼女の眠る場所を訪れる事ができないでいる。 - 冷たくするけど - 2002年04月15日(月) 忘れずにいてくれてどうもありがとう 冷たくするけど 嫌いじゃないです ………… - 何が変わるだろう - 2002年04月14日(日) 今ふいに キスしたら何が変わるだろう 聞かせてあなたの本当のこと ******************** ***** *** * 暫く使っていなかったメールアドレス、久々にチェックしてみると新着がひとつ。随分前に少しだけお付き合いした子からだった。近況をごく簡単に告げた短いメール、会いたいと締めくくられているけれど、ちっとも心動かされない。今更何を、というのが正直な感想だ。 最後に受け取ったメール、そういえばあれもこんな感じの内容ではなかっただろうか。あの時のほうが、もっとずっと未練がましい雰囲気だったけれど。小さく溜め息をつく、このアドレスを捨てていなかったのは失敗だったかもしれない。 メールはさっさと削除した。送信の日付は少し前だ、きっと向こうももう諦めている頃だろうと希望的に観測して、私は携帯の番号を変える事を考える。ああ、でも電話する勇気があるならメールなんてしてこないだろうから、それは大丈夫か。 この冷たい対応の仕方を選ぶ事に、私の心はあまり痛まない。私を切り捨てたのは彼の方からだった、その事実が非情に振る舞う事への罪悪感を払ってくれる。 …ごめんね、優しくしないよ、と私はひとり胸の中だけで呟く。 - ひとつの棘すらない人に - 2002年04月13日(土) たおやかで ひとつの棘すらない人に なりたいだなんてもう思わない そっけなく去りゆくあなたに感謝する 振り向かないでね 泣きたくないから …………… - 言葉よりよほど - 2002年04月12日(金) 気まぐれな あなたの掌は暖かで 言葉よりよほど正直だったと ******************* ****** *** * 傘を買った。前のは、実は実家に帰った時に置いてきてしまったのだ。気に入ってはいたけれど、わざわざ送って貰うのも大変だし(傘の入るような箱なんてなかなか無いだろう)、それ位ならと思って、前お店で見てからずっと気になっていたのを迎えに行ってしまった。少し生地が薄いのが気になるけれど、雨の日にも気持ちが浮上しそうな、淡くてかわいらしい模様。嬉しい。空ばかりに気を取られて暮らしている私には、雨がとても辛いから、この傘があったら雨の日にも心に張りが出ていいだろう。この高揚感がいつまで保つかはわからないけれど、私はこの傘をきっととても好きになるような気がする。 ****** ああ、またあの子のいない生活が日常になろうとしている。瞳の三日月のカーブ、目尻のはねる笑顔を思えばたまらなく寂しい。けれど仕方がない、選んだのは私なのだからと自分を無理に説得してみるが、一瞬の後には空虚だ。 - 寂しくまばゆい - 2002年04月11日(木) 先に手をほどくのはいつも君でした 寂しくまばゆい別れの朝まで ………… -
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