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目を閉じて - 2002年07月24日(水) 宵待の花もほのかに歌う中 目を閉じて深く潜れ明日の為 *********** **** ** * …海に行った後みたいになってしまいましたよね、と私はやや力なく笑い、彼女は優しく「大丈夫?」と言いながら私の髪の砂を払ってくれる。「とうとう来たって感じだね」「そうですね…何というか、来るべき時がって言うか…。向こうの本領発揮かな」 「うん、でも、何だか、もの凄く疲れた……すごく」 伏し目がちに息を吐く彼女に深く同意する、2人顔を見合わせながらスチールの椅子で背を丸め、これからの事を考える。大きな窓の外は薄鼠の雲が広がりつつある、けれど今はまだ明るい、今日の夜本当に雨は降るのだろうか。 - 夢の真昼 - 2002年07月22日(月) にこりともしないあなたのほっぺたをつついて笑った夢の真昼よ ………… - ゆるりと霞みゆく - 2002年07月21日(日) 硝子戸の向こうゆるりと霞みゆく 今日もただ黙す一人の夕暮れ ………… - 勢いで - 2002年07月20日(土) 勢いで血の濃き人まで傷付けて 未だ乾かずよどむ我が淵 ************ *** ** * 「…外に出てくる」 私は止めない。どこへ行くのかと問う気にもならない。先程までのゆるやかに幸福な雰囲気は一気に冷めた。一人残されて半ば呆然とテーブルの上に並んだ品々を見下ろす、思い切りひっくり返すくらいの衝動性が私にあったら、こういう時いっそ楽なのかもしれない。そんな風にぼんやり考える。きっと、一瞬はすっとするんだろうに。そして今は、下らなくていいからそういうものが欲しいのだ。…ああでもだめだ、やはり実行できない。残念だけど私はヒスじゃない。かすかに泣きたいような気分で目を細める。 - 肩すくめ - 2002年07月17日(水) 肩すくめ 「楽」と「たのしい」は違うねと 呟くあなたに笑い返そう ********* *** ** * 恐ろしく暑い、外気に晒されるだけで朦朧としてくる。しかしそんな事には構っていられない、大事なプレゼンを控えて、睡眠の足りていない頭を必死に回転させる。どうにも時間がないものの、今晩は付き合いで飲み会に出る約束をしてしまった。同期が「今晩のこと、無理だったらいいのよ、本当に」と声をかけてくる。義理のある飲み会、彼女だって苦しい時期なのに、負っている責任上どうしても出なければと思っている様子。彼女は私にそこまでの尽力を求めていないのだろうと推測しながら、「大丈夫…多分ね」と笑ってみせる。こんな時の私の顔は、どんな大変な事でも本当に何とかしてしまいそうに見えるのだと、以前誰かに言われた。自分ではよくわからない、用意周到な方ではないから、危ない橋をしょっちゅう渡るのは確かなのだけれど。 - 嵐去り - 2002年07月16日(火) 嵐去り 君の家までまっすぐに オレンジに染まる道のりをゆく ………… - - 2002年07月15日(月) 若過ぎるゆえに傷つきその色も 褪せぬまま君の胸疼かせる ***************** *** ** * 「旅行の日取り決めてしまおう、9月ならいつがいい? ひとまず日程だけ」 疲労困憊の深夜に携帯へ届いた友人からのメール、読むなり額に掌をあてて嘆息したい気分になる。困った、どう返信したらいいものか。ずっと延ばし延ばしにしてきた私の不誠実がいけないのだと、わかってはいるのだけど。旅行には行きたい、しかしその時期に時間が取れるかどうかはわからない。日取りを決めておいてキャンセルするのは忍びない、彼女たちとの旅行の企画は今年に入って2つ目で、前回もやっぱり私のせいで計画が散ったのだ。約束を結べば、人に喜びと安心を与えられる事は間違いない。だけどそれが叶えられなかった時に、どれだけの落胆を以て彼女達と私自身に報復するだろう。 - 篝火を - 2002年07月13日(土) 篝火を揺らす風吹く梅雨間晴れ 鳴き初むる蝉の気の早きかな ………… - やがて龍となる - 2002年07月12日(金) 君の背の中いっぱいにみなぎりて やがて龍となる熱渦頼もし ………… - 太陽を - 2002年07月10日(水) 太陽を 思い出してはいたずらに 傷ついて苦いきみの笑顔よ ………… どんな風に好きなのかと問われれば、太陽のようにと答えるのだろう。ありふれたひどく浅はかでつまらない表現かもしれない、でも多分どんなに美しい言葉を尽くすより、この例え方が一番いい。仰ぐように、当然に、自然に、熱を持って、絶対的なものに惹き付けられるように。時に目には見えなくとも、どこかにある限り。 -
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