IC - 2006年04月18日(火) バッドニュースを告げる場に同席して。 そのあまりの衝撃に、自分の方が負けそうになった。 大丈夫だと言われて信じていたのに、それを根底から覆される絶望感。 平静を保っているように見えて、隠し切れない動揺と困惑と戸惑いが、 彼の胸の内側に渦巻いているのに気付いてしまったから。 ガラガラと希望が崩れ落ちる音が聞こえた気がした。 バッドニュースを伝えるテクニックというものがある。 それは情報を提供する側と受け取る側の状況によって大きく左右されるとはいえ、 基本的な流れや、大まかな基準は、実はそういった基本に沿っているのだと思う。 それを多分、医師たちは充分考えていて。 自分が一番言いたくないであろう事柄を、 相手が一番知りたくないであろう事柄を、 それでも包み隠さずに真っ直ぐに伝える姿勢は正しいと思う。 ただ、その瞬間の相手の反応に、自分が引きずられてしまっただけだ。 バッドニュースを伝えるのは医師の役目だろう。 予後不良だと、余命が幾許もないと、 そう告げることができるのは医師しかいないというのが、 医療従事者たちの間で暗黙の了解だ。 相手の絶望感に満ちた眼差しを、 何の障害もなく正面から受け止める役割を担う医師たちの気持ちが知りたいと想った。 そう頭の中では解っていても、 医師から告げられた言葉の意味を理解した瞬間の患者の衝撃は酷く重くて苦しくて。 たった一人でその事実を聴くしかなかった彼の、 その想いをどうやって受け止めたら良いかが、自分にはまだ解らなかった。 自分が真っ直ぐに立っているので、今は精一杯だった。 ...
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