冬至 - 2006年12月21日(木) それはさ、一つの節目だから何だか良いよね。 そう言って、珍しく本当に嬉しそうに笑った相手から、 自分とは少し違う視点を教えてもらえた。 彼らは本当に長期間の入院生活を余儀なくされていて。 彼は最初の予定から数えると、もう3回治療内容を変更している。 本来なら、とっくに自宅療養しているはずなのに、 気付いたら、長期間の療養者に名前を連ねていた。 日本人だからさ、日本の四季は気になるよね、とか。 冬至のゆず風呂がいいんだよね、とか。 彼らはそういう言葉を自然に口に出すから、 忘れかけていた何かを改めて考えさせられてしまう。 毎年恒例で、奥様と近所の銭湯に行く話とか。 正月にお雑煮が食べたいと、時折ぽつりと呟く横顔とか。 クリスマスも正月もよろしくおねがいします、と笑う顔とか。 外の空気を感じられるのは面会に来る家族の服装だけだ、と告げた瞳とか。 その笑顔の裏側で、 実は本当に苦しんでいるのをちゃんと自分は見ているんだろうか、とか。 彼らの人生まできちんと見詰め合えているんだろうか、とか。 そんな難しい問いを、何度も繰り返して突きつけられる衝撃に、 それでも真っ直ぐに頷く強さがほしいと想った。 ...
|
|