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■ 重松清『送り火』
『疾走』に感動して読み漁るようになったのだが、 実際は、30〜40代の悲哀を書くことの多い作者だ。 『送り火』は、霊が必ず話に登場してくるタイプの短編集で、 どれも中年を泣かせるようなオチになっている。
一番泣けたのが
「お父さんが「家族の幸せ」を考える時、 その家族の中に自分は入っていない」
という一文。
自分の父親は全くそういう人ではなかったが、 頑張るサラリーマンのお父さんの殆どは そういう人たちだったのだと、なぜかわかる。 同時に母親もそうなのだ。 「家族の幸せ」の情景には夫や子供の微笑む姿があるだけで、 そこで一緒に微笑む自分の姿まではない。
家族とは、 不器用な人たちの不器用な愛に支えられて、 出来ていたものだったのかもしれない。
2007年11月28日(水)
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