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■ 勧告1〜副社長の宣告
勤め先が会社更生法適用申請をし、スポンサーがつくことになって、申請が認められた。 勿論、先に潰れた同業他社と同じく、そのスポンサーというのは外資である。 外資の遣り口というのは決まっている。 まずリストラだ。 その外資が最初に買ったK社の場合は1.5割切り、次に買ったA(旧N)社の場合は逆にやりすぎてしまい、たったの数%しか残らなかった。 その反省を踏まえて、わが社のリストラを行うと言う。
3月末に第一弾が発表された。
「全国の全店舗の従業員は、全員4月3日までに辞表出せ」
但し、営業職は全員保障給なしの100%歩合制で親会社に拾ってやるし、店舗の内勤のうち何人かはテストと面接に合格すれば、本社の裏方で使ってやらないこともないとのお達しだった。
第2弾はそれからまもなくして出た。
「本社従業員は4月末で7割削減。4月10日までに辞表出せ」
なるほどね〜、数%はやりすぎだった、正しくは10%って話なのネ!
生き残れる確率がゼロに近い高齢の管理職や、親会社が行うと予想される部署、店舗がなくなったことで不要となる部署にいる者が、続々と手を挙げたが(もしかしたら勧告があったのかもしれない)、結局、目標まで15〜6人足りない状況で締め切りを迎えた。
そして、今日、私は管財人室長に呼ばれた。
「ちよっと相談したいことがあるんです」
と言われた瞬間、これが何を意味する場であるかわかった。 自分の業務は大方を親会社が行うとしても実務者がどうしても1人はこちら側にいないと成り立たないし、GWの旅行はキャンセルしてくれとまで言われていたので、自分は安牌だと思っていた。 正直甘かった。
「5月末までは、いていただけますか」
静々と後から入室してきたスポンサー会社のそのまた上の会社から派遣されてきたやってきた副社長が言った。
「その後、あなたの仕事は○○部が引き継ぎ、あなたにやってもらう仕事はありません」
これがリストラってやつか・・・。 一瞬、頭がグラッとした。
「××部門に異動はできますが、席はあっても仕事はない状態です」
席はあっても仕事はないだと?! スポンサーだと思って今まで言いたい事も言わずに下手に出ていたが、ここに至っておとなしくしている謂れはなくなった。 「これは(早期退職の)応募勧奨ですか?」 「いいえ、違います」 「では、解雇通知ですか?」 「いいえ」 「では、何ですか!」 「ですので、どうしますか?と」 意味がわからなかった。 再度確認しても、「仕事はないがリストラはしない、どうしますか」と繰り返すばかり。 言質を取らせないために「辞めてください」とはハッキリ言えないのか。 無意味な言葉の応酬に、ついにキレた。 「そもそも、早期退職日後の仕事を任せておきながら、クビだと早期退職申出期限を過ぎてから言うなんて、騙し討ちじゃないですか?!」 もともと気が長いほうではないので、あとは気持ちよくまくし立てる。 「同月で切るつもりだとしても、他の部署の人は事前にそう言って貰っていて、早期退職にも手を挙げることができましたよね。 なぜ、私だけ教えてもらえなかったのですか? モチベーションを危惧したのですか? これが外資の遣り口というヤツですか???」 副部長はちょっと憮然とした顔になり、口を開こうとしたが、そんなものは勿論挟ませない。 口で私に勝てるものか。(勝負では負けちゃうわけだけどw) 「ウチの部署がなくなることはわかっていました。業務の幾つかはこの部署が担当するのはおかしいと思っていたものもあるし、新しい会社では不必要のものもあるので、部署がなくなること自体に異存はありませんでした。 ですが、私の抱えている××業務は、親会社に丸投げすればいいってものじゃないんですよ?」 副社長が元々の垂れ眉をさらに垂れさせて言った。 「5月末まで現業を引き続きやっていただけますか」 「生活かかっているので、転職活動を優先させていただきます。お約束できません。早速引継ぎに入らせていただきます」 ここまできて、管財人室長が手を広げてさえぎった。 「落ち着いて、落ち着いて」 「落ち着けるわけないじゃないですか? 今、クビを言い渡されたんですよ?! こんな騙まし討ちみたいなやり方で!!」 管財人室長に怒鳴り散らす。 「クビじゃないんだ、ただどうしますかと・・・」 「また同じ話ですか・・・。 言葉遊びは止めましょう、埒が明きません。」 副社長に冷たい眼を向けて言う。 「お話はこれで終わりなら、引継ぎの話があるので、担当部署の責任者である管財人室長と二人きりで話させてください」 残ろうとする副社長の背中を押して部屋から追い出し、ドアを閉めた。
(勧告2 へ続く)
2009年04月23日(木)
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