オトナの恋愛考
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再出発かな。それは私にも彼にもわからない。
先週末に4ヶ月ぶりに逢ったひろは 私が心配していたよりずっと元気そうだった。 逢った瞬間からずいぶんとご機嫌で、私も嬉しくて始終笑っていたような気がする。 心身ともに疲弊して本社に戻ってきた彼のことを誰も責めることは出来ないだろう。 もう少し若ければ我慢して我慢して病んでしまってとんでもないところだった。 そこまで彼にはもうエネルギーもなかったのだろうけど兎に角ただ嬉しかった。
「戻って来られて良かったね」 「うん、地方は大変だよ。本社の緩さがよくわかった」 「楽になった?」「うん、これで良いのかというくらい」 「嫌なことは嫌って言って良かったね」「うん」 「自分のことを大事にしないと」 「そうだね、今いろいろニュースでもうるさくなってるしね」 「そうだよ、嫌だったら辞めて仕舞えば良いのに」 「うちの会社は法律とか慣習とかにすごく敏感だからね、すんなり戻してくれた」 「そうなんだ、いろいろ大変だったと思うけど私はひろが帰って来ただけで嬉しい」
そんなやりとりをしたと思う。その後は嬉しくて抱きついて涙が出てきた。 ひろは気付かない振りをしたのかどうか何も言わずにぎゅっと抱きしめてくれた。
また逢いに来ると言って帰っていった。 逢いに来てくれてももう二度と来なくても十分だった。 私はすごく彼が好きだったと今気がついた。
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