A Thousand Blessings
2004年1月〜最新|ひとつ前に戻る|ひとつ先に進む
「心配なことがあるの」
「なあに?」
「スガシカオは残れるかな?」
「どういう意味?」
「彼の音楽って、どれも何となく色のイメージが似通ってるじゃない? もっといろんな色の曲が書けないと飽きられるんじゃないかな?って。」
「そういうことかぁ。それは心配ないな。」
「どうしてそう思えるの?」
「彼の音楽の色ってさ、≪青≫だと思うんだ。」
「うんうん」
「でも青にもいろんな青があって、ある時はそのまま青空の≪青≫だったり、 別のある時は蒼ざめるの≪蒼≫だったり、紺碧の≪碧≫になったりするんだ。」
「うん。わかる、その感じ。」
「僕は彼の音楽にいろんな種類の色を求めてはいないんだよ。 というより求める必要がないくらい、彼の≪青≫という色には さまざまな濃淡があって、僕はその違いを楽しむだけで 十分満たされるんだよ。」
「そうなんだぁ。そうだよね、濃淡はそのまま音楽の印象の違いになるよね。 みんな似てる感じがしても微妙な味わいという部分では 全部違うってことね?」
「そういうことだね。青の深度がそれぞれちがって、 明るい青なら“午後のパレード”少し暗めの青なら≪夏陰≫、 もっと深い青になると≪黄金の月≫みたいな? そんな風に全部違っていくんだよね。だから、彼の音楽は一色だけど、 バリエーションはものすごく豊富でそれぞれが価値あるものなんだ。」
「私たちは、色の種類を多く持ったひとを凄いって思っちゃうけど違うんだね?」
「ううん、それはそれで凄いことさ。桑田は天才だと思うだろ?」
「思う。。」
「そういうことさ。いろんな才能があるってことだね。僕ら聴き手の耳と意識を いつもニュートラルにしていればどの才能に対しても反応できるからね。」
「頑張ろうっと!」
「うん。」
「ちなみに、あなたが一番好きな色も・・・」
「そ、青だよ♪」
響 一朗
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