空虚。
しずく。



 よかった。

辛い時に呼べる名もなければ、
すがる為に差し出す手もない。
けれど、それをよかったと感じる自分がいる。

私がここに書く事は、私しか知らないこと。
忘れてしまう自分のための、痛みの記憶。
当然、あの人にもそれがある事はわかっている。
理解してくれる人を求める事も当然で、
それを得られた事は幸せなのだと思う。
だから、私はそれを喜ぶべきなのだ。

でも胸に渦巻いているのは違う感情。
答えはわかっているけれど、気づいてはいけない。

私は私を理解して、抑える。それだけでいい。
人に理解されようとか、救われようと求める事など出来ない。

弱さをさらけ出すのが怖いからじゃなくて、
自分が、「何か」をするのが怖いからだ。

この歳になって。いや、不穏な空気は感じていたけれど。
認識せざるを得なくなって、やっと向き合えた。

私は人を愛せない。
絶対に殺したくなる。
殺さなければ、愛せない。

相手を失って、やっと私は平穏を取り戻す。
この人を愛したまま、自分の中の時を止められる。

それが「本当」の私の幸せ。

でも、それは出来ない。そこまで頭は弱くない。


あなたと文字だけの会話をしながら、
意に反した言葉を打ちながら、
ずっと、意識だけは違う方向を向いている。

私はどこにも片鱗を見せない。
気付かれるとも思っていない。
あなたの前でも、私は変わらない。
これからも、ずっと、私は私のままだ。
自分の中にずっと「望み」を閉じ込めたまま、
私は、自分を生きていける。

それでいい。

2005年11月13日(日)
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