4つの季節を重ねながら

2003年03月17日(月) 一時ではない帰国


とってもとってもごぶさたしておりました。

3月の上旬に Paris に戻ってきました。
とはいっても、来週には日本に帰るつもり。

だいぶまえから書こう、書こうと思いつつ、時間がとれずにいたのですが、これからはしばらく日本に住もうと思っています。

理由は、「日本に住むことになっているんだな〜」と感じるから。(おいおい (^^;;)

なんだろうな〜、う〜ん。

生まれて初めて観光で巴里に来たときから、外国のような気がしなかったのです。以前から知っている街のような気がしたし、歩いていると頻繁に道を訊かれたし、ホームステイ先のマダムやフランス滞在歴の長い日本国籍の人たちにもいつも「かなはまるでずーっとまえから Paris に住んでいるみたい」と言われ続けてきたのですが。。。

今回、5カ月ぶりに巴里に戻ってきて、はじめて「外国みたい」という印象を受けました。なにかどこか馴染めない感じ。

香港や L.A. に旅行してとても気に入るのだけれど、5日も過ぎると Paris に帰りたくて帰りたくてしかたなくなる、そんな状態でいままで6年間過ごしてきました。いま住んでいるワンルームこそが帰るべき "自分の家" だとずっと思ってきたので、この街を外国のようだと感じるのはわたしにとってはとても意外なことなのです。

帰国の準備は昨冬に2カ月帰国したときからはじめていて、去年の春ころまではいまいち決心がつききらないというか、日本に帰ることにしたらきっと巴里が恋しくて恋しくてしかたなくなるんだろうな〜と思っていたのですが、周りの状況もわたしのココロのなかも、わたしが知らないうちにある方向に向って流れていっていたようです。

不思議なことに、昨冬 2001年末から 2002年初までのあいだに一時帰国し、就職先を決め、日本に帰ることを決めた元在仏日本人は、実は少なくありません。わたしの直接の知り合いだけでなく、友人の友人までも含めると、結構な数になりそうです。

そして、従来、日本に帰国する人といえば、滞在許可でトラブって、なかばフランスを追い出されるように、本人の意志に反して帰国することが多かったのですが、この時期に就職を決めた帰国組はとくに滞在許可に問題があるわけではなく、フランスで仕事もしていて、周りの人間からはフランスに骨を埋めるんだろうと思われていたタイプ。

しかも、みんな隠密に帰国して、隠密に就職活動をし、いきなり帰国パーティをすると言いだして周りを驚かせています。(笑)

わたしの場合、一時帰国は隠密でもなかったし、就職してすぐに日本に移住したわけでもなく、すっかり乗り遅れていますけどね。(笑)

フランス人のあいだでも、パリ脱出組がどんどん出ている様子。

20世紀のはじめ、シャネルやピカソやサルトルがいて、世界中の人たちを惹きつけていたころに巴里が持っていた魔法のような魅力はどこにいってしまったのでしょう。

サイトの「フランス エコ生活」のコーナーは形を変える必要がありますが、サイト自体は一応存続させるつもりでいます。更新は春と秋にしかできないかもしれないけれど。




P.S. ここで仕事関係の人には絶対に言えないグチを一言。


あ〜、フランスに住むことで最も苦手な「東京の梅雨と夏」から逃げられて万万歳だと思っていたのに〜、あんな季節に肉体労働なんてできないわぁ〜〜〜〜。



なんていいつつ、きっと働いてます。そう、絶対働いてるんだよなぁ〜。(ため息)



2003年03月18日(火) 歴史を学ぶということ


昨日の日記に近況報告を書きました。

一応、まだ米・英・西はイラク攻撃を始めてはいないようなので、いまのうちに一言だけ書いておこうっと。

フランスが拒否権行使を明言するまえのこと。TVで閣僚経験者が

「ムッシュー・シラクは今回のイラク攻撃に加担することがいつの日かジェノサイド(集団殺戮)と呼ばれることになるのではないかと非常に危惧している。そのため今後の重要な政治的判断を下すにあたって熟慮することでしょう」

と話していました。

歴史を学ぶということは、過去に起きたことを知り、分析するだけでなく、未来の視点からいま自分たちのしていることを見つめる、ということでもあったんだな〜と思いました。

こんなことをいま書いても、今回の「イラク危機(フランスではイラク問題ではなくイラク危機と呼ばれています)」の行方を変えることはできないかもしれないけれど、せめて日本の歴史教育を見直すよい指標にはなりそうです。

日本は国民がなんと言おうと、今後もより一層軍備を拡充しそうに見えるし、海外での紛争により積極的に介入するようになりそうだし、下手をしたら憲法まで改正されるかもしれない。それなら、いまの子どもたちが将来戦争について「いけいけ!どんどん!」な考えかたを持つことがないように予防線を張る必要があるのではないかと。

9.11 のときからずっと「アメリカ人は自国の政府が自国の外でなにをしているのか知らなさすぎる」という有識者の発言を目にしてきて、わたし自身もそう感じてきたのですが、じゃあ自分は日本が外でなにをしているか知っているのか?というと。。。。

憲法のおかげで、おそらく他国に攻め入るようなことはほとんどしていないと思うけれど。。。といったこころもとない返事しかできないのです。

日本はどんな国にどんな名目でどれくらい援助をしているのか、そのお金がその国の自然を破壊したり、貧富の格差を増大させるような方向に使われていないと断言できるか、といったら恥ずかしながらわたしはまったくできません。

仕事の忙しい時期は自分の仕事以外のことを考えるような余裕なんて全くない状態。

戦争(というよりほとんどテロにしか見えないけど)に反対するという意思表示のほかにいまできることは、現在のブッシュ政権のような政権が将来日本に誕生する確率を0.0001%でもなくすことです。

過去に起きたことの内容と、年号と、重要人物とキーワードを覚えるというのが、わたしが小中高で受けた歴史教育でした。これからの日本の教育で大事なのはゆとりなどではなく、本で知ったことや自分が体験したことから、自分自身の考えを発展させる能力を育てることだと思います。先生に気に入られる答えではなく、自分自身はどう思うか。

そして、今回のフランスの大統領や外相のような視点を持てる大人に育ってほしいです。


     *          *          *


(5カ月もフランスを留守にしていたので、フランスの政界についての知識はだいぶあやふやになっています。以下、もし間違いがあったらご指摘ください)

シラク氏はゴーリスト(故ド・ゴール将軍系の政治主張の持ち主)です。

ド・ゴール将軍は、フランス国内のナチスの傀儡政権、ひいてはナチス自体に対して NO! と言い、そして第2時大戦後フランス領内に残ろうとしたアメリカ軍に対しても NO! と言ったことで、フランスの歴史に残る偉大な政治家となった人です。

冒頭に書いたジェノサイドという言葉を聞いてフランス人が真っ先に思い出すのはやはりナチスによるユダヤ人虐殺でしょう。

政治家というものが情だけで動くものだとはまったく思いませんが、かつて尊敬したであろう先輩が声を大にして否定した、その否定されたものと同じことをしたと後の歴史書に書かれることはおそらく堪え難かったのではないかと思います。


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日本は、国内にアメリカ軍の基地を置いているわけですから、(政治家さんたちは)アメリカ軍のすることに NO! と明言するのは難しいのかもしれませんね。「はっきりさせないのが国益」はまさにそのとおりかもしれない。

でも、首相や外相からはもうちょっと頭の良さそうな発言を聞きたかったな。

なぜか、頭悪そうな印象を受ける発言ばかりだったような気が。。。(>_<)



2003年03月23日(日) 『ゴドーを待ちながら』

ついにイラク侵攻は始まってしまったけれど、自分はこのことについてなにもできないと認めるのがいやで、だからなにをしてても頭のなかにずっとそのことが留まっている感じ。

わたしが戻ってきてから、Paris は毎日のように天気がよく、暖かで。

TVや新聞やネットがなかったら、どこか遠くでだれかが運悪く爆撃に当たって、もがき苦しんでるかもしれないとか、子どもを失ったお母さんが泣き叫んでいるかもしれないなんてとても想像できない。

自分と、自分の家族と友人たちがいま生きていて安全なところにいることに、こころから感謝しよう。



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フランスにいるくせに、日本の Apple Store から iBook を買いました。
日本への移住の準備、第1段。

iBook はたぶん、もうそろそろ新型が出るころ。

ということはいまのモデルはそろそろ製品として成熟して、バグも潰し終り、いろんな回路も最適化されたころかと思って。

性能価格比でいくと、12inch の Powerbook でもよかったんだけど、あの冷たそうな外観はどうも愛着を持てそうにないし、旧 MacOS からは起動できない。

OS X にまだ慣れないうちは、いざというときは旧 MacOS から起動してメインテナンスできるほうがなにかと安心。

OS X が出たばかりのころは乗り換える気はまったくなかったけれど、相次ぐバージョンアップで最近のものはかなり使えるようになっているようなので、ただいま OS X のお勉強中です。

今年中になんとか、FileMaker Pro で請求書の発行や入金管理をするシステムを立ち上げるのが目標。日本の税制システムも覚えなくちゃ。


P.S. あ、もちろん iBook は日本の実家に送ってもらったのです。いまここにあるわけではありません。



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