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2005年10月10日(月) レッスン:ベートーベン3楽章、ブラームス3楽章

オーディションを見送ることにするまでにかなり悩み、と同時に9月末の演奏会が終了後はオーディションとリサイタル両方のレパートリーを練習し、肉体的にも疲労がたまっていました。

5日(水)にはいつものようにリハーサルをし、7日(金)にはリハーサルの後、クラスでブラームス1楽章、2楽章、ベートーベンの1楽章を演奏し、今日はまたレッスンでベートーベン3楽章、ブラームス3楽章をみて頂きました。

ベートーベンは録音を聞いてみるとロンドの軽さや6/8のリズムの正確性に、二人ともが欠けているようにも思えましたが、ベートーベンの1楽章もそうだったようにやはり時間のかけ方が少し足りないのだろう、と思っています。

ブラームスの3楽章はなかなか手ごわいものがあります。書かれかたがピアニスティックなのでしょうか?まだまだ戸惑いを感じます。

先週の水曜日、金曜日そして今日、とかなり詰めて勉強をしたので、自分のなかで少し息苦しさのようなものを感じ始めました。ピアニストとも少し距離をおき少し一人の時間が持ちたくなったので、水曜日のリハーサルは見送ることにしました。

そう考えるだけで少し気持ちが楽になります。明日は思い切り寝坊をしても良いので、しっかり眠りたい。そんな気持ちです。


2005年10月07日(金) 演奏会を聴きに:American String Quartet

昨日はたくさん書くことがあったので、省いてしまったのですが、昨日の夜はアメリカンストリングカルテットの演奏会を聞きにいきました。

program:

Brahms - Quintet in F Major, op.88
Shostakovich - Quartet No.3 in F Major, op.73
---intermission---
Brahms - String Sextet in G Major, op. 36

American String Quaretet
Peter Winograd, violin
Laurie Carney, violin
Daniel Avshalomov, viola
Margo Tatgenhorst Drakos, cello

guest
Brian Dembow, violist
Stephen Erdody, cello

とても素晴らしい演奏会でした。アンサンブルとしての確固とした音があって、セクションごとのキャラクターのコントラストが見事に表現されていました。ここ最近オーケストラの演奏会のなかにばかりいたので、最初は発信される「音」の違いに少し戸惑いを覚えたほどでしたが、そんなことにはすぐになれてしまい、すぐに演奏に吸い込まれていってしまいました。

ゲストの方々は以前私の在籍する大学で教鞭をとっていらした方々ということで、演奏会終了後、お会いしたいと思って夫と一緒にお姿を探したのですが、お会いすることはできませんでした。私はとくにゲストのチェリストの方の音楽性溢れる弾きかたにはとても惹かれるものがありましたので残念でした。

そういえば、ひとつ神様から手助けを得られたことがあります。実は今日の演奏会は生徒のお母さまから頂いたチケットで行ったのですが、もちろん、当初夫の分はありませんでした。当日券を手に入れようととりあえず一緒に会場に行ったのです。本来このチケットは45ドルほどで買えるそうなのですが、学生用当日券はなんと10ドルとのこと。私はいつもお財布に入っている学生証を取り出そうとすると、なんと見当たりません!!バッグの中に落ちているようでもなく、肩を落としているところ、ある紳士が「ここにチケットが一枚ありますから、どうぞ。でも私が良い方の席をとりますよ」「おいくらで譲っていただけるんですか?」「Freeです」なんとも素晴らしいギフトでした。おかげで夫も別の席ではありましたが、一緒に演奏会を楽しむことができたのです。お名前も知らない紳士の方、そして、神様、ありがとうございました。

それから、演奏会の休憩中に学友たちに会うこともできました。ここのところオーディションを諦めたり、日記には書いていませんが、生徒との間でも大きな問題が発生してしまい、かなり消耗してしまっていたので、素晴らしい音楽と演奏と、神さまからのギフト、そして、友人たちとの会話は少し私の気持ちをやわらげてくれたような気がします。

******

ここまでは昨日のことですが、今日のクラスではブラームスの1楽章2楽章、ベートーベンの1楽章を演奏しました。ブラームスの1楽章に関しては少し走ってしまうようなところがあり、それは改めたいと思いましたが、私自身の目標であった、楽器の鳴りを保ちながらのSotto Voceの表現はどうやら成功していたようです。今日は前回よりも少しナーバスになっていました。やはりブラームスを演奏することにまだ慣れていないからでしょう…


2005年10月06日(木) 決断:オーディションは見送ることに

ここ数週間あまりにいろいろなことが起こっていて、かなりの疲労を感じています。良いこと、悪いこと、面倒なこと…どちらにしてもあまりにも騒がしい毎日。

これまでかなり強く心のなかに引っかかっていた問題がオーディションのこと。11月5日に設定されたそのオーディションを受けるかどうか。

夏のコンサートシリーズの最後を含めて3回もお仕事を頂いてきて、サブというそのポジションとしてでも良いのでそのオーケストラで弾き続けていたい、という気持ちがより強くなり、どうしてもオーディションは受けておきたいというのが私の希望でした。オーディションを受けないとそのオーケストラにはもう興味がないのだと理解され、仕事がこなくなる。オーケストラもそのオーディションで上位になった人をサブとしてでも迎え入れる可能性が大である、という話も聞きましたし。

そういう気持ちに歯止めをかけなければならない第一の理由がリサイタル。修士取得を目の前に、先学期から今学期に延期をした卒業リサイタルです。これまでリサイタルをなんとか12月にできないかといろいろなところに足を運び、場所を設定しようと試みましたが、12月はどこも忙しいようで空きがなく、また、演奏に必要なピアノの確保ができない、などの理由で借りられるところが全くみつかりませんでした。その上、アカデミックカウンセラーによる決定的な言葉を頂いたのは10日前のこと。「必要なペーパーワークの締め切りがあるので、11月27日までにリサイタルを終えるべきです。」

リサイタルは場所のAvailabilityの関係上、オーディション一週間後の11月13日にしかならず。それでも、できれば両方できないか、ととくにここ一週間はリサイタルとオーディションの両方のレパートリーを練習し続けたのですが、まだ多少の故障が残る左腕は決定的に「No」のサインを出しています。これ以上、このような練習を続けたら、また以前の腕の状態に戻ってしまうのは確かです。

目の前のチャンスには全て挑戦してきた私ですが、今回はどうしてもそうすることができません。まだ自分の気持ちの整理がつかないほど、なんだか悔しい思いですが、今後一生の音楽家人生を思えば、大したことはないですし、もし、そのオーケストラからはずされれば、私のいるべき本当の場所はそこではない、という意味かもしれません。

神様は確実に私の歩むべき路に私を導いてくださっているのでしょう。


2005年09月29日(木) 演奏会二日目: ロシアの色彩

program:

Rimsky-Korsakov - Russian Eastern Overture
Thaikovsky - Violin Concerto (Joshua Bell, violin)
--intermission--
Tchaikovsky - Meditation (Joshua Bell, violin)
Stravinsky - Firebird


2005年09月28日(水) 演奏会一日目 : ロシアの色彩

program:

Rimsky-Korsakov - Russian Eastern Overture
Thaikovsky - Violin Concerto (Joshua Bell, violin)
--intermission--
Tchaikovsky - Meditation (Joshua Bell, violin)
Stravinsky - Firebird


2005年09月18日(日) 留守電のメッセージは…

昨日のお仕事も無事に終わって、演奏会のためにかなり練習を重ねたこともあり、かなり疲れているし、今日はゆっくりしたい、そんな気分で用事を済ませることを兼ねて、近くのモールにコーヒーを飲みにいきました。

用事を済ませ、Seattle's Best Coffee でコーヒーとちょっとしたペイストリーを頂きながら、そこらに広げられたAvailableな新聞からクロスワードパズルを探そうとしていたところ、昨日の演奏会の宣伝記事を見つけました。ソリストのJoyce Yangさんへのインタヴュー。ヴァンクライバーン銀メダリストになることなど考えたこともなかったということ、その後周囲の反応が変わり、その肩書きが常に付きまとうことへの多少のプレッシャー、鈴木メソッドでピアノを始められたため、初見は今でもちょっと苦手とか…(笑)という飾らない言葉が並べられてあり、楽しく読ませていただきました。そして、その演奏会の一部に私も加わっていたということに再び静かに喜びを感じていました。

楽しいコーヒータイムを終え、夫と一緒に帰宅すると、留守番電話にメッセージが残されていました。誰だろうと思って聞いてみると、また同じオーケストラからの仕事の依頼でした!!!昨日のチャイコフスキーと花火、大砲と一緒に私の仕事も、夏も終わったと確信していたので、ものすごくものすごく興奮しましたし、驚きました!!!感謝。

なんだか信じられないような気持ちで、結局一日平静を装いながらも胸が高鳴りっぱなしの一日でした。ある意味、疲れましたが…。


2005年09月17日(土) 演奏会:All Tchaikovsky Program

3回のリハーサルを経て、今夜の演奏会は無事にとり行われました。

プログラムは:
Tchaikovsky March Solennelle (Coronation March)
Piano Concerto No.1
Swan Lake より
Scene
Valse
Scene
Danse hongroise czardas
Danse Espagnole
Danse Napolitaine
Pas de deux (Tchakovsky/Balanchine)
Scene finale
1812 Overture

ピアノのソリストはヴァンクライバーンで上位に入られた19歳の女性が登場。白鳥の湖ではサンフランシスコバレエのソリストが登場。そして、最後の1812のときには大砲あり、花火あり、というかなり盛りだくさんかつ華やかな演奏会でした。

最後の曲目の直前にセカンドヴァイオリンのひとりの楽器の弦が切れるというハプニングも。本当は一番後ろのスタンドの内側、つまり私がすぐに対応して弦を替えに行ってあげなければならなかったのですが、正直なところ、プロのオーケストラ初舞台で演奏を諦めなければならないような状況に対して咄嗟にNo!!という思いが込み上げてきてしまい、私は動くことができませんでした。結局同じセクションのもっとベテランの方でやはり後方に座っていらした方が弦を替えに行ってくださいました。ある意味で私のエゴで少しチームワークを乱してしまったようなところがあったかとは思っていますが、初舞台ということで、また、どなたも気にしていないようでしたので、今回のことは流して、次回にはきちんと対応できるようにと思っています。

今週はこの演奏会の準備にかなりの時間を費やしていました。チャイコフスキーの演奏はなかなか大変ですし、私は全て初めて演奏する曲ばかりでしたから。できる限りの準備をしてのぞみましたし、完璧とはいえませんが、いい仕事ができたと思います。

スタンドパートナーになった方も今回が始めての参加のようで、私としてはとくに最初のうちは気持ちが楽でした。けれども、彼女はどうやらかなり忙しいらしく、この演奏会への準備はかなり不十分だったようで、ときにそんな状態を私にわびたりもしていたのです。それに対して、私は決していい気持ちがしませんでした。このオーケストラで弾きたいと思っている人が何十人もいらっしゃることが私にはよくわかっているからです。みんな、喉から手が出るほどこのオーケストラで弾きたいと思い、必死で準備をしてオーディションに行き、それでもそのときに実力がだせなかったり、ちょっとしたことで落とされてしまったりして、涙をのんでいる人たちが何十人もいるのです。そんななかでお声がかかり、仕事をいただけた私たち。新米ながらも、またこれきりになってしまうとして、プロとしてオーケストラのなかで与えられた役割をきちんと果たそうとする姿勢でいなければいけないと私は思っていたからです。

私の夢が一日だけですがかなえられ、私は本当に幸せです。
チャイコフスキーと大砲と花火で私の夏とこのオーケストラでのお仕事が終わりました。


けい |MAIL

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