paranoia kiss
    

空っぽになった体と、
一杯になった頭を抱えて、
家を飛び出した。

行くあてなど、どこにもないのに。

街に出て、浴びるほど飲もうと決めたのに、
休日だと気づく。
今度からは前もって、計画して飛び出そう。
知ってる店はどこも閉まっている。

君と知り合った頃、一人の時間を過ごすのに
よく使った店を思い出した。

開いていてほっとする。

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お酒を飲むと決まって彼のことを思い出す。
いつもいつも決まったものしか飲まなかった。

今でも坂の多い、ラーメンのおいしい街にいるんだろう。
連れて行ってくれる。という約束は果たされないまま。

浮気とか、ふたまたというものが、どうしても許せなかった。

今の僕からは想像できないくらい、
堅物に生きていた。

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やっぱりやりきれなくて、豪雨の中家を出る。
始発電車は様々な顔ぶれで。

明け方まで飲んでは、必ずコーヒーを飲みに
立ち寄った店を思い出した。

いろんな人種がいて。
モーニングは喉を通らず、コーヒーだけ。

本を持っていない、ということが、かなり窮屈で。

一人の時間も過ごせなくなってしまっている自分に
改めて気づかされる。

今更だけど、取り戻したい自分がいる。

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肉体が老いるまで生きつづけるならば、
傷つくものは精神しかない。

なんど、身体に終わりを迎えさせようとしたことか。
不思議と今回はそんな気分にならず。

ぼろぼろの心だけひきずって、
居場所のない僕は、
住民票記載通りのこの空間に戻ってきた。

何か変わった?
何も変わらない?

精一杯の抵抗と反抗は徒労に終わる。

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ただ残ったのは、間違いなく大好きだったカクテルを2杯、
そして、コーヒーを飲んだ。ということ。

眠ることもできず、
怠惰な身体を引きずって一日を終えた。

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僕が出て行っても、君の両親は咎めもしない。
諦められている。ということが
これだけ救われる事とは。

2007年05月03日(木)



猫を100匹借りてきても足りない。

恐る恐る来客用の布団を干す。

そう、明日からは君のご両親がやってくる。

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意識しているわけでもないのに、
思い出そうとしているわけでもないのに。

そんなにメジャーな場所ばかり出かけたわけでもないのに。

あの人と出かけた場所ばかりがテレビに映る。
おなかが空きすぎて、
温泉卵を4つも食べた。

もしかして、あの人のいたずらなのか。
此処のところは平穏に過ごしていたのに。

みっともないくらいに、泣きすがったのを過去にしたい。
そんな僕の決心はあっさりと打ち砕かれる。

2007年04月27日(金)



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