paranoia kiss
    

浴衣に花火の似合う季節がやってくる。

あの人が初めて連れて行ってくれた公園は、
当時車で入ることができた。

花火の開始時間にはえらく早い時間から
車で乗り込んで、いい場所を陣取り
ひたすらにビール。
始まる頃にはご機嫌さんで、
どんな花火だったかも思い出せない。

以後、車で入れなくなったから、
毎年のように恋人をとっかえひっかえし、
あの場所で見た。
あの人に会えばいいのに。と思いながら。

君と1度だけ行ったけれど、
それ以降は行かなくなった。
会えればいいのに。なんて夢をもう、みなくなったから。

2007年07月14日(土)



お酒をどうでもいいように扱う人間を
心底嫌うくせに、今自分がそうなろうとしている。

ボーナスが出るという今日、
何処かで見知らぬ異性と飲んだ暮れているんだろう。

はっとそのことに気づき、
僕は1リットルのビールを流し込む。
一番嫌いな飲み方なのに。
それでも、□い頭が○くなるような錯覚に襲われる。

明日の朝に残骸を見つけたら、
何か言われそうな気がして、
ベランダにゴミ箱に放り込む。

辺りはとても静かで、
缶の音だけが響き渡った。

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この季節には珍しく涼しい日。
いつもとは、銘柄の違うタバコをプカリ。

やはりここでも浮気は良くない。と改めて気づく。
君の帰りなど待つつもりはさらさらない。
浮気が本気にならなければいい。
浮気ならいくつでもご自由に。

いつだって、気づかぬフリをしてきた。
異性なんてそんなもの。
割り切るにはスケールが大きすぎる。

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気が付けば、あすは七夕。
生憎の雨の予報。

大勢でお気に入りの焼き鳥屋で飲んで、
彼に恋していたのはもう何年前だろう。

彼も彼女も元気なんだろうか。
そういえば、今日、彼女の町を通ったというのに。

じゃがいもの皮をむくのが分厚すぎる。と
言われたことを未だ覚えていて、
カレーを作るたびに思い出す。
やたら綺麗な手だった。

酔っ払っては泊めて貰って、
社会的身分を全うしていなかったあの頃を。

多分、あの頃よりも色々なものが作れるようになりました。
上手な嘘と。
上辺だけの笑顔と。

足回りの硬い車が好きで、
なぜだか、今もその車を見るたびに振り返ってしまう。
全く飲めない人と、飲むことが大好きな人間が、
一緒に居ることはやっぱりできなかったと
今になって思う。

ボールが転がっていたあの海が大好きだった。
そして、田んぼだらけのあの街が大好きだった。

彼といた時に、海が見える街で
あの人とすれ違ってしまった。
あの人の驚いたような悔しそうな顔を見て、
僕はちょっと気分がよかった。

全く正反対な二人を思い出してばかり。

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今になって、酔っ払って書く文字は
ろくなことがないと気づく。
戒めをこめて、ここに残してみる。




2007年07月06日(金)



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