あの人の声も顔もうすらぼんやりとしか 思い出せなくなった。 思い出しても泪が出ることもなくなったし、 思い出すことさえ、少なくなってしまった。
これが忘れる。ということに近いんだろう。
それでも、同じ香りに街ですれちがったり、 一緒に聞いた音楽が街に流れてたり、 同じ季節が巡って、同じ匂いにぶつかると どうしても頭を掠める。
そのくせ、思い出したくないような くだらない細々としたことは今でも覚えている。
あの人の妹が電話に出て、 今は幸せなんだから未練たらしい。なんて ばっさりと言われたことを思い出して、 胸が痛くなっている。
そして、左手の指輪をはずせないまま 彼女とばったり会って、 彼女の薬指にも指輪があるのに気づいた。 そんなことを思い出した。 ショックより、何よりも、 男って簡単に指輪を贈るもんなんだ。と そんな発見をしたのを今でも覚えている。
人生でどん底だったと思うけれど、 世の中にそんな話は五万とあるわけで。 それでも、あのときほど辛いことはない。といって 乗り切れてしまうのは 理由付けにはもってこいなんだろう。
かさぶたをはがしては またじくじくした傷をいじり、 またかさぶたをはがしている。 とうとう消えずに痕になって、 そのあとをしみじみと眺める行為に似ているかもしれない。
2007年09月25日(火)
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誕生日プレゼントで泣いて欲しくない。と思う。 それが、痛く悲しい泪なら、 より一層見たくはない。
自分が嫌なことを 相手に強要するのはおかしいし、 できれば避けたい。
それでも、義務だから泣いてもらうことにする。 注射というお誕生日プレゼント第2弾。
--- 君があの人達から生まれたんだと確信する瞬間。 さっぱりきっぱりした人だと思っていた。
案外、大事なことを見落としていたのかもしれない。
ネチネチぐずぐずという君に 何かが冷めていくのを感じた。
今まで気づかされるような事件がなかったから仕方ない。 無事に解決しても、 まだぶつぶつが聞こえてくる。
現実はなかったことにできないのが悔しい。 リセットボタン熱望。
2007年09月10日(月)
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