V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
理念経営とは、簡単に言うと「まず他人を笑顔にして、その笑顔を見て自分も笑顔になる」経営です。これを意識すると、お客様へのお役立ち意識が強くなります。すると、今やってる事業にプラスして、あれもやった方が良いのではないかという気づきが多数得られますその気づきが、新規事業のヒントになり、お金の使い方にも表れます。儲かったお金を販促品に使い「おまけのバラマキ」でお客様を獲得していた会社と、儲かったお金で社員研修を行い「親切ですね」と言われることを最高のほめ言葉として目指してきた会社。そして、そのために新規事業に投資をしてきた会社。その差は、今回のようなショックの時に歴然と現れます。まさに、理念の有無が会社の将来を左右します。あなたの会社の理念を口ずさんでみましょう。いかがですか?「さあ、誰かを笑顔のために頑張ろう!」という気持ちになりましたか?そうなったなら、大丈夫です。
創業110年の鮮魚問屋。問屋業以外に回転寿司や居酒屋など次々と革新を生み続けている老舗企業の4代目社長は、新たな事業をどんどん社員に任せています。そのとき、決まって次のように声がけします。「やってみろ。お前の失敗は俺が面倒見てやるから」。なんて温かく、人を勇気づける言葉なんでしょう。挑戦するとき、何か一つでも保証があると(仮それが空手形でも)本当にありがたいですね。これは、Googleが創造性発揮のために、何が欠かせないのかを研究し、最も欠かせないこととして発表した心理的安全性そのものですね。社長は「私が『やれ』と言わない限り、枠からはみ出す『やりすぎ社員』は出て来ない」と言います。はみ出し社員を育てるのも社長の仕事ですね。
そこで同社は原点に返ります。それは「子供たちや大人のマニアにレゴを与え、どのように遊ぶかをつぶさに観察し、そこから新商品開発のヒントを得た」のです。例えば、消防車やパトカーレゴの開発者は、消防士の訓練に参加したり、パトカーに同乗させてもらったりして、消防車やパトカーの魅力を再認識したのです。その現場主義が、支持される商品開発に繋がりました。イノベーションを起こすときは、あれもこれも同時多発的にやってはいけません。やることを絞って、徹底的に顧客の立場に立り、経験を共有することが必要ですね。
レゴブロックをご存知ですか?おそらく誰もが遊んだことのあるおもちゃだと思います。レゴは90年代に特許が切れました。そのため類似品が多数登場し、レゴ社は赤字を余儀なくされました。そこで当時の経営者は「イノベーションの7つの真理」に忠実に、7つのイノベーションを起こしました。その7つとは 創造性と多様性に富んだ人材を揃える/ブルーオーシャン市場に進出する/顧客主導型になる/破壊的イノベーションを試みる/オープンイノベーションを推し進める(群衆の知恵に耳を傾ける)/全方位のイノベーションを探る/イノベーション文化を築く です。
ある金融機関が、60歳以上の高齢者を対象に、定期預金を募集しました。一口30万円で何口でも結構……という内容でしたが、実際に30万円を預けに来た人はゼロ。それどころか「10口でもいいかな…」と、300万円を預ける人が多くいました。「定期預金に、たった30万円では恥ずかしい」という恥の文化が働いた結果です。高齢者相手のビジネスは、「恥ずかしくない」気持ちに寄り添うことが肝要です。この事例は、紫色のボトルだと全然売れなかった高齢者向けの化粧品が、色をオレンジに変えたら、飛ぶように売れたのと同じです。彼らの心の中には、太陽が未だ燦燦と輝いているのです。松下幸之助翁は固定概念を捨て事実だけを見ることを「素直な心」と言っています。「おかしいな。こんなはずじゃ」と違和感を覚えたら、自分のアイデアに固執せず事実だけを見つめ直す。ファクトフルネスという本がベストセラーになりましたが固定概念・先入観が私たちの違和感の源です。素直な心が大切ですね。
NHKの『プロフェッショナル〜仕事の流儀』。ご覧の方も多いでしょう。ではこの番組の第1回のゲストが誰かご存知ですか?正解は、星野リゾートの星野佳路社長です。その中で、実に印象深いシーンがあるので紹介します。星野社長に、司会の茂木健一郎が「日本人はリスクをとることが苦手だという。なぜ、星野さんはそれができるのか?」と質問した時です。事業再生にはリスクが伴うからそこを尋ねたのです。星野社長は次のように応えました。
再開が待たれる東京ディズニーリゾート。「あそこはアトラクションではなく人を観に行くところだ」と誰かが言いました。確かに、リピート力の源は、なんと言ってもキャストですね!そんなTDLで徹底されているのがSCSEの行動指針。
「カゴメトマトジュース プレミアム」は原材料はトマトだけ。食塩もなし。開発思想は「自然の美味しさを損なうような技術に頼らず、食の楽しさをお客様に提供する」。まさに「シンプル イズ ベスト」の考え方です。ここでいう「自然の美味しさを損なうような技術」とは、例えば、甘くしたいときに砂糖を入れるような安易なこと。それに頼らないのだから、ものづくりの担当者は「砂糖に頼らずに甘さを出すにはどうしたら良いか」を考え抜くわけです。カゴメは野菜ミックスジュースが得意です。創業期のケチャップと、高度成長時代のトマトジュースで成長した同社ですが、80年代に成長が止まります。それを90年代にブレイクスルーしたのが、「野菜生活100」をはじめとするコンビニで買えるミックスジュースへの進出です。このときの味付けも、自然の美味しさを組み合わせてつくります。「野菜生活100瀬戸内レモンミックス」や「野菜生活100沖縄シークワーサーミックス」などは地場産品との組み合わせた大ヒット商品ですが、その都度地元の農家さんと研究し、「何も足
売上げが伸びることよりも、トマトを研究できていないことを問題視したのでした。これを受けた幹部たちは「自分たちはまだまだトマトの価値をお客様に提供できていないのではないか?」と自問自答します。その中から生まれたのが「自分たちはトマトのストレートな美味しさを伝えていないのではないか」という仮説。そこからこのプレミアムが誕生したのです。常にワンランク上の視点で自問自答する社長の厳しさと、それに応える現場のNo.1企業のプライド。カゴメの理念は「私たちは、自然の恵みと多くの人々との出会いに感謝し、自然生態系と人間性を尊重します」。だからこそ、社長には自分たちの課題が見えて、現場もそれを受けとめたのでしょう。カゴメプレミアム。美味しいです。是非一度飲んでみてください。
カゴメプレミアムという商品をご存知ですか?原材料名にはなんと「トマト」としか書かれていません。カゴメがなぜ、このようなストレートな商品を作ったのか私には大変疑問でした。そこで工場長にお会いした時に尋ねてみると、工場長は次のようにいいます。「社長の指示だったから」。実は2013年、同社のトマトジュースが空前の売れ行きとなり、店頭からなくなる事態になりました。理由は「トマトには脂肪燃焼成分があり、メタボに効果がある」と京大の研究チームが発表したからです。ただ、この研究はカゴメとは関係のないところで行われたものでした。それを知った社長は「このような研究成果を当社が発信しなかったことを恥じろ」と現場に指摘したのです。ここにNo.1企業の意地がありました。
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