V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
「人材育成に金をかけるか否か」不景気の今こそ、社長の器量が問われる時!広告・教育・コンサルティングの3Kは経費カットの最優先項目……と言われています。が、リーマン・ショックの時には以下のような社長がいました。当時の日記です。「俺が社長でいる間にさ、金をどんどん使っちまおうっと思って」ある会社の社長から幹部研修のオファーを頂きました。そのプレゼンの後に頂いた最初の言葉が、これ。
「〇〇化」という言葉が会社に溢れています。「強化」「特化」「平準化」「高度化」「見える化」など。が、それぞれは、目的でも目標でもありません。ある目標を実現するための手段です。例えば、「多角化」が目的ではなく、不景気に強い会社を創るのが目的で多角化はそのための手段なのです。あるいは、「お客様の満足を高める」が目的でそのために「営業力を強化」するのであり、「特定市場に特化」し、「負荷を平準化」し、進捗を「見える化」するのです。よって目的や目標に「〇〇化」という言葉が出てくるのはおかしいのです。「〇〇化」という言葉が目的や目標の欄に多数散見される経営方針書は、目的と手段を混同している可能性が高い。これをやっちゃうと、仕事はどんどん辛くなります。「強化」ばかりするうちに、何のための強化なのか皆が忘れてしまうからです。あなたの会社の方針書の目的や目標の欄に「〇〇化」という言葉の登場回数は何度出てきますか?是非チェックしてみてくださいね!
シェイクスピア曰く「成し遂げんとした志を、ただ一回の敗北によって捨ててはならぬ」。コロナ禍の中、苦しんでいる会社は少なくありません。計画していたことは変更を余儀なくされます。80代の米国人たちは、自分が若かりし頃に出会った日本人をこのように振り返ります。「日本人は、どれだけ言ってもくじけず改善案を持ってくる。その姿勢に驚愕した」。登る道筋は遠回りになるかもしれません。持っていきたかった荷物を捨てたり、一緒に登る仲間は変わるかもしれません。が、目指す山頂は変わりません。敗北を敗北と思わないところが、復興経験を持つのが日本人なんですね。私達にもそのDNAが流れています。それを信じて今日も一日、集中していきましょう。
先日ご紹介した、高知で障がい者を120人雇い、レストランやカフェ、ケーキ屋等を経営しているワークスみらい高知の竹村代表の話の続きです。「障がい者をウリにしたくない。だから、グルメ雑誌以外の取材をお断りしてきました」。と、竹村代表は笑います。障がい者を売りにすると「不味そう」と思われ、最初は慈悲で来てくれた客も次には来なくなります。結果的に障がい者が育たなくなってしまう。逆に「障がい者が働いています」「障がい者が作りました」とは言わず、後から「あ、障がい者さんが働いていたんだ」とわかれば、お客様から「頑張ってたねありがとう」「美味しかったよ。ありがとう」と言ってもらえます。その声が、障がい者が育てるのです。雑誌に取り上げられれば、目先の売りは増えます。しかし、竹村さんの焦点はそこではなく、障がい者の成長にあります。そのぶれない姿勢に感動しました。ちなみに竹村さん、開業当初にこんな経験をしたそうです。「経営が逼迫して、自分が底の底まで落ちていきました。が、あるとき足が底に着いた……と感じた瞬間があったのです。すると、その底を蹴る力が出ました。その力を「底力」と言うんですね」。
社員数200人のうち、120人までが障害者。そんな食品工場&レストランを経営するNPO法人ワークスみらい高知の代表竹村利通さんにお会いしたときのこと。竹村さんの想いは、障碍者を自立させ障害者と健常者の間に垣根のない社会を作ること。その彼は障害者雇用のポイントを「HOWを考えること」だといいます。例えば、洋菓子をつくるとき、80gのカスタードを量って盛るのが苦手な身障者も、足で踏めば80gのカスタードが自動的に出てくる機械を使い、それを足で踏むことができれば、仕事はできます。そのような機械を作るようメーカーに相談し、投資をすれば、雇用が生まれます。健常者と同じように働くのではなく、健常者と同じアウトプットを出せるようにするには、どのような環境が整えばいいか。そのHOWを考えることで大勢の障碍者の雇用を創出しているのです。同社の洋菓子店・ストロベリーファームに行ったら、店が見学コースになっていて、店員さんが働く様子をガラス越しに見ることができました。働く姿を見られることも、モチベ―ションを高め、
さらに、先生の話は続きます。「人間は成長します。自分が変われば周りが変わります。変わることを信じなさい。『ムリ、ムリ…もうだめです…』泣き言を言えば変わります。変わることを良しとしなさい」。
ある女性社長に、彼女の恩師だというコンサルタントの話を聞きました。その先生の「問題が次々発生するんです…」と相談すると、先生は次のように言ったといいます。「会社は建設現場のように、いつも金槌の音がするものです。どこかで何かが見つかって修正、修整しているもの。問題だらけでいいの。問題に気づいていなさい!」問題があってはならないもの、と考えて仕事をしていた社長は、この言葉ですごく楽になったといいます。
街の駅近くの伝統的な建物が壊されて、高層マンションができました。その町らしさが、またひとつ消えました。その光景を見ながら、利だけを求める利益至上主義者に、「らしさ」のある存在は常に壊される運命にあると感じました。顧客第一の経営をしていた企業が、突如儲け主義に走ったとき、その企業「らしさ」は壊れてしまいます。誰かのために一生懸命だった人が、「金・金・金」と言い出したとき、その人らしさが消えてしまいます。人・企業・地域固有の魅力は、金の亡者の前に消し飛びます。そして何の特徴もないノッペラボウな人・企業・町が残ります。私個人にもそんな経験があります。自分を見失ってしまうのです。このような破壊を必然と言う人もいますが、同じ生きるなら、「らしさ」のある独自性でお役に立ちたいですよね。不自由な日常を余儀なくされる時こそ、「事実前提」より「価値前提」の人でありたい。手づくりマスクを提供される方と、大量に仕入れたマスクを叩き売る人を見比べながら、そんなふうに考えています。
そろそろ旅に出たいですよね。良い車掌さんに出会うと電車旅がぐんと楽しくなるます。ワンマン列車でもおかしくないほどローカルな近江鉄道(2両編成)に乗って米原から五個荘に向かったときのこと。そこにはトレインアテンダントと称した20代?と思しき女性の車掌さんがいました。彼女の仕事はとても丁寧で、親切。私が「五個荘の駅前にタクシーは泊まっているの?」尋ねたときも、なんと膝つきで応じてくれました。他にも彼女は足が不自由なおばあさん降りるまで待ってあげたり無人駅からギリギリで飛び乗ってくる親子連れへの労いの言葉をかけたり。車掌さんは、その土地の空気を作ります。見ていて心が温まりました。
志賀内泰弘先生のベストセラー「京都祇園もも吉庵のあまから帖」(PHP)の中で、主人公のもも吉(甘味処の女将)が、こんなセリフを口にします。「『頑張る』と『気張る』は似てるけど違うんや。わかりはるか?」「『頑張る』いうんはなぁ、『我を張る』こと。つまり自分一人の頑張り、独りよがりのことやなぁ。それに対して、『気張る』いうんは『周りを気遣って張り切る』ことや。仕事は一人ではできへん。周りの人たちを巻き込んで、助けたり助けおうたりして、いろいろな考えを一つにまとめて自分の力を発揮することや」。志賀内先生によると、昨今、皆が暑い日でもマスクをしているのは、自分を守る「頑張る」行為ではないといいます。それよりも、自分が持っているかもしれないウイルスを人に移さないためにする「気張る」行為なのです。
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