徒然なるままに・・・
翡翠



 あれから・・・

一週間。彼と最後に会ってから・・・。
壮絶な終わり方だったけど もう忘れようと思ってたけど
まだ彼のことを思い出す。
初めて会ったときのこと。
離れられなくて 無理をいって ホテルに行ったこと。
部屋に入るなりからみあって お互いの着ているものを脱がせようとして
私は彼のシャツのボタンに手をかけ
彼は私の着ていたセーターを脱がそうとする・・・。
きつく抱き締めあったこと・・・。
息ができないくらい きつくきつく・・・。
どれだけくっついても足りなくて 溶け合いたくて・・・。
あのときは これから何回こういうことがあるんだろうって
彼のことをどれだけ理解してあげられるんだろうって
期待と不安でいっぱいだった。
こんな結末が 待ってたなんて 思いもしなかった。
まだ彼が恋しい。
彼の腕にもう一度 抱かれたい。
彼の家庭なんて もう一度壊れてしまえばいい・・・。

2002年11月15日(金)



 とうとう・・・

その日はやってきた。
もしかしたら このままずるずると続いていくかもしれない・・・と思っていたけど。
不倫ができるほど 私も彼も器用じゃないし 割り切れない。
彼は同じ人と 再度家庭を作っていくことに 二度と同じ失敗は許されないと
自分に課して 去っていきました。

前日に もしかしたら自分は行かないかもしれないと連絡を受けたとき。
それまで舞い上がって緊張していた気持ちが 揺さぶられ
一度は物分りのいい返事をしておきながら
すぐにまた でもやっぱり会いたい とメールをいれ
夕方には連絡するから と言われ その半日の長いこと・・・。
そして 首を長くして 待ち続けた結果は 自分が行くと。
うれしかったけど それは別れが近くなったことでもありました。

当日 待ち合わせの時間が近づくにつれ 顔がにやけるのがわかる・・・。
それでも就業時間が終わってすぐ帰るわけにもいかず
かといって 彼を待たせてるのが気になる・・・。
ちゃんと笑顔で話せるのだろうか・・・。
会ったとたん泣き出すことだけは やめよう。
そう決めて 彼の待つデパートのエスカレーターを上っていく。
初めて会ったときとは また違う感じの緊張感。
途中で 泣きそうになったので トイレへ駆け込む。
もう一度鏡をみて 笑顔の練習をして いよいよ彼のところへ。
文庫本を立ち読みしてる彼を 遠目で確認してドキドキしながら 近づく・・・。
なんて声かけよう・・・と思っていたけどごく自然に ”おまたせ”って言えた。
そして 表紙を覗き込む。
彼は本を置いて 私と並んで歩き出す。
歩きながら 自然にお互いの近況など話す。
なにせ 一ヶ月ぶりの上 その間いろいろありすぎて・・・。
また彼と並んで歩けるなんて思っていなかった。
私のお勧めの店へつれていく。
色々話しながら 飲んで食べて・・・。
危惧していたよりは 普通に話せて 笑える・・・。
そのうち 私は酔っ払って 彼にしなだれかかり だんだん記憶をなくしてゆく・・・。

それからは途切れとぎれの 記憶しかない。
私は朦朧として 泣いていた。
泣いていたり 彼とキスしていたり 喚いていたり
ホテルに行くといってきかなかったり 彼になだめられていたり
走ってる車のドアをあけようとしたり・・・。
時間軸は狂っていて 展開はわからないけど
とにかく 私はホテルに行きたがって 彼は理性でそれを止めてた。
何度も彼は抱きしめてくれた。
キスをせがめば きつく吸ってくれる。
それで我に帰る。
それでも 泣いている。
これで最後だってわかっていたから。
もう二度と会えないことがわかっていたから。
彼の家に近づくにつれ 私のヒステリーはひどくなっていく。
よく覚えてないけど 彼の腕の中で叫んでいたように思う。
言葉にならない 叫び。
布団の中で声を押し殺して泣いていた分の 叫びがでてくる・・・。
それも 本人に向かって・・・。
ものすごい修羅場だったと思う。
申し訳ないことをしたと思う。
彼はもう 嫌気がさしたと思う。
最後には私が力いっぱいつかむ手を振りほどいて 逃げるように車を降りて行った・・・。
本当に最後。
もう終わり。



2002年11月11日(月)



 結局彼は・・・

妻帯者になり 妻子もちということに。
ついこの前までは 子だけだったのに・・・。
子持ちはまだ いいけど 妻帯者っていうのはね・・・。
みょうにさばさばした感じで報告がありました。
彼は 力まず努力する そうです。
その後も携帯のメールは続いてます。
おはよう は彼から。
おやすみ は私から。
合間にも少し。
いつの間にか そういうふうになりました。
再び妻となった人が 横で寝ているだろうことを思って
迷惑ではないのか?と聞いてみたけど
迷惑ではないと・・・。

そうして 8日に会うことに。
研修でこちらの方へ行くから と連絡があって
そう聞いたらやっぱり 会いたい と言いたくなるわけで・・・。
一連のことがあった後 初めて彼と会います。
会って 食事をして その後・・・。
どうしたいのか どうなるのか わかりません。


2002年11月05日(火)



 まだ・・・

だめ。
今日も会社でふっと気を抜くと 泣けてきた。
いっぱい泣けば 忘れられるから そういうときは気の済むまで 泣く。
忘れられなくて 私の中で彼はどんどん美化されて
いい部分だけがスポイルされていって・・・。
どうしてこんなことになってしまったんだろう。
不倫なんて一番避けていたことだった。
こんなことを始めたのも もう少しで不倫に走りそうになったからだったのに。
一回人に取られたことがあったから 自分は絶対そんなことはしないって決めたのに。

彼に会いたい会いたい会いたい・・・。

2002年10月28日(月)



 どうしていつも・・・

こうなんだろう。
やっと私を受け止めてくれる人に出会えたと思ったのに・・・。
彼の子供達に 取られてしまった。
二十歳のころ 初めて好きになった人は 当時仲のよかった友人に取られた。
それがトラウマみたいになってて ずっと人を好きになれなくて
このままではだめだと思って
私も幸せになりたいと思って。
ネットを通しての こういう出会いもありかな〜と思いながら
数々の人に会って やっと彼に会えたと思っていた。
私が待ち望んでいた人だった。

2ヶ月間ずっとメールだけのやり取りで
その間 彼は素敵な言葉の数々をくれて 励ましてくれた。
中身の濃いメールをずっと続けて 色々なことを話して
まだ会ったこともないのに 結婚のことで喧嘩して・・・。
それで 先々週の土曜日にやっと会えて。

これから始まろうとしていた。
彼も同じだった。
私の気持ちは走り出していた。

それなのに。
彼の子供達が 調子をくずして 離れていた子供達も
また一緒に暮らしたい と言い出して。
元の奥さんと話し合いの席につくことにしたって・・・。
もう一度やり直すにしろ 一緒に暮らさないにしろ
どっちの結果が出ても しばらくは 子供達の為に時間を費やすと・・・。
自分のことは置いておくと。

そう言って 彼は子供達のところに帰っていきました。



2002年10月26日(土)
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