まつや清の日記

2006年08月14日(月) 柏崎平野に流れる農業用水

 新潟県の富士山と呼ばれる米山山が遠くに見える柏崎平野、そして水田風景。そこには並々とした農業用水が流れ込んでいます。息子が農水省募集の農業用水事業インターンに参加するとの話しを聞いて父が、それなら現場を案内しよう、と。

 鯖石川の中流にある藤井堰にいきました。管理棟がそばにあって、4月から8月まで土地改良組合で監視するとのことで、村の方が常駐していました。そして、堰の壁を上げ下げする遠隔コントロール装置の説明をして頂きました。

 管理棟の側には桜並木があり、立派な石碑が立っています。そこに刻まれている江戸時代から続いた「水の争い」に、百姓にとって、いかに「水」が大切であり命綱であったか、が読み取れます。

 父の若き時代、政治家・田中角栄氏に「力」を借りて作り上げた藤井堰の歴史が、次から次に息子に語られます。どこまで理解して聞いているのか、よくわかりませんでしたが、父は満足そうでした。

 お盆のお墓まいり、1年に1度の顔合わせ、長くここに生まれ育っているはずが、それでも私が知らなかった松谷家の先祖の成り立ちに、びっくりすることがあります。この家族の語らいにあらわれる記憶という一人一人の失われた生活風景。

 この記憶が森羅万象のごとく都市住民に一人一人の心の中に横たわっているはずですが、核家族と言う都市の希薄な共同体、故郷を持つ多くの都市住民たちがこの記憶をたどりながら、隣近所の人々と語れるようになるのはいつの事でしょうか。



2006年08月13日(日) 故郷の父・母

 今日は家族と共に実家の柏崎に戻ります。大動脈乖離から3ヶ月半、奇跡的な回復・退院から早2ヶ月。とても、元気に過ごしているようです。父が、母の足の衰えを気にして、散歩に連れ立っているとの事、嬉しい限りです。

 静岡県日中友好協会の機関紙に前浜松市議会議長・田中満州男さんが「戦後の60年のエピソード 苦しみよ、悲しみよ、ありがとう 心に残る思い出の歌・・・」という寄稿されています。

 そこで、紹介されている「旅愁」の詩に思わず、ジーンとしてしまいました。父・母の元気な姿を見に行ってきたいと思います。

 



2006年08月12日(土) 『宇宙はこうして誕生した』を読む

 『宇宙はこうして誕生した』(佐藤勝彦編 ウエッジ選書)は、かなり前に購入していましたが、まさに「積ん読」の世界でした。夜空に見えるいくつも星、銀河系、この宇宙はどうしてできたんだろう、は小さな頃からの疑問でした。

 発刊が2004年の9月なので、日進月歩の宇宙論の世界で、この本に書かれている事に更なる新しい新説が加わっているかもしれません。それでも、基本的な宇宙論は知っておきたいと思って、あらためて読み始めました。

 それにしても、私達が高校や大学で学んでいた頃の物理学の世界とは大きく発展していることに、これは物理のやりなおしだ、と思わざるを得ません。重力、電気磁気学、強い力、弱い力の4つの統一理論が課題となっている、と。

 宇宙は、「無」からはじまった、その「無」とは物質だけでなく、空間すら「非存在」と「存在」の間を揺れ動く、それが、トンネル効果という何千億回に1回ボボールが壁を突き抜ける、ここからビッグバン、宇宙の創成がはじまった・・・。

 宇宙が始まって最初の10のマイナス44乗秒後に最初の相転移が起こり、一つの力から重力が枝分かれし、そして10のマイナス36乗秒後の第2の相転移で強い力が枝分かれし、・・・・実に面白く読めます。

 世の中、お盆で「夏休み」。この本を抱えて、夜空を眺める少し、ゆったり出来る時間と空間を確保したいものです。それにしても、ニュトリノ発見のスーパーカミオカンデは、浜松ホトニクスの技術で支えられている、この現実、スゴイ。



2006年08月11日(金) 政権交代の現実ー長野県副知事の辞職願い

 今日は、街の中心地は「夜店市」でおお賑わいです。地産地消の食のレストラン「イタリー亭」で、1ヶ月に1度の「金曜プラス」という「大激論ひろば」が開催されていました。別の企画でアルコールも入っていましたが遅れて参加しました。

 参加者は、大学生、農家、農協リタイア組、お菓子職人入門者、公務員、マイ箸愛好家、静岡歴史作家・・・などいろんなジャンルの職種、幅広い世代、とにかくマスターのキャラクターで集まっています。

 「激論」、でなく「まつやさんがただ、しゃべってた」んじゃないの、と言うそしりを受けながらも楽しい会でした。是非、静岡地下道に存在する地産地消の食のレストラン「イタリー亭」に。勿論、今日は、静岡商の初戦勝利は大きな話題。

 帰り道、気がつかなかった携帯の留守録を聞いてみると「松谷さんがこの前、医療の話を聞いた澤田副知事が辞職します。あとで信濃毎日を送ります」、と長野の知人から連絡。さっそく、信濃毎日のホームページを開きました。

 「沢田副知事も辞職意向 田中知事落選で判断か」の見出しで「田中知事は11日の記者会見で、沢田祐介副知事(58)から、知事の任期が満了する31日付で辞職する意向を伝えられたことを明らかにした。知事選で田中知事が落選したことに伴う判断とみられる。県の特別職では、既に青山篤司出納長(61)が31日付で辞職することを明らかにしている。

 県経営戦略局によると、沢田氏は知事選投票日翌日の7日、県庁で知事らとの会議に出席した後、体調不良を理由に帰宅。8日から15日まで夏休みを取っている。沢田氏は愛知県出身。東海大医学部教授から旧小県郡東部町立ひまわり病院長、東御市民病院長を経て、昨年4月に任期2年で県に採用され、衛生部長に就任。昨年10月に副知事に就いた。

 医師としての経験を生かし、県内の医師不足対策のほか、少子化に対応する県の施策などを手掛けた。」

 あれだけ熱弁を振るって長野県の医療行政の改革を語っていただいた澤田副知事、政権交代の現実を目の当たりに見る思いで、とても残念です。村井知事を選択した長野県民の前に現われる行政の質の転換、何がこれから起きるのでしょうか。




2006年08月10日(木) 日本で始めての遺伝子組替えとうもろこしBt10の隔離圃場

 本日、消費者グループ「れんげ畑」、生活クラブ生協のメンバーとシンジェンタ社を訪問しました。とうもろこし、大豆の種まきが既に7月4日、5日に行われていたわけですが、マスコミ的にもほとんど注目されませんでした。

 シンジェンタ社側から、開発本部中央研究所技術顧問古橋嘉一氏、バイオテクノロジー広報マネージャー坂本智美氏など4人の方が対応し、「遺伝子組替え作物と生物多様性影響評価試験」と題するパワーポイントでの説明がありました。

 そのあと質疑に入りました。ポイントがいくつかあります。従来、遺伝子組替え作物は、アメリカで認可が出され、その輸入に伴って日本では生物多様性条約に基づき審査が行われます。そこでOKがでれば、輸入ができる、しくみです。

 今回、害虫抵抗性トウモロコシBt11、害虫抵抗性トウモロコシBt10、除草剤に影響を受けない大豆の3種類が許可になりました。Bt11は既にアメリカで許可が出ています。Bt10と大豆はアメリカでも許可が出ていません。

 輸入する為だけなら、アメリカの審査で許可が出てからでも遅くはありません。何故、同時申請であるのか、になります。日本でも商業栽培を始めようという意図に基づく今回の隔離圃場試験では、という疑問が出てきます。

 それに対しては、昨年の許可のないBt10がBt11に混じって混入するケースがあり、その際に「安全性に問題がない」ことがすぐに説明できるように、という点と、またアメリカで許可が出てから申請しては時間がかかる、という点の回答。

 組替え大豆に関しての質疑に移りました。除草剤耐性が野生の「ツルマメ」に伝播する可能性についてです。自家受粉であることで広がりはほとんどない、との回答でした。更に何点かについて質疑が続きました。

 そのあと、とうもろこし、大豆の圃場にいき現地説明を受けました。とうもろこしのBt11は許可されており、追加試験程度であるので、既に処分。Bt10については、遺伝子組替え、非遺伝子組替え、商業用の3種類をいくつもの分散播種。

 商業用が一番生育していました。除草剤試験を行う畝もありました。圃場は風除けの網で覆われています。大豆は、虫が入らぬようにときめの細かい網がかけられています。説明全体が、とにかくていねいに親切に行われました。

 ともかく、この隔離圃場の現実を多くの県民に知って貰わなければなりません。よく考えてみると、組換え審査結果は、アメリカからの輸入促進という事で、いつまでも日本が自給率を高めることができない、ということと同義です。

 では、日本が独自の遺伝子組み替え技術で自給率を高めるという選択があるのか、になります。結局、もう一度安全性議論に問題が戻ります。さて、この問題、どう考えますか?毎日食べる豆腐は大丈夫か?

※※ 尚 遺伝子組替え食品を考える会・河田昌東さん大豆の遺伝子組み替えに関しての質問状が出され、8月31日までに文書で回答するとの返答をいただきました。



2006年08月09日(水) 岐阜県庁の裏金焼却処分と静岡県庁の簿外郵券焼却処分

 岐阜県庁の裏金4億6000万、しかもそのうち400万円が焼却処分されていた、岐阜県民の怒りは相当なものと推測されます。静岡県民にとって岐阜県庁の裏金は他人事ではありません。静岡県でも簿外郵券=税金300万円が焼却されていました。

 「裏金は文化」と称したのは、静岡県前橋本総務部長でしたが、岐阜県では、前梶原知事がその事実を認める記者会見をしたとのことです。ここは静岡県石川知事とは違った潔さです。石川知事は一切を職員の責任としているからです。

 ただ、梶原前知事は、オンブズマンからの訴訟に対する弁護士費用として裏金を借りていたと言いますから、驚くべきことです。更にいうなら、4億6000万のうち2億5000万を職員組合が管理していたとこと事態が信じられない事態です。

 県庁の中の知事と職員の「なれあい」どころか「共犯者」であったという事実は、「税金」徴収機関として信頼をゼロにするものです。北海道や秋田県、数えれば全国各地で同じようなことが行われていた事になります。

 ともかく、岐阜県民に期待したいことは、静岡県のように真相の解明を中途半端に終わらせる事なく、徹底した事実関係を明らかにし、責任の所在を明らかにし、本来の県と県民の関係のあり方を問いなおす、県民運動です。

 議会がこの問題にどう対応するか、これも注目です。



2006年08月08日(火) 厚生労働省ー非正規雇用の拡大を指摘

 本日の朝日、読売、中日、静岡の夕刊で厚生労働省がまとめた「06年版労働経済の分析」に関する報道、特に朝日と中日は1面トップの扱いです。

 朝日ー広がる格差 20代年収150万未満2割 正社員月給30万円以上の差
 中日ー非正規雇用 正社員との収入差拡大 06年度労働経済白書 結婚難で少子化
 読売―20代の収入格差拡大 「非婚 少子化を促進」 労働経済白書
 静岡ー正社員との格差拡大 非正規雇用 少子化加速の原因 労働経済白書

 20歳〜34歳で配偶者がいる割合を雇用形態の違いで比較すると、正規雇用と比べて「非正規雇用」がほぼ半分、「パート・アルバイト」は約3分の1とのことで、収入が少ないことが結婚の障害となっているとのことです。(読売)

 そして白書では、人件費抑制を目的とした若年層の非正規雇用増加に対して「長期的視点を欠く」と厳しく批判しているとのことです。と夕刊を読んでいると、さっそく、知人のTさんから、以下のメールが届きました。

 「おりにふれて申し上げましたが、行政機関における非正規職員の問題。また、これを担う人達のかなりの部分が女性であることを考えると、一方で男女共同参画、少子化対策、などといっていることが、そらぞらしいことに写ります。

 国も県も、職員採用については、当分の間、男女同数とするなど、思い切った政策を実施しないと変わらないでしょう。また行政およびその付属機関の非正規職員の雇用については、期間の限られた臨時的な業務にしか認めないとするなど、

 まず魁より始めよ、でなくては、民間も本気には成りません。当然、財源の問題がありますが、給与の2割をカットして、それを正規雇用のための財源とするとすれば、県民の支持はえられるでしょう」。

 確かにいいアイディアですが、みなさんはどのようにお考えでしょうか。



2006年08月07日(月) 田中知事敗れる

 投票率65,98%、前回の73,78%を7,8%を下回った長野県知事選挙、田中知事534,229票、村井氏612,779票、田中知事は敗れました。私含め田中知事の当選を確信していた人間にすると、何故、ということになります。

 信濃毎日はじめマスコミは敗因を田中知事の「理念はいいが手法に問題」という分析です。7月2日の長野県視察の際に、たまたま長野市での個人演説会があると聞き参加しましたが、支持者の方々も同趣旨の発言をしました。

 極論的には「村井さんは眼中になく、田中氏支持だけれどもあの手法についていけない」とやむなく村井さん支持でもないのに投票したとする説がまことしやかに流されています。

 しかし、果たしてそうなんでしょうか。田中知事の手法云々とする主張の説得力は認めます。では誰があの40年以上も続いた官僚知事独裁を当たり前の民主主義レベルに到達するべく県政改革を進めてきたのでしょうか。

 逆にいえば、長野県民が民主主義そのものをどこまで信じてこられたのだろうかと。キャラクター強烈の田中知事一人の力にある意味、よりかかかってきた県民レベルの実力が今回表現されたものと理解できないでしょうか。

 その意味で、田中知事の個性の裏表にばかり目が行きがちですが、問題は、では田中知事に頼らずに県民自身が県政改革をどのようにすすめるか、という大命題が目の前に現れます。

 田中知事にだけ頼ることなく、自らの力で歩んでこられた人々が今回の結果を語り合い、今後の方向性を見つけ出していただきたいものです。その意味、田中知事とは別の県民自身の選挙母体が必要だったのではないでしょうか。

 



2006年08月06日(日) 秋葉忠利広島市長の平和宣言

広島市では、毎年8月6日、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を願って平和記念式典を行い、広島市長が毎年「平和宣言」を世界に向けて発表しています。秋葉忠利広島市長とは、国会議員の時代からの交流で、いつも「宣言」に注目しています。

 今年の「宣言」は、自治体の立場からの世界への平和戦略とでもういうべきものを明確に示されています。私達の住む北東アジアの非核地帯化に向けて広島市の役割に大いなる期待をするものです。

 実は今日は、特別養護老人ホーム・カリタス21の夏祭りで恒例の「座 鼓竜」和太鼓グループで太鼓叩きに行って来ました。2曲だったのですが、1曲が新曲で散々でした。覚えた楽譜の繰り返しの所を誤って理解していました。

 入所されている皆さんから手拍子、喜びに満ちた表情を見せていただきました。ありがたかったです。戦後を生き抜いてこられた方々そのもです。61年目の8月15日を目前にどんなことを考えておられるのか是非お話をしたかったです。

※※秋葉市長の宣言抜粋

 「10年前、世界市民の創造力と活動が勝ち取った国際司法裁判所による勧告的意見は、彼らの蒙(もう)を啓(ひら)き真実に目を向けさせるために、極めて有効な手段となるはずでした。

 国際司法裁判所は、「核兵器の使用・威嚇は一般的に国際法に反する」との判断を下した上で、「全(すべ)ての国家には、全(すべ)ての局面において核軍縮につながる交渉を、誠実に行い完了させる義務がある」と述べているからです。

 ・・・加盟都市が1403に増えた平和市長会議と共に、核軍縮に向けた「誠実な交渉義務」を果すよう求めるキャンペーン(Good Faith Challenge)を「2020ビジョン(核兵器廃絶のための緊急行動)」の第二期の出発点として位置付け展開します。さらに核保有国に対して都市を核攻撃の目標にしないよう求める「都市を攻撃目標にするな(Cities Are Not Targets)プロジェクト」に、取り組みます。

 ・・・この取組の先頭を切っているのは、米国の1139都市が加盟する全米市長会議です。本年6月の総会で同会議は、自国を含む核保有国に対して核攻撃の標的から都市を外すことを求める決議を採択しました」



2006年08月05日(土) 「日刊ゲンダイ」編集長・二木啓孝さんの講演

 「松風会」立ち上げの会での「日刊ゲンダイ」編集長・二木啓孝さんの記念講演はとても刺激的な話で、永田町にうずまく権謀術数の世界でジャーナリズムの原点を貫き通すそのスザマジさを垣間見た思いでした。

 総裁選での安倍晋三官房長官の当確情勢の中で、安倍さんとはいかなる人物であるのかについての評価、そしてその場合の07年の参議院選挙と統一地方選挙の民主党戦略、過去2回の参議院選挙での過半数割れと政権交代・枠組の分析。

 小泉政権の後継としての安倍政権、そもそも小泉政権とは何であったのかに関する分析、安倍政権は何を継承するのか、そして国民の目線に立っての政治のあり方をどのように展望するのか、ソフトな語り口で観客を魅了していきます。

 安倍官房長官分析については、経験不足、経済政策などレベルの低さ、神経症的下痢症など体力不足、人事掌握能力不安、核武装論などタカ派外交の未熟さなど、歯に衣きせのその批判の鋭さは、聞いているものを圧倒しました。

 小泉政権分析についても、官僚の定期的報告時での集中力のなさを「20分首相」、ブッシュ大統領の問題整理能力の欠如を「A4大統領」(あまり沢山の問題的を避ける、文書は短くという意味)と酷評し、日米関係の危うさを指摘しました。

 そして、小泉構造改革路線を、政商オリックス・宮内氏の実態、タクシー規制緩和、自由診療、刑務所の民間管理、派遣労働制、格差社会、自殺者の増大など紹介しながら、全体を新自由主義・競争社会の導入と断罪しました。

 講演後の参加者からの質問や私とのトークセッション含め、その語り口はさすがにテレビで鍛えられているだけありました。もう一度お呼びして多くの方々に聞いていただく機会を作りたいと思いました。まずは、「日刊ゲンダイ」読まないと!

 


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K.matsuya

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