2004年02月11日(水) |
花組 『飛翔無限』 『天使の季節』 『アプローズ・タカラヅカ』 |
90周年・・・。幼い頃から祖母に連れられて“なんとなく”宝塚を見続けてから早、○年。 一時期転勤でぱったりと止め、再び見初めたのが1992年。 そして80周年の年・・・あの頃はまさか10年後にまだ見ているとは思っていなかった。 ・・・というか、さらにパワーアップして見ているとはカケラも思っていなかった。 あの頃は「ああ、10年もたったら、○○と△△あたりがトップかなぁ・・・。」なんて 思っていたのに、見事にその予想は全て外れ・・・ それでも流れを緩めることなく見ているのだから どっちにどう転がっても・・・こうなっていたんだ・・・と思う今日この頃。
さてさて、90周年のイベント付き公演・・・春日野さんがお出になる・・・。 トドロキおじさんもお出になる・・・。 各組トップさんたちもお出ましになる。
もちろん、私たち姉妹は数多くない観劇日を紫吹さん出演の日中心で決めた。
『飛翔無限』 おごそかな雰囲気に張り詰めた空気。 出語り・・・という人たちが歌を歌い、春日野さん、松本さん、トドロキおじさんが舞う。 まずはっぱちゃんの歌から始まる・・・この人の声は心地いい。 “ウマイ”とか・・・そんなのじゃなくて・・・聞いていて“心地いい”のである。 悠真倫の力強い声、歌花さんと千晶ちゃんの艶やかなデュエット。 びっくりびっくり・・・うまくなったあすかちゃんのソロ。 歌はどれも感動しきりだった。
静々とせり上がってくる春日野さん。セリと同時に重く緊張感のある空気もあがり、 一気に客席まで押し寄せる感じだった。 前作品の時は途中で体調を崩されていたので まさか本公演にまたお出になれるとは思っていなかった。
私は日舞は全くわからない・・・に等しい。 でもこの人の舞いの“時”を感じ、心地よい歌に背中を押され、気がつけば涙が出た。 機敏ではない、軽やかでもない・・・。でも地を這うような重さを持った雅さ、 宝塚の歴史と同じくらいのご高齢と聞き、また・・・なんともいえない緊張感が走った。
松本さんとトドロキおじさんの舞。美しくて艶やかで・・・。 飽きることなく、見続けていた。 そしてその2人に迎えられ、再びセリ上がる春日野さん。 春日野さんが本舞台に登場されるのと同時にソデから後見役の桜乃彩音ちゃんが出てきて 陰から静かに春日野さんを見つめる。 「まばたきしてないんじゃないか?」というくらいの張り詰めた気持ちが伝わるような強い眼差しで見つめる。
決して長くはなく、流れに変化があるわけでもないのにとても見ごたえのある・・・ 聞き応えのある公演だった。
『天使の季節』 聞けばこれは昔雪組であった『恋騒ぎ』酷似だとか!? 私はその作品を見ていないので、素直に楽しんだ。
まず、1番ビックリだったのが・・・いきなりだけど大伴さん。 ふーちゃん扮するマルゲリタのお母さまなのだからびっくり。 これが全く違和感なく・・・すんなりいってたし、優しさとかもにじみ出ていたからホントビックリ。
あとは・・・ゆみこ。 ゆみこ・・・ここまではじけちゃってるのはすごく久しぶりだった。 薄幸の王子とかアル中の役とか・・・城と共に果てる若殿とか・・・ はかなく哀しい役が多かったからか、その分弾けた・・・という感じだった。
作戦を進めていく中で化ける商人とか奥さんとか・・・どれもこれも無理もないだけでなく 見る側のツボ的中・・・というか、「ああ、なんでもできる人やった。」って思い知らされた。 特に爆笑奥さんよりも『アラジン』に出てくるアブ―のようなインドの商人がヨカッタ。
らんとむ。あっはっはー。らんとむちゃんもやりたい放題だねぇ・・・。 ゆみことらんとむは元々関西人だから・・・その“血”が自然と流れてるんやろか? アドリブもきっちり・・・余裕だった。
魅惑の王子・・・あさこちゃん。 この人もどこかおかしい。やんちゃ坊主のイメージが強かったあさこちゃんが 最近、メキメキと男っぷりをあげ・・・たかと・・・思いきや、「ここまでやるかぁ?」ってな具合に まあ、ヒイヒイ笑わせてもらった。
ふーちゃん。 「福娘」「笑う角には福来る」これを地でいってるようなふーちゃん。 最初は少し硬かったものの、日を追うにつれ、自然とギスターブたちの やりとりを楽しんでいるようだった。 人がなんと言おうと・・・私はふーちゃんがお気に入りだ。 あの笑顔がかわいい。「笑ってます〜。」と顔全体で表現している笑顔がヤミツキになる。
まさちゃん。 私はパリの売れない芸人ギスターブよりもマルゲリタのひいじいちゃん ペスカトーレ国王のほうが好きだ。 どちらかというと1番やんちゃかもしれない。 国王さまのまさちゃんのほうがユーモアたっぷりだったし、自然に楽しめた。 もちろんギスターブもカッコよかったけど、国王さまのほうが愛嬌たっぷりでおちゃめだった。
それから、どうでもいい役だけどハマった人たち・・・近衛士官たち。 きりりとりりしいみちゅう、笑顔がかわいいみわっち、どこかクールなまっつ、 動きがキレイな園加ちゃん、わんぱくっぽいみつる、中性的なイメージのりせりせ。 「今、売り出し中の若手スターたち勢ぞろい」って看板が見えそうな集団。 特にお気に入りは一本釣りのみわっち。 あの中でも一番の“へたれ”だったらしく、アッサーラ王子を探して捕まえるという ドタバタの中でみちゅうと「行く?やめる?やめる?どうする?行く?えー?行くの〜?」と やる気のなさを垣間見せ、途中庭のベンチに座って「暑〜。もうやだやだ・・・。」とやってる。 「あっはっは〜。へたれやなぁ。」と思いながらも毎回見てしまった。
このストーリーの展開はどうでもいい展開で、国王さまったら、 あれだけ「アッサーラアッサーラ」と言っておきながら、 あっさりと「ギスターブと結婚しなさい。」と言っちゃって、 「世の中アッサーラとギスターブしかおらんのか? さっきまでウマの骨、ウマの骨・・・ってゆーてたのに 簡単にウマの骨に決めていいのか?カリブ国が“息子を侮辱したなっ!!!”って 国を挙げて攻撃してくるぞ。」そんな心配をさせてしまうような結末・・・。
ここまで笑わせておいて最後にまさちゃんに「あれ?」と言わせるのは どうも安っぽすぎるような気がしたのは私だけだろうか??
何かもう少し気の利いた終わらせ方ってないのか? まあ、単純に笑わせてもらったからいいのだけれど。
『アプローズ・タカラヅカ』 3人の演出家のコラボレーション。 いっぱいいっぱい詰め込みすぎて・・・あんまりわからなかった。 「袋いっぱい好きなもの詰め込んでいいよ。」と言われて お気に入りをいっぱい詰め込んだけど、何がなんだかわからなくなった・・・という感じ。
初見、幕開きのプロローグでオペラを覗きながらみわっちを見ていた・・・。 みわっち光線にヤラれたその瞬間、隣の妹が「うわっ!!!」と声をあげた。 「どないしたん?」と聞くと「愛音羽麗にヤラれた。」と言った。 とうとう妹もヤラれたか・・・。
特に印象的だったところだけあげると・・・1番悪かったのがロケットの衣装。 ここ最近で1番“お気の毒”だったような気がする。
楽しめたのは紫吹さん特出の時・・・まさちゃんと2人で客席に降りてきて、 A席の最前列の通路まできた時、紫吹さんが下手のほうでヒラリと手を仰いだ・・・。 ・・・とたん、客席が悲鳴の嵐・・・「っきゃ〜〜〜〜っ!!!」「りかさーんっ!りかさーんっ!!!」 そしてセンターでも同じくヒラリ「きゃ――――っ!!!」 それから上手でも・・・ヒラリ「ひゃ―――――っ!!!」 そこはまるで『薔薇の封印』のサンジェルマン宮殿か・・・と見まごう程の黄色い声。 ホントにすごかった・・・まあ、A席サブセンターブロックにいた私たち姉妹も例にもれず 「うっひゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!さっすが紫吹さんやな。」と叫んだ。 その後、ぼそりと「ダンスで鍛えてますからっ。」とフランシスのセリフをつぶやいてみたら 隣の人が笑い転げていた・・・知らん人やのに。
まさちゃんの歌は本当に心地よく、耳と心に響き、 「もっと聞いていたい。もっと聞いていたい。」と何度も何度もそう思った。 他の特出の人の時はわからないけど、まさちゃんが紫吹さんを見つめる時の なんともいえない眼差し。 「ああ、昔花組で一緒やったもんなー。」としみじみ時の流れを感じたりもした。
おっと、それからゆみこがすごすぎる。 なんだ?あの貫禄!?なんだあの極楽鳥の迫力、 なんだあの『アメージング』のアカペラのすばらしさ。 まるで一気に何かを爆発させたような・・・そんな感じさえもした。 すごいよ、すごすぎるよ・・・ゆみこっ!!! ブラボーゆみこ。
そらから・・・さお太。 あさこちゃん、ゆみこ、らんとむ、みわっち・・・このメンバーと一緒に5人口だよ。 まるで若手のように・・・でも怪しい光を放ちながら艶やかに踊るさお太。 群舞でも独特のオーラを放ちながら、鮮やかに踊る。
今回、しみじみと思ったこと。 なんとなく・・・なんだけど、大伴れいかとはっぱちゃんが辞めたら 私のある意味での“花組のヒトツの時代”が終わるような気がする・・・。 うん、今回そう思った。
2004年01月20日(火) |
花組新公 『天使の季節』 |
本公演もまだ1度しか見てなかったから、どうだろう・・・と思いながら見に行った。
初主役のまっつ・・・どうも真面目に見えて・・・学級委員長タイプに見えて 「コメディ・・・大丈夫?」って心配でたまらなかった。
さてさてまたまた思いついた順番に・・・。
望月理世・・・アベルタン(彩吹真央) りせちゃんは・・・パリの芸人というよりも売り出し中のモデルのようだった。 みなこちゃんに見えて仕方がない・・・。 少しセリフが軽かったけど、笑った時の顔がちょうど“夢多き若者”という感じで とても自然だった。 歌やセリフが少し不安定だけどもその不安定さが“若さ”につながっていた。
望海風斗・・・ジョルジュ(蘭寿とむ) 誰?この子・・・。そう思った。とてもキレイな顔をしていて“これぞ宝塚”という感じだった。 研一とは思えないほどのセリフの確かさ、踊り、歌う・・・。 「誰だ?この子は?」またそう思った。 ただ、気の毒なことにらんとむちゃんのお衣装は・・・大きかった。 ズボンのすそが・・・気の毒だった。
嶺輝あやと・・・マカローニ(夏美よう) とてもフレンドリーな侍従長。 アッサーラ王子に夢中になっていて国王に呼ばれた時「なんだよっ!!!」と 答えたのがおかしかった。 貴怜良・・・アルデンテ(高翔みず希)紫嶺七海・・・ノビテンデ(眉月凰) やりづらかっただろうなぁ・・・そう思った。
舞城のどか・・・カルボナラ(梨花ますみ) 七星きら・・・ミネストロ(翔つかさ) 華桐わかな・・・モッツァレラ(幸美杏奈) おかしすぎる3人組だった。クドくなく、スベりもせず、数々の逆をやってのけた。 女官長と女官たち・・・というよりも仲良し3人組・・・という感じで、 かなり爆笑だった・・・。
遠野あすか・・・ラザーニア(大伴れいか) 「これでおかーさまか?」と思った。おかしすぎた。 どんな感じか・・・といえば、星組のボケ姉御しのぶ紫を演じているようだった。 おっとりとしていて、気が弱く、涙もろい・・・。 おかーさまというよりもお姉さま・・・だった。
華形ひかる・・・アッサーラ(瀬奈じゅん) 太陽の国カリブの王子・・・としてはインパクトが弱かった。 けど、天真爛漫・・・人を疑うことなんて今まで一度もなかった王子・・・という感じで どんどん追い詰められていくのがおかしくておかしくて・・・。 歌はちょっと・・・だったけど、「なぜ、こんなことに自分が巻き込まれたのか!?」 ってそれに必死になっているのがかわいらしかった。
今回・・・1番のMYHIT!!! 桐生園加・・・ペペロンチ(矢吹翔) ちはるさんがあのどすの利いた声でひいひい笑わせてくれるペペロンチだったのに対して 園加ちゃんのペペロンチは“さしすせそ”がちょっとヨワイボケた医者だった。 「しょれは困りましたねぇ。しゅぐに入院しゃせましょう。」と言った感じ。 大爆笑だった。 それからというものの園加ちゃんが出てくるだけで客席は大爆笑だった。 笑いを誘うくせに・・・キレイだった。 笑える捨て身のダンサー誕生だとこれからが楽しみだと思った。
桜一花・・・ポモドーロ(鈴懸三由岐) 「いちかが壊れた・・・。」そんな看護婦だった。 もう1人の看護婦と2人でほとんど捨て身だった。 常に大きなトランク型の赤十字のマークが入ったかばんを持ち・・・振り回していた。
近衛士官 オトコマエな士官だらけだった。本公演のようにすっきり美形ではないけど どこかオトコマエ風をふかせている士官たちだった。 アッサーラ王子を追いかけるドタバタの最後、 下手花道に駆け込む看護婦や大使や士官たち。 その時、ソデに入る間際に祐澄しゅんちゃんが一花を“がっ”と抱き上げた。 オトコマエすぎて拍手喝采だった。
マルガリタ・・・華城季帆(ふづき美世) ヒロイン・・・という愛くるしさはないけど、ウマイ。 最初に登場してギスターブに飛びつくシーンでは 勢いあまってギスターブが・・・よろけた・・・。まっつが気の毒だった。 歌がウマイ・・・もう少し声を抑えてもいいんじゃないか・・・と思った。 セリフの声が少し硬いけど、とてもキレイな声をしていた。 『恋天狗』の時も思ったけど、彼女はコメディ向きじゃない。 でも堂々たるヒロインぶりだった。
さてさてギスターブ&ペスカトーレの未涼亜希。 どうも『ラブインシュランス』のノルさんに見える。 スラリとクールに登場。 2枚目をポーズでキメてもクール。 アベルタンたちと♪3人でパーフェクト〜と歌っていてもクール。 でもどこか母性本能をくすぐらせるクールさなので不思議。
私のツボにハマったのはギスターブなまっつではなく、 ペスカトーレ国王のまっつ。 話し方や、首の傾げ方もなかなかで、セリフには余裕さえ感じられる。 ペスカトーレからギスターブに早替りに行く時も 「さあ、がんばるぞ。」とつぶやいたり、舞台真ん中から宮殿に入るのも 「やや、遠いな・・・。」とつぶやいたり。 それがまたなんとも絶妙だった。
ギスターブが自分に似ているなどというクダリは 「春野寿美礼に似ているそうじゃな。」と言ったあと 「わしはあんなに顔が・・・・・・」と途中で言いよどんだりするのもおかしくてよかった。
歌もいい声をしているし、新公初主役とは思えないくらいのウマさ。 途中マイクが外れて、耳からぶらさがる・・・というハプニングや 飛びつくマルガリタによろけたり・・・それでも少しも動揺せず、 何事もなかったかのように・・・という舞台度胸には頼もしい限り。
最後のあいさつ・・・長の挨拶はのどか嬢で今にも泣きそうに堪えていた。 まっつはしっかり・・・言葉をかみ締めるように挨拶していた。
今回はまっつの見事さと・・・園加ちゃんに大満足の新公だった。
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