◆◇ お気楽観劇日記◇◆
公演やビデオなどを・・・見たまま、聞いたままを
つらつらと書き綴ったまたまた気楽なコーナーです。

2006年01月22日(日)  『エリザベートガラコンサート』

『エリザガラコン』そう聞いただけで見たくなるのに
かよちゃんが出る・・・これは見たくてたまらなくなった。

あとから知った出演者は実に魅力的だった。
ナルセも出る、ぶんちゃんも出る・・・あやか嬢やみどりサンも出る。

もう見たいに決まってるやん。

でももちろん、チケットなんて取れるはずなかった。
『グランドホテル』と同じ時期だから一度に見たい。
そう思っていたから余計に厳しかった。

ようやく手に入れたチケットはたった1枚・・・しかも3万円。
妹にあきらめてもらって・・・私ヒトリで見ることにした。

トート・・・麻路さき
フランツ・・・稔幸
シシィ・・・白城あやか
ルドルフ・・・絵麻緒ゆう
子ルドルフ・・・朝澄けい
エルマー・・・成瀬こうき

な〜んとスペシャルなんでしょう。

そこへルキーニは樹里咲穂・・・とまたまた豪華さプラス。

どんなふうな舞台になるんだろうか・・・と期待と期待と期待だけだった。

舞台はオケがどーんといて、その真ん中と両サイドにスロープ状の階段。
たったそれだけのセットだった。

「被告ルイジルキーニ・・・イタリア人テロリスト。
 エリザベート皇后殺害の罪で逮捕。刑務所独房内で自殺を図る。」
とお決まりのセリフで始まる。
ルキーニ・・・いつもの衣装で後ろ向きに登場。

振り向いたルキーニは太いマイクを握り締めていた(笑)

ストーリーそのままに展開されていく舞台。
でも登場する人たちは全てトート閣下までも太いマイクを握り締めていた。
最初は違和感を感じた・・・でもあっという間にそんなことは気にならなくなった。

麻路トート登場。現役時代と変わらないオーラを感じる。
歌は・・・・・・・・・だけど、そんなこと気にならないくらいの圧巻。
「これだこれだ。このオーラだ。」
悲しいけど、今、劇場の隅々までオーラを届かせることができる生徒はいない。
・・・私はそう思っている。

あやか嬢も現役の時と変わりなく、それよりも声に艶があり、
すばらしいシシィだった。

最初の「鳥のように〜」はちょっと「ありゃりゃ?」と無理を感じたが
そんな無理なんてどこかへぶっ飛んでしまった。
どちらかというと在団時のシシィよりも味がある。

まあ、とりあえず、思いついた人から・・・

ヘレネ(愛田芽久)
なんとかわいい妹のような姉のヘレネ。
「皇太子殿下、こちらの娘もかわいいですぞ。」とオススメしたくなるくらいかわいい。

母親のルドヴィカ(久路あかり)
彼女もうまい。シシィよりも若いおかーちゃんっていうのもなんだけど
うまさでカバー。
役的にちょっと物足りないような気がしたけど、あとでマダムヴォルフで登場。
こちらもかなり圧巻だった。
「そういえば、新公で2幕のシシィをやったっけなぁ。」と思い出してしまった。

マックス(大峯麻友)
あったかいなぁ。この人の芝居はあったかい。
歌だけなのにあったかさを本当に感じてしまった。
そしてこの人の『ベルばら』のルイを思い出した。
あの役もあったかかった・・・。

グリュンネ伯爵(ちあきしん)もっと歌が聞きたかった。
シュヴァルチェンベルク公爵(葛城七穂)懐かしいなぁ。
ヒューブナー男爵(雅景)美しさが変わらない。
ラウシャー大司教(真丘奈央)記憶に新しい。
ケンペン男爵(すがた香)彼女も歌がかなりうまかったなぁ。
再び歌が聴けてうれしかった。

この5人はことごとく・・・後ほど市民などで登場するけどそれがコワイコワイコワイ。
群集でいるだけなのにちあきさんときたら存在感ありすぎなんだもの。

ゾフィ(美々杏里)
在団中よりもすこしクドさのなくなったゾフィでとても見やすかった。
美々サンも市民で登場したりした。彼女も存在感ありまくりだった。

ヴィンディッシュ嬢(真樹めぐみ)
昔「歌のうまいカワイイ人だなぁ。」って思った覚えがある。
彼女のヴィンディッシュ嬢は本公演とは少し違った雰囲気で
それでもとても悲しみを帯びた感じがした。うまかった。ホントにうまかった。
歴代の中で一番好きかもしれない。

リヒテンシュタイン(秋園美緒)
そんちゃんの声は本当にきれいだ・・・とつくづく思った。

エルマー(成瀬こうき)
現役と変わらぬスラリとしたスタイル。
歌があまりないのが寂しかったけどナルセの男役スタイルが見れたことが
とてもとてもうれしかった。
何よりもルドルフのぶんちゃんと絡んでいるのがうれしい。
さよなら公演を思い出してしまったくらい。
もっと出番があれば・・・と思ったけど、歌中心の構成だから仕方がない。

子ルドルフ(朝澄けい)
今回はかよちゃんを見に行ったと言って過言じゃない。
かよちゃんの子ルドを見ることができるなんて
夢にも思っていなかったから本当にうれしかった・・・。
現役当時の・・・歌うと少し力んでしまう癖もあまり出ず、
どちらかというと自然に歌えていたと思う。
『ラビリンス』での麻路トートとの絡みなんて本当に夢のよう。
このあたりからボルテージがあがってきたような気がする。
出番はかなり少ないけど、それでも十分満足できた。

ルドルフ(絵麻緒ゆう)
ぶんちゃんが出てきた途端、本当に時間が戻ったかと思った。
それくらい全く変わりないルドルフで・・・
あれから長い年月が経っているなんて思えないくらいだった。

歌中心でストーリーの流れに無理があるというのに
ぶんちゃんはヤバイくらいにルドルフで・・・当時
「この人は役を演じるのではなく、役そのものになってしまうんだ。」
と思いながら見ていたのをふと思い出してしまった。

そこへフランツヨーゼフ(稔幸)登場。
もうこのあたりから涙が止まらなかった。
退団してから少しふくよかになった稔サンを見ていただけに
今回どうだろう・・・って思ったりもしていたのにそんなことはカケラもなく、
哀愁漂う哀しみの皇帝フランツがそこに存在していた。

あやか嬢のシシィと歌う『夜のボート』は鳥肌が立った。
歩み寄りながら手を差し伸べ、届きそうなところでふとうれしそうな顔をするフランツ。
でもすれ違ってしまって一瞬にして寂しい顔になってしまう。
その横顔を見たら切なくて・・・また泣いてしまった。
「哀しいよ。フランツ。」そう思ってしまった。

麻路サンのトートは現役の時もとても好きだったけど
今回、それこそ、歌だけでつなぎ、黒天使もいなくてどうなることかと思ったのに
そんな心配をよそに完璧なくらいのワールドを創り出していた。
指先にいたるまで美しく・・・セットがないため・・・
例えば、1幕のラスト銀橋に座り、自分を見つけてしまったシシィに困惑する様子や
棺の上に乗って「命を奪って」というシシィに見せる表情とか・・・
・・・そういうのを見ることはできなかったけど・・・それでも魅了するに値するトートだった。
黒天使までもが見えるようだった。

一度は見たかった樹里ちゃんのルキーニも小気味いいほどで
テロリストというふうではなかったけど、ウマサ抜群だ・・・と・・・
「ブラボーっ!!!」と叫びたくなるほどだった。
客席を自分のものにするのがうまい・・・そう思えるシーンもあった。

他の出演者もみんな歌のうまい人ばかりだから、アンサンブルも超豪華だし、
カゲコーラスなんてビンビン来るし・・・民衆なんて圧巻だし・・・
「なんて贅沢なんだろう。」って何度も思った。

出演者のメイクなども少し薄めで・・・髪が長かったり、
その・・・太いマイクを握っていたり・・・ソデから出てきて急に歌いだしたり・・・と
もちろん本公演とは少し違ったものだったけれども・・・
本公演当時と比べてみなさん、肩の力がいいくらいに抜けていて
妙な力みもなく、全てが心地よく調和されていたように思えた。

今回、私にとって本当にベストメンバーだった。
他の日の出演者がそうでないワケではない。
私は、麻路さん率いる星組の時代が本当にとてもとても大好きだったから
このメンバーでこのすばらしい作品を見ることができるなんて
本当に夢にも思っていなかったことだから・・・始まるまでの緊張感や
見ている間の喜び・・・見終わったあとの満足感・・・なんともいえないものだった。
「恍惚」というコトバがぴったりくる作品だと思った。

今では見慣れてしまったからかもしれないけれど見ながらワクワクしたり、ドキドキしたり、
計り知れない感動を覚えたりする舞台が最近ではあまりないように思える。
スター性ばかりを重視して、作品のストーリー性さえも軽んじられることが多いことも
理由のひとつだ・・・今回はそのことも改めて思った公演でもあった。

初めて雪組で見た時に強い衝撃を受け、驚愕し、そして困惑さえしたこと、
星組で見た暗い舞台の中に不思議な色彩を見たような驚き、
それから全組通すまで回を重ねるごとに見る側の耳も目も肥えてきて、
違った視点で隅々まで見るようになって
・・・歌詞の一語一句までも・・・歌えそうな
黒天使のダンスまで踊れそうな(いや、踊られへんけど)・・・そんな気にさえなったこと・・・
そんなことを何度も思い出しながら・・・浸ることができた。

一瞬にして“当時”へタイムスリップしたかのような錯覚さえ覚えた今回のガラコン・・・
気がついたら、涙し、気がついたらのめりこみ、
そして気がついたら、心から拍手を送っていた。
ルキーニの歌に鳥肌が立ち、トートの指先や表情に酔いしれ、
フランツやルドルフ・・・そしてシシィのシーンヒトツヒトツに心が震えた。
本当に震えが止まらない公演だった。

もう2度とこんなスペシャルな公演はないんだろうなぁ・・・と
少し寂しくもなったけれども・・・このチャンスにめぐり合えたことに
とても幸せを感じることができた。

PS.少し哀しかったこと。
   今回必死の思いでチケットを入手した。
   前売り当日から様々なサイトで高額で売り出されていたチケット。
   それでも見たい気持ちに変わりはなく、
   「私のような人がいるから高額で売り出す人もおるんや。」と思いながら
   チケットを探し続けた。
   ようやく見つけ、入手したチケットは3万円。
   2階の一番後ろの端っこの席。通常は1万円もしない。
   「この後ろは立ち見。立ち見で2万5千円出すなら・・・」と
   もう狂ってしまった頭で妙なイイワケをして決心した。
   届いたチケットは友の会の先行予約のものだった。
   友の会のチケットであってほしくなかった。
   それでも「いらないよ/怒」と言えないことの哀しさ。
   少し裏切られた気持ちがしたことは否めない(涙)



2006年01月21日(土)  『グランドホテル』

1989年・・・月組・・・涼風真世さよなら公演で初めて見た。
プラチナチケットだったこともあって、2回見るのが限界だった。

そのあと、宝塚版CDと海外版CDを買って
飽きるほど聴いた・・・何度聴いても飽きなかった。
「もう一度みたい。もう一度あの回転扉が回るのを見たい。」
そうずっと思っていた。

そこへこの舞台の話を聞いた。しかも紫吹サンが出るという。
「え?紫吹サンがフラムシェン?あのアサノカヨがやった役?」
そう思ったけど、見たくてたまらなくなった。

早々に先行予約でチケットをGET。
今か今か・・・と待ち遠しくてたまらなかった。

雪の影響でヤキモキしながらようやく着いた劇場。
重厚な雰囲気の舞台装置。
大きな回転扉とその上から両側に降りた階段。
そしてその全体の上にバルコニーのようになっていて
そこにオケが入っていた。
オケの人たちも盛装をしていた・・・。

開演ベルもなく・・・始まる。
耳に覚えのあるメロディが流れ始めた。
どきどきと鼓動が高まり、涙が出てきた。
「見たかってん。ずっと見たかってん。」そう何度も思った。

歌詞は違うものの、ニュアンス的には同じで全て聴きなれた曲だ。
もううれしくてたまらない。

何度目かのさよなら公演中だというグルーシンスカヤに前田美波里サン。
ガイゲルン男爵に岡幸二郎、グルーシンスカヤの無二の親友に諏訪マリー
出産間近の妻を持つホテルマンエリックにパク・トンハ、ドクターに藤木孝。
それからプライジング社長に田中健、オットークリンゲラインに小堺一機・・・
そしてフリーダフラムシェンに紫吹サン。

宝塚版はオットーが主人公だったけど、今回は違うため
視点が少しずつ・・・違ってきてるけど・・・流れなどはそのまま。

岡サンの声はすばらしく、鳥肌がたつほどだった。
美波里サンはチュチュ姿はびっくりしたけど、さすがに存在感は圧巻。
途中、男爵と恋に落ちるシーンでのびっくりするほどの赤いバラのついた白いベッドには度肝をぬいたけど・・・(笑)

紫吹サンのフラムシェンは色気たっぷりで、麻乃佳世が演じたフラムシェンのような純粋無垢・・・無邪気な感じはなかった。
麻乃佳世のフラムシェンは世間知らずゆえの大胆さのようだったが
紫吹サンのは上り詰めていくための計算された大胆さだった。
でも心が純粋だったため、上り詰めるための堕落を見ることはなかった・・・というような感じだった。

美しすぎるほどの美脚を惜しげもなくさらけ出し、色気を振りまく。
なかなか似合っていた・・・ついこの間までバリバリくさくさの男役だったとは思えないくらい。

小堺サンは、期待以上でとても人間くさい、憎めないおじさんだった。
今回・・・見る前と見た後の印象のギャップが一番大きく、
一番心に残ったのは小堺サンだった。

他の人たちもそれはそれはすばらしい声の持ち主たちだったり、
小気味いいダンスを踊る人たちだった。

2時間弱の短い舞台だったけど、1曲1曲が心に響き、
ストーリーもだけど、舞台構成・演出が洗練されていて
見た後にもしみじみと心に染み渡る・・・
もっともっと見ていたい・・・そう思う公演だった。

『グランドホテル』・・・宝塚版・・・あの頃の映像が見たくなった。


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