どうして仕事をするのか、 頭も身体も重い通勤途上、考えた。
異動して、新しいことをたくさん覚えなくてはいけなかったり、 それまで自分には難しいと思っていたようなことを、 しなくてはいけなかったりといった状況は、 仕事をしていれば起こりうることだ。 仕事だから、しなきゃいけないことだ。
すると、その過程は苦しいとしても結果的に、 それまでまったく知らなかったことに詳しくなったり、 それまで自分にはできないと思っていたことを、 できていたりする。
知らなかったことを知るのは面白いし、 できなかったことができるようになるのは、うれしい。 仕事をする意味も、ここに求められるのではないか。
つまりその時に導き出した答えは、一般的な言葉で言うと、 「仕事を通じて、人間として成長するため」。 通勤途上の沈痛な身体と頭から出てきた回答が、 あまりにまっとうで、おののいてしまった。
こんな前向きで、健全な考え方は、 例えば病気であるとか、 自分の力ではどうにもならない大きな困難にぶつかったりしたときには、 役には立たないかもしれない。 加齢や病気によって、「できていたことができなくなる」の方が、 実際には多いのかもしれない。
それでも、まっとうで前向きな考え方を、 自分の中に一本、芯のように通しておくのは、 きっと、悪いことじゃないと思うのだ。
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