TOI,TOI,TOI!
一週間前の水曜日、この日にオーディションがあるということが分かったのは、その日からちょうど一ヶ月前。南西放送響(以下SWR)のフランクフルト公演の日、オペラ座の友人(怪人?)達と会った時。
その場でカレンダーを見てまずはガックリ。その日はSWRのアテネ公演。ギリシャのアテネですよもちろん。
でもオペラの彼らは皆、即、
「オーディションを理由にオケから休みをもらう権利が誰にでもある」ので、SWRにさっさと休みを申請しなさい、簡単なこと、と。 しかし、権利あるないに関係なくSWRに大迷惑がかかるのは一目瞭然だったので、複雑だった。この複雑な気持ちはこのあとかなり長期に渡ってエゴとそれによって自分にかかるプレッシャーと人に迷惑がかかる居心地の悪さの間でゆれ続ける・・・。
オペラだったら穴埋めをする手段はいくらでもある。私自身ほかの市のオペラの穴埋めをしたこともあります。 一方、旅の多いシンフォニーオケは事情がだいぶ違う。同じプログラム、またはその一部を、長期に渡って使うことがよくあり、そのプログラムの練習は集中的にまとめてやってあるので、穴埋め要員を買うのは危険すぎます。
今回の場合は穴埋め要員を買えない理由がもう一つ、それはアテネで同じプログラムで二晩の公演があったことです。 オーディションは水曜日10時から。そしてアテネ公演は水曜夜と木曜夜。 フランクフルト−アテネ間は飛行時間3〜4時間、オーディション後に飛んで夜の本番に間に合うかと思い、まずは飛行機を調べることから始めたけど、13時台というあまりにも微妙すぎる飛行機のあとは夜中にアテネに着く夜18時フランクフルト発。
両方やることが物理的に不可能だと分かり、SWRに電話。 オーディションがあること、どうしても受けたいオケであること、飛行機をすでに調べて本番に間に合わないこと、を伝えると、大きなため息をつかれ、「解決方法があるかどうか分からない。これからマネージャーと話し、(私の属する)パートとも話して・・・とにかく・・・・はいさよなら、がちゃん」
いわゆる降り番としてこの曲目の含まれるプログラムを全部降りるというのも、無理。固定給をもらっているのに、延べ3週間ぐらい休みになってしまう。おまけに我がパートは現在Tutti3人の欠員+入院中の病人がいて、この人がため息をつくしかなかったのも無理のない話で。
どうやら大ごとになった・・・もう後には引けないけど・・・と切られた電話の音を聞きながら呆然。
問題は自分の方にもあって、知ってるオケを受けるということは恥ずかしい演奏は絶対できない、というプレッシャー。前回はその同じオケでプレッシャーに負けて震え上がってしまってオケスタで大失敗している。
そして、満足に練習する時間と、体力があるかどうか。 11月は、ウィーン、ブダペスト、パリ、そして直前の週は連日合わせ&スイスのルツェルンで本番。盛りだくさん。
でも受けないで誰か受かっちゃったらそれはそれですごく悔しい思いをすることになるわけで。
次に出た行動は、練習時間作り。ウイーンブダペストとパリの間にはまとめて数日間の休みがあり、いわゆる単発シゴトをフライブルクで入れてたので即効断ることにした。これも自分で代わりを探したのにかなり恨まれた。何週間もあとのオーディションなんて一度引き受けたシゴトを断る理由にはならない、とかナントカ・・
エゴイストにならざるを得ない状況ではあったけど、エゴと共にプレッシャーが膨れ上がってきて、なんとも嫌な気分だった。
続きは明日書きます。 明日も早朝から仕事なので寝ます。
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