日々雑感
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2008年06月13日(金) 商店街にて

部屋の中にいるのがもったいないような快晴。夕方、少し遠出しようと、隣りの町の商店街へ行く。

どこかから帰ってきた人たちや、どこかへ帰る人たち、ちょっと買い物に出てきたといった風情のサンダル姿のおばちゃんたち、夕方の商店街は賑やかだ。洋菓子店でレモンケーキを買うと、「これ、おまけね」といって、ロールケーキを一切れ紙袋に入れてくれた。「メリケン粉じゃなくて、お米の粉使ってるやつだからね」。八百屋ではおばさんが外に出て、そら豆がお買い得だと声をかけてくる。総菜屋からは揚げ物をする音が聞こえ、お客さんがひっきりなしにやって来ては、コロッケやメンチカツ、唐揚げなどを買っていく。総菜屋の向かいには「囲碁・将棋倶楽部」と大きく墨で書かれた看板があり、入り口を開け放した建物の中では、半袖やランニングシャツ姿のおじさんたちが、向かいあって将棋をさしている。扇風機がゆっくりと回っているけれども、たぶん外からの夕風のほうが涼しいだろう。商店街の真ん中を横切る路面電車の線路際にタチアオイが咲いている。

ぶらぶらと歩いて買い物を終えたあと、商店街の中ではほとんど唯一の飲食店らしき焼き鳥屋に入った。テーブル席が二つとカウンター席だけの小さな店で、おじさんが一人で注文も焼き物もこなしている。カウンターには一人のお客ばかり。勤め帰りらしいおじさんはネクタイをゆるめ、やはり会社帰りだろうか、スーツの上着を脱いだ女性がビールの中ジョッキを傾けている。おじさんが黙って串を焼く音、開けた窓から時折響いてくる踏切の音、それに、お店の人や外を歩く人たちの声、たぶん自分の声もそんなふうにして混じり合って、夕方、商店街のざわめきは、七時をまわっても暮れないこの時期の空のように、いつまでも響き続けてなかなか消えてゆかない。

帰りがけ、商店街の端にある酒屋の店先に、ドイツビール大特価の貼り紙を見つける。賞味期限が迫った瓶ビールが、発泡酒よりも安い値段で売られている。思わず1ダース購入、大丈夫かとおばちゃんに心配されつつ、次に住むならばこんな商店街のある町がいいと思いながら、抱えて帰る。


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