2004年11月10日(水) |
霜降る月の霜。踏み拉かれる前の、あなたへ |
霜降る月の霜。踏み拉かれる前の、あなたへ
約束されたことは、なかった ただ一度も、なかった 噛み合わない歯車が磨耗を呼び 嬉々として それを食い潰した 約束されたことは、なかった
約束されたことは、なかった なだらかな丘陵の、麓に生えるたおやかな草 波のようにうねる、安寧という名のまぼろし それらはすべて、なかった それらはすべて、なかったのだ
約束されたことは、なかった あなたと交わしたすべての言葉は、なかった あなたの纏う あの、さやけきささやきにも似た あの、微細に揺れる産毛にも似た あの、艶めく1ミリの仕草にも似た わずかな、本当にわずかな気配すら、なかったのだ
あなた、と呼べるものは、なかった 約束されたことは、なかった 呼ぶものも、呼ばれるものも、何も、何も、約束されたことは、 なかった
|