即興詩置き場。

2005年05月25日(水) すくらっく、すくらっく。



くもり。非常階段へ続くベランダからは大き
な白いビルが見える。本当は白ではなく薄く
濁っているそのビルの外壁には大きなヒビが
いくつか、ひとつ、ふたつ、崩れ落ちるよう
な気配。ジェニファーの俊足。サルラウンド
の宴。日照りは起きない。あの、艶めく農作
物たち。植えられるもの、上回るもの。頭を
垂れて。動き回るのうさく

ブラインドはガラス窓に無数の横線を引く。
それはヒビではない。赤と白のタワー。無数
に分割されて、そしてそれは事実ではない。
それはあずかり知らぬ預言のように空を突き
刺そうするいくつかの、ヒビ、矮小な
                 嘔吐。
吐瀉物。内臓の中に何かいる気配がする。そ
れは私より長い。渦を巻いて、嘔吐。そして
嘔吐。シュルツワインダー。スクラックワイ
ウープ。しゅるつ・わいんだー。すくらっく、
すくらっく。

私が私であるという約束もなしに私でいるこ
とができることの奇蹟。それは奇跡ですか?
いいえそれは疑問です。それは疑問という形
をした奇蹟と呼ばれるものですか? いいえ
それは不安と呼ばれるものかもしれません。
すくらっく、すく
        らっく。すくらっく。とり
むゆっく。りと煙草を吸う。いくつかのヒビ、
崩れ落ちるビルをゆっくりと崩れるビルのヒ
ビを吸って管。パイプ。給水塔。横線で区切
られる梯子は金属でできている。

屋上の給水塔からゆっくりと管が流れる。ヒ
ビに染み込んで無数の亀裂を生む。生まれる
管。屋上の亀裂が無数の管を給水塔に染み込
ませて伝い流れるヒビを踏み潰す横線のブラ
インド。タワー。赤。白。分水領のタワーに
生える農作物は横柄に動き回りたむろするビ
ルの屋上のヒビに無数のタワーといくつかの、
嘔吐。渦。亀裂から噴き出すあれは、すくら
っく。赤。白。私とは言えないものがある。





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