夜、月を見ながら。
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何をするにしても、それをするタイミングというのは
結構重要で、特に他人に対して何らかの働きかけを行
う場合のタイミングの良し悪しは、僕を悩ませる。
たとえば、今日僕は地下鉄の席に座って本を読んでい
た。ある駅でおばあさんが乗ってきた。空いてる席は
なく、おばあさんは腰を曲げながら立っていなくてな
らなかった。僕の席のすぐ近くだ。さっと立って、ど
うぞ座ってくださいって席を譲れば良かったのだろう
けど、僕は次の駅でおばあさんは降りるんじゃないか
という考えにとらわれてタイミングを逸してしまった。
次の駅で降りる客は多い。だから、このおばあさんも
降りるに違いない。僕が席を譲ろうとしても、おばあ
さんはきっと断わるだろう。そして僕に対して悪いこ
とをしたという思いをおばあさんは抱くに違いない。
だから今席を譲るのはタイミングが悪い…。
そんな一方的な思い込みにとらわれていると、僕の隣
の客がさっと立って出口の前に移動した。言葉は何も
無かったが、おばあさんもこれまたさっと移動して空
いた僕の隣に座った。すべては僕の考えすぎ。
反省するにはいいタイミングだったから、おばあさん
の隣でしばらくうなだれてました。
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