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●大阪入り。
今日オープンの品川駅からやってきた。のぞみの本数がぐっと増えているし、ひかりと同じ料金に値下げされたし、かなり好感度大。ホームもきれいで、鉄道マニアがうろうろしているものの、初日の割には混んでおらず、気持ちよく出発。
●着いてみて。今日は道具が立ち上がるまでのんびりかまえていようと思っていたのに、映像チームが機械の故障でチェックに追われている。メイン機が故障だから、サブでいくとのこと。このサブが、メインとは比べようもない質の落ちるもの。仕方ないのでこれで、と伝えてきたスタッフに、わたしは激怒。……っていうか、激怒してみせた。
大変なのはわかるけれど、どうしてそうもすぐにあきらめるのか? 動けよ、動けよ、もっと。駄目じゃん、これじゃ、どう見ても。
結局、怒ったせいで事の重大さに気づいてくれ、やっと代替機探しに動き始めた。
わたしの今日の仕事は、怒った、ただそれだけ。なんだかな。
●東京では、恋人が、奇しくも同じ日の初日目指して動いている。
この間は、恋人が「なんだかね」と洩らし、今日はわたしが電話で「なんだかね」と洩らす。
仕事って言うのは、ただ給料をもらうためだけの人だっているし、色んな関わり方があるから、大変。
まあ、とにかく、明日のために体を休めよう。
2003年09月30日(火) |
病気開け、仕事再開。 |
●37度が平熱になったまま、仕事開始。
開始早々、結構大変。
オーデイションで130人を審査する。一人の持ち時間2分半しかない計算で、6時間ぶっ通し。……わたしは、性格上、一目見て駄目と分かる人も、捨てられない。せっかく足を運んでくれたのだから、と、それぞれに真面目に駄目だし。問題があれば指摘する。で、もう一回やってもらう。時にはちょっとよくなる。時には全く変わらない。……プロデューサーには丁寧すぎると笑われたけど。
130人分それをやると、かなりのエネルギー。疲れた。それでいて、ものすごい出会いもなかった。これが一番疲れさせる原因かも。
●恋人と会えるのもあと2回。
仕事から帰ってきてへとへとだったので、深夜デートのために仮眠。
久しぶりに、お酒を飲む。ビールと、二人でワイン1本。「無理しないで」と言われながらゆっくり飲む。ちょっと贅沢なものを注文したせいもあり、美味しかった。とっても。
彼は、家に到着するなり、気を失うように寝てしまった。明日も徹夜作業らしいので、静かに寝かせてあげる。
●今日も稽古。1日、バタバタしていた。
明日から3日間、大阪だ。初日を開けて、帰ってくる。
●夢路いとし師匠がなくなった。
幼い頃から、いとしこいしの漫才に、どれほど楽しませてもらったろう。関西人のわたしは、ニュースを見て深く落ち込む。兄の死を語るこいしさんをテレビで見ていると、切なくなってしばしぼうっとした。
2003年09月28日(日) |
穏やかな日曜日とカラスとの攻防。 |
●暖かい、残暑とまでいかないにしても、そう、インディアンサマーといった感じの、穏やかな日曜日だった。
明日からはまた休みなしの仕事開始。今日くらいは家でも仕事しないぞ、と、仕事に関係のないものを、読んだり書いたり。そして、蟄居を破って、のんびり散歩へ。夏の終わりの、紅葉準備中の木々達は、あんまり色気がなかったけれど、それはそれで、楽しみ方がある。
新しく手に入れたニコンのクールピクスを持って出たものの、まだちっとも使い切れず。前に使っていたオリンパスのキャメディアの方が、シンプルでよかったかも。でも、ずーっとニコンの一眼レフを愛してきた身としては、薄っぺらいカードみたいなカメラより、やっぱりニコンのずっしりした奴が、恋しいんだな。……まあ、ゆっくりてなずけていこう。
●本当は、明日の準備、あさっての準備、その翌日からの地方の準備、色々やることがあるのに、今日は、ほんとになんにもしなかった。でも、まあ、いいじゃないか、そんな1日があっても。
●河川公園を散歩して思ったこと。
カラス、怖い。
この間、恵比寿のガーデンプレイスのカフェで恋人と昼食をとっていた時のこと。穏やかな午後だったので、店外のテラスでサンドウィッチを食べていたら。
テーブルのまわりを一匹のカラスがぐるぐると飛び始める。もう、すぐにびびったものの、弱みを見せると絶対あなどられると信じたわたしは平然と食べ続ける。恋人も一緒。
と、突然、ばっさばっさと黒い羽音をたてながら、なんと、わたしたちの食事する円テーブルに乗っかった!
至近距離。わたしたちをじっと見てる。確かに見てる。嘴がくにっと曲がっている。凶器だ。至近距離に凶器。
わたしは睨み合いの中、「引いたら襲われるんだろうか?」なんて唇を極力動かさず恋人に訊ねる。
我々が、思わずふっと体を動かした瞬間。
やられた。
恋人の950円也のサンドウィッチは、丸ごと持ってかれてしまった。
あったまいいの。ちゃんと、ブツには口をつけず、下にしかれた紙をひきずっていった。その俊敏さたるや、完璧。
私たちは白旗をあげて、すごすごと店内へ。
ま、そういうことがあったので、カラスがものすごーく怖くなっているのに、河川公園の一角は、もう、カラスの森。歩いている前を、ゆうゆうと奴らは水平飛行をしていく。……至近距離!
しかも、丸々太った体でぐわんぐわん木々を弛ませながら、羽を休める奴らの数たるや。時おり、粘った白っぽい雨さえふってくるのだ!
ああ、都会のカラス。ほんとうに質が悪い。ほんとうに怖い。
まあ、人間社会の中にも、カラスみたいな輩がいっぱいいる。
世の中、敵も味方も、ごっちゃまぜ。その中で、時には睨みきかして、引かないで、闘っていかないと、やってけないってことだな。
※HP Etceteraに「9月の木漏れ陽」UP。
Book Reviewに「草にすわる」をUP。
2003年09月27日(土) |
自分の面倒を見るという面倒。 |
●休める間はしっかり休む、ということで、出歩かず、家で様々な身辺整理と、ちょっと仕事。次に入る前に、現在の仕事の整理をしておくと、先々気分が全然違う。これをしないと、当分の間、二つの仕事の資料で机の回りがぐちゃぐちゃになってしまうから。
まだ地方を残してはいるものの、資料関係はすべてファイリングしてしまいこんだ。この体ひとつと台本とスコアさえあれば、大丈夫。
●薬のおかげで一度平熱の35度8分までしっかり下がった体温が、昨夜からまた37度をキープしている。微熱が続くって、なんだか嫌な感じ。でもまあ、色々検査をして、異常ありませんよって言われたわけだし、まあ、今は休み、あさってからはまた働き……って、そうしてやっていくしかないわけで。
なんだか気が滅入るので、体温計、ゴミ箱に放り込んじゃおうかな、とかすぐに思ってしまうわたし。それでは、いけない。
外面がよく、かっこしいのわたしは、人の面倒をみるのは上手だが、自分の面倒が、どうも見れない。
●恋人の出発がいよいよせまってきた。
一人になるなあ、と思う。
この夏の結婚騒動で、わたしは両親と絶縁状態になっている。あんなに仲良かった親子なのに、そんなものか……。このところの不調には、そのショックも一役かっているのか?
一人になるなあ、いよいよ。
※HPのEtceteraに「エドウィン・マルハウスの宇宙から」をUP。
2003年09月26日(金) |
医者嫌いは相変わらずも、安心を買う。 |
●朝、7時15分。恋人にタクシーに押し込まれて病院へ。8時に病院に着くと、8時半の受付を待つ人々で、待合いロビーはすでにいっぱい。「こんなものなんだ……」と驚きながら、受付を待って恋人の肩で寝る。ふだんはクールであんまり目立った優しさを見せない彼なので、このときとばかりに甘えてみる。彼の言い分はこうだ。「一緒に連れてでも行かなきゃ、あなた、絶対行かないでしょ?」……よくご存じで。
今日出会う医者は、わたしの医者嫌いをひっくり返してくれるかしら? と期待していたのだが、それは叶わず。診察の応対やら処置はまあ、当たり前なラインだったものの、なんと、今日の人は診察中ずうっと貧乏ゆすりをしていたのだ。……それはないでしょう。それは、患者を不安にさせるよ、実際。
ま、わたしの医者嫌い話は置いておいて(あの慈恵医大青砥の許し難い事件もあって書きたい気持ちは山々だが、書きはじめると不愉快になりそうなので自粛)、各種検査の結果、私の体のどこにも大きな異常はなし。まあ、ちょっとした数値のプラマイはあったけれど、それは前々から知っていた自分の体質というか慢性的な疾病というか。……まあ、このところの調子の悪さには関係がない。
●支払いまですべて終えると、到着から5時間たっていた。もう大仕事。4時間黙ってつきあってから仕事に行った恋人に報告。彼のおかげで、安心を買った気持ち。
それにしても、なあんにも異常がないのに、このところの体の異変。よほど、よほど、疲れていたんだなあ、わたし。
「これくらいいじめなきゃ休まないんだろう?」という、わたしの聞いた自らの体の声は、あながち間違ってなかったのだ。
エンドレスな仕事が、また29日から始まるので、あと2、3日はのんびり過ごそう。
●長らくアップしていなかったHPのEteceteraのページを久しぶりに開いてみたら、知らない間に削除されていた。しばらく投稿がなかったら勝手に削除されること、すっかり忘れていた。まあ、無料なのだから仕方ない。で、写真を撮る余裕のない日常が続くし、しばらく休もうと思ったのだが、ふとしたことで、やっぱり続けることに。
今度は有料のページを借りたので、のんびりやれる。
※HP Etceteraに「期せずして、という出会い」をup。
このページの下にもリンクをはりました。
●昨夜、大量の水を飲み、ダウンベストまで着込んで厚着し、5度くらい着替えが必要なほどに汗をかいて過ごしたが、結局熱が下がることはなかった。夜半には39度を超え、眠っていて自分の譫言で起きることがあった。泊まりで看病にきていた恋人が、心配げにのぞきこんでいたり。
風邪だと思いたいが、のどが微かに痛む程度で、風邪の自覚症状がない。
●それでも、今日の10時には、なんとか7度5分まで下がっていた。
で、近所の内科へ。なんだか混んでいて、1時間半待ち。エアコンの風が気持ち悪さを誘い、待っている間にどんどん具合が悪くなっていく。おまけに子供連れの親たちは、子供を泣き放題にさせている。わたしは子供好きではあるが、子供だったら何をしてても許されると勘違いしている"親"は許せない。
ようやく自分の番がきて診察を受けられると思ったら、なんの診察も待っていなかった。問診して、のどを見られて、終わり。「もう7度5分まで下がってるんでしょ?」
風邪なんですか?と訊ねたら、「まあ、そうでしょうねえ」
この夏の、心臓痙攣や発疹のことを伝え不安を訴えると、「そうですか……。」
結局、不安の大きいわたしへの医者の最終的な答えは、
「じゃあ、解熱剤、強いの出しときますから」だった。
●わたしの医者嫌いをまたまた助長する出来事に加え、環境最悪の待合室。家に帰って熱を測ると、また8度5分まであがっている。
解熱剤を飲んで、劇場に電話。今日は千穐楽だが、行けないことを伝える。自分的には行けるし行きたいのだが、風邪だとすると、もう終わりだとはいえ、うつすのがいやだし、だいたい嫌がられる。この商売、風邪をひいてはいけないのだ。だから、わたしはこれまで、「風邪をひいたな」と思ったら、人の倍量薬を飲んででも、気力で封じ込めてきた。
そういう無理繰りの、つけがまわってきたか……?
千穐楽を見に行けないなんて、初めてのことだ。ちょっと気落ちする。
目覚めると、解熱剤が効いて、7度まで下がっている。薬ってすごい。
ふと、「昨日この薬をゲットしていたら、わたしは39度の熱に苦しむことはなかったのかしら?」と思う。
でも、なにがしかの事情があって、わたしの体は熱を出していたわけで、それを無理に封じこめるっていうのは、一体どうなんだろう?
医者嫌いのわたしは、ついついこうやって、「自分の体の訴えに耳を澄ますことの方が大事」とか、言い張る。まあ、逃げ口上ではある。
明日は、早朝から、恋人の知っている病院に連れていかれる。さんざん拒否の言葉を並べ立ててみたのだけれど、負けた。
●急に涼しくなった。確かに一度に気温は下がったのだけれど、それだけじゃない、なんだか寒気がする。嫌な予感がして、打ち上げパーティーの出席を諦め、帰宅。体温をはかったら38度。
急に熱を出すのは、わたし的にはよくあること。たくさん着込んで寝て、汗をかいて、何度も着替えることによって、朝方には、体の熱が逃げている。けっこう、体温調節には自信があるのだ。
でも、今回は下がらない。
起きたら38度5分まであがっている。
風邪のようにうつるものだといやなので、劇場へ行くのは控えたかったが、あいにく今日は地方公演のキャスト交代に備えての稽古がある。わたしがいなかったらどうしようもない。
結局、朝方の稽古だけ見に行く。熱に浮かされながら。そういう時に限って、電車が止まっていて、あっちのホームこっちのホームと歩き回らなければならなかったり、座席が空いてなかったり。
仕事はきっちりしてきたが、行き帰りのわたしは、なんだか夢遊病者のようだったに違いない。8度9分まで上がっていた熱に浮かされて、ふらふらふらふら歩いていた。
●熱と一緒に、体にしみついたあれこれのイヤなもの、出ていってほしい。断続的な眠りを繰り返す中、仕事の夢ばっかり見ているのもいまいましいので、見るだけ見て、さっぱりしてしまおう。
眠りと眠りの隙間に読んでいるのは、スティーブン・ミルハウザーの「エドウィン・マルハウス」。めくるめく子供の世界が、ぼうっとした頭を幻惑して、楽しい。熱のある時に読むに、ふさわしい物語。
2003年09月22日(月) |
淡くて、かすかで、しぶとい疲労感。 ●光ってみえるもの、あれは(川上弘美) |
●昨夜11時から、断続的に眠り続ける。目覚めては、開きっぱなしのコンピュータに何かしら打ちつけ、それでもまだ希望は捨てきれない物語へ没入しようとし、また眠る。朝と呼ばれる時間に目覚めたとき、まったく仕事への意欲が失せており、打ち合わせを欠席すると電話で伝える。まず、今までになかったことだ。でも、体のだるさと、精神の脆弱さの加減は、このところ経験したことがなかったもので、ここで半端に仕事に出向き、いつもの元気さを簡単に取り戻すのが、逆に怖かった。そして、また眠る。
そのようにして眠り続けて、目覚めたら17時だった。永い眠りの中で、わたしは執拗に一本の夢を見ていた。ある、創作オペラの現場にいる夢だった。「ラインの黄金」のように水辺から始まり、主人公の壮大な冒険を綴る荒唐無稽な筋だった。わたしは舞台上で指示したり、客席から眺めていたり、ひたすらに働いていた。本水を使った演出に、うきうきしているようでもあった。
●目覚めてから、駄目な自分にどっぷり浸かって、戻る道を探そうとする。
先ずは、休日にやるべき、日常的なことども。
もちろん、そのために腰をあげるまでに、数時間を要したけれど。それでも、まあ。
洗濯をして、掃除をして、洗い物をして。で、断続的な眠りの中で読み始めた川上弘美を読了する。昨日のうちに読了した重松清は、今のわたしのこ心に露ほども響かなかったが、川上弘美は、おそるおそる、わたしの中に入ってきたのだった。
物語というものは、ありえるかもしれない、ありえたかもしれない架空の人生の写し絵だ。それを伝えることばで、物語が生まれる。
人が生きるときに生まれることば。人の時間を説明するために必要なことば。
どんなことばを抜き書きしてくるかによって、物語は決まる。
川上弘美の新作を読みながら、描いている登場人物やら設定やらは、いつか何処かで読んだものだと思いながら読んでいる。でも、彼女がこの作品のために連れてくることばは、すべてわたしに響いてくる。
ことばに、救われる、なんて、思ってはいない。でも、ほっとするには充分だ。少なくとも、わたしは、「淡くて、かすかで、しぶとい疲労感」について語る彼女のことばに、自分の疲労感と向き合う気楽さを得たように思う。
●この虚脱感、この疲労感の大元とも言える恋人と、夜中、食事。
それが、今日はじめての外出。
突然冷えた東京の夜風に吹かれながら、なんだかんだ言って、たぶん明日も生きている自分を感じる。
彼は今、食事と軽い酒のあと、我が家に寄り、明日必要な書類の印刷をしている。自分のプリンターが故障しているのだ。
わたしはその背中を見ながら書いている。
何が幸せなのか分からない。何が生きている価値なのか分からない。
これだけ、前向きに生きてきた自分が、そんなことを感じていること自体不思議に思う。これだけたくさんのことを乗り越えてきた強いはずの自分が、大した起因もなしに、そんなことを感じていることが、とにかく不思議だ。
それほどまでに、この人を愛しているのかと、背中を見ながら思う。
●明日は、仕事場に出向く心の状態に、とりあえず戻った。
淡くて、かすかで、しぶとい疲労感に取り憑かれた自分に、すこうし油をさしてやって、いつもの元気印のわたしに戻っていくんだろう。
2003年09月21日(日) |
囚われの身。 ●流星ワゴン(重松清) |
●書かなかった間に、大変な仕事の初日を開けた。
初日を見守るときは、心配で手に汗握り、のどをカラカラにして見守った。立派に初日を開けてきた若い出演者たちを迎えると、彼らは泣きながら胸に飛び込んできた。わたしももらい泣きして、からかわれた。
わたしは幸せに初日を開けるための努力を精一杯したし、頑張りは通じたし、まわりもわたしの仕事ぶりを大いに評価してくれた。
わたしは、回りから見ると、なんの不安もない人に見えるだろう。
この先、とりあえず、来年の今頃までは仕事で埋まっているし、自分を認めてくれる人もたくさんいる。色んなところで愛されていると思う。
●それでも、今、ひとつ仕事を終えてようやく自分の時間が少し持てるようになって、わたしはただひたすらに虚無感を味わっている。
生きていることがつまらない。
そんなことを思ったことがかつてあったとしても、思い出せないくらい昔のことだ。
でも、今、そう思う。
●恋人が日本を離れる。
そのサイアクの現実から逃げるために、この夏、わたしは別の男性と結婚しようと画策した。もちろん、そのことを叶えようとしているときは、逃避のための画策だなんて、全く思っていなかった。真剣だった。
でも、今となっては、そうとしか思えない。
わたしは、最低のやり方で、一人の男性を傷つけた。
恋人がいなくなってしまう。そのサイアクの現実を直前にして、わたしは泣いたり喚いたりを通り越して、生きているのが空しい。
この空しさは、彼がいなくなることだけが原因なのか、それとも、もっと自分の現在の根本的なことが原因なのか、自分でもよく分からない。
●眠りが足らず、集中力を使いすぎ、自分を慰撫してこなかったから、心も体も疲れているのだ。だからそんな後ろ向きな気分に囚われるのだと、自分に言い聞かせても、やはりそこから逃げ出せない。
このわたしが、本を読むことでも癒されない。いつもは、物語の中に入り込むことで幾分か癒されて戻ってこれるのに……。
●ちょっと早い更年期障害かしら? と、自分を笑ってみる。
そこには、ただただ、愛する人と共にいたい、41歳のわたしがいる。
2003年09月14日(日) |
それ以上でもそれ以下でもなく。 ●遠くからの声(舟越桂作品集) |
●最終稽古、幸せに終わる。
舞台稽古がそうそう幸せに進むとは思えないけれど、それでも、わたしのできることは全部やろう。
●劇場に行って搬入につきあうつもりだったが、今日は体力温存のため、そのまま帰宅。朝から食欲がなくって固形物を食べていなかったので、恋人に電話をかけて夕食に誘う。
ずっと以前に飛び込みで入ってとても美味しかった吉祥寺の和食の店を再訪。頼んだものすべてが美味しく、口の中から幸せな気持ち。軽く炙ったさんまに、その肝を載せたにぎりを食べた時は、思わず笑みがこぼれてしまって、料理人がもらい笑いしてくれた。食べる者が幸せで、料理した者が幸せな、美味しい時間。
渡欧を前にした恋人と、残された時間を、少しずつ楽しんでいる。
舟越桂の作品集のページを繰る。様々な思惟の表情。様々なことばが、ことばの形を取らないことばで、わたしに語りかけてくる。
舟越氏の、ことばが、添えてある。
抜粋。
「題名のつけ方
含まれていて
描かれていないこと」
「私のどこでも
切り取って
みてくれ
そのこまかい
私は たぶん君に すり寄って行くだろう
私のすべてが君を欲する
そういう事
それ以上でもそれ以下でも
ない」
●さて。明日から、4日間が勝負。今夜は、明日からの仕事のために、ひたすらに眠ろう。