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Date 2006年10月08日(日)
姉の好きな歌
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   シェリー 俺は転がり続けて こんなとこにたどりついた        
   シェリー 俺はあせりすぎたのか むやみに何もかも 捨てちまったけれど
   シェリー あの頃は夢だった 夢のために生きてきた俺だけど      
   シェリー おまえの言うとおり 金か夢か分からない暮らしさ      

   転がり続ける 俺の生きざまを                    
   時には無様なかっこうでささえてる                  

   シェリー 優しく俺をしかってくれて そして強く抱きしめておくれ   
         おまえの愛が すべてを包むから              
   シェリー いつになれば 俺は這い上がれるだろう           
   シェリー どこに行けば 俺はたどりつけるだろう           
   シェリー 俺は歌う 愛すべきものすべてに              


   シェリー 見知らぬところで 人に出会ったらどうすりゃいいかい    
   シェリー 俺ははぐれ者だから おまえみたいにうまく笑えやしない   
   シェリー 夢を求めるならば 孤独すら恐れやしないよね        
   シェリー ひとりで生きるなら 涙なんか見せちゃいけないよね     

   転がり続ける 俺の生きざまを                    
   時には涙をこらえてささえてる                    

   シェリー あわれみなど受けたくはない                
         俺は負け犬何かじゃないから                
         俺は真実へと歩いて行く                  
   シェリー 俺はうまく歌えているか                  
         俺はうまく笑えているか                  
         俺の笑顔は卑屈じゃないかい                
         俺は誤解されてはいないかい                
         俺はまだ馬鹿と呼ばれているか               
         俺はまだまだ恨まれているか                
         俺に愛される資格はあるか                 

         俺は決してまちがっていないか               
         俺は真実へと歩いてるかい                 

   シェリー いつになれば 俺は這い上がれるだろう           
   シェリー どこに行けば 俺はたどりつけるだろう           
   シェリー 俺は歌う 愛すべきものすべてに              


尾崎豊 / シェリー





9月中旬、姉と二人で、何年ぶりかにカラオケへ行った。

母が九州と韓国旅行へ出発する直前あたりで、
月末にかけて忙しくなる姉を留守番に頼んだ直後のことである。
姉は、「私のことなんかどーでもいいんだよきっと」と、
半泣きして怒り「あの人なんて本当に大嫌いだ」と、会うたびに愚痴り、
その日も散々愚痴ったあとの、カラオケだった。

選曲は、ポルノグラフティーがテーマ(?)で、一緒に歌いまくったけれど、
ほとんど歌いきってしまった後は、
ちらほら好き勝手に自分の好きな曲を歌い始めていた。


何気に選んだ曲で、そのときの気分に合った曲というのは、
良い意味でも悪い意味でも、やっぱり心に引っかかるものだと思う。


お姉ちゃんは「尾崎の歌は、全てが好きというわけじゃないんだけどね。でもシェリー、これが一番好きな歌なんだよね」
と、静かに歌った。
「あんまり尾崎って好きじゃなかったんだけどね。シェリーを聞いて、そしたら尾崎を好きになっちゃった」とも言った。

お母さんのことを、散々嫌って愚痴って怒った後に、
姉がこの歌を歌った。

私の勝手なこじ付けかもしれないけども、
お姉ちゃんが苦しんでて、それでもなんとか「何か」近づきたい、けど苦しい…そんな素直な気持ちが、
シェリーの歌を通して、聞こえてきた気がした。
…私の勝手な思い込みかもしれないけども…。

お姉ちゃんは、自分の心情を、声に出したりあらわしたりするのが苦手な人だ。
「お母さんのこと、どう思ってる?」と尋ねてみても、
細かい心情を自分の言葉で表せないようだ。


でも私は、ずっと前から思っていたけどお姉ちゃんは、
お母さんに抱きしめてもらいたくて、キスされたいんだと思う。
それをしてくれないまま、自分を置いて出て行ったお母さんを、許せないんだと、そう思う。

自分を心配してほしい、
自分を気にかけてほしい、
自分の好き嫌いを知ってほしい、覚えていてほしい、
いつも気にかけて心に留めているよと、態度と言葉で実感させてほしいんだと、
私は、そう思う。


「私のことを考えてくれないお母さんなんて、大嫌いだ」と、
お姉ちゃんは、悲しくて寂しくて泣いているようにしか見えなかった。


お姉ちゃんは悲しい時、怒る。
寂しいと、怒る。
そして、黙る。


自分の感情の表し方を、急には変えられないだろう。
少しずつでもいいから、
寂しいときは、寂しいと。
悲しいときは、悲しいと。
怒ってるときは、だから怒っていると。
嬉しいときは、嬉しいと。
楽しいときは、楽しいと、声に出してみるのも、いいもんだよ?と、お姉ちゃんに言ってみた。

「雅紀みたいに、簡単にできないよ」と、お姉ちゃんは笑った。
「まぁ、できるときだけでいいから、ちょっとだけやってみなよ。気が楽になるからさ」
「まぁね、そうかな」


人は、話したからってすぐには変われないし、時間と経験が必要だよね。
できることからでいいから、
お姉ちゃんには、もっと生きやすい人生でいてほしいと、祈ってやまない。
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