アイ ナンカ イラナイ。
夏野 空の日記

2009年12月20日(日) 鏡と三味と黒龍と

 


何年も大掃除などしていなかった家中の
あちらこちらを拭いたり払ったり。

これが本来の姿だったのか、と恥じ入るほど綺麗になったところもあり
必死で手を尽くしたにも関わらず、何やら変化の見られないところもあり。

掃除というのは家事の中でも不思議なもので、
どれだけやっても終わりが見えない。
優柔不断な性格の者にとっては尚更。
綺麗になった、すぐその隣が気になり始め、
やってしまえ、などと手をつけたりなどしたら、もう始末に負えない。
汚れが落ちるのが先か、陽の落ちるのが先か。

我が家はその狭さが幸いし、本日までで一通り終了。
あとは蛍光灯を取り換えるくらいか。


掃除続きの日々の中、鏡を探しに散歩へ出た。
人間の古い私は、道具も古い方が落ち着くらしく、
アンティークショップの類を覗いて回る。

途中、好きな珈琲を飲んだり、ケーキ屋さんに立ち寄ったり。

結局気に入った鏡は見つからず、八百屋で買い物を済ませた後、
諦め半分で家の近所の古道具屋を覗く。
いつもは親仁さんが奥に座って不機嫌そうに店番をしているのだが
さすがにこの時季、道具を表に出して、埃などを払っている。
期待できないか、と中を覗くと珍しくおかみさんがいらっしゃって、
店内をうろつく私に、何かお探しですか、と声をかけてこられた。

鏡が目的であったはずなのに、「太棹の三味線と鏡を」と答えていた。
確かに私はもう何年も、津軽三味線を習おうと思っていた。
が、その日は何軒もずっと鏡を探して歩いていたのである。
言ってしまった私自身が、自分の言葉に驚いていたら、
おかみさんからの返事が「ありますよ」であった。

拝見してみると練習用の細棹ではあったが、
これから始めようという初心者が、続くかどうかも分からないのである。
しかも、値札を見たら1万を切っている上に、
撥から駒からその他一式、教本までついている。
鏡そっちのけで、三味線を抱えて帰ることになった。

こういうものはタイミングなのかしら、と古道具屋を出たら、
後ろから声をかけられた。
品の良さそうな、奥様である。
面識はない。
私の抱えている、それは何なのか、売るつもりなのか、と訊かれたので、
三味線を学びたいのだと答えると、どこで弾くのか、
どこに行ったら私と話ができるのか、と立て続けに問うてくる。

わ・た・し・と?

はて。
和楽器教室を開いていらっしゃる方が営業がてら声をかけてきたのか、と
思ったら、そうではなく、部屋のインテリアとして並べて楽しんでいるらしい。
寒い中、道端でしばらくの間あれこれと立ち話しをして別れる。
次ご縁があったら、どこかで温かくお茶くらい楽しみたいものである。

夕刻、お正月用のお酒「黒龍 二左衛門」が届く。
今年も残すところ、あと僅か。


   



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