私の人生の中でたったひとつだけ、戻りたい日々がある。もしあのとき、あちら側の道を選んでいたら、今、私はどこにいるのだろう。何を得て、何を失っているのだろう。そんなことは考えずに、安らかにねむりたいのに、思考の毒が頭を犯して、深いスパイラルへと落ち込んでいく。甘美な日々のおもいでだけが繰り返し、私を後悔の淵へ引きずり込む。過去を振り返って、「もし」なんて考えた罰だ。どうせなら明日から、ひたいに×印でもつけて歩こうか。自分のダメさ加減が嫌になる。